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デビルタウン物語  作者: 明日こそはシンデレラ
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STARGAZER GO TO 勇者クラブ(勇者サイド)

シーラは、腰に差している退魔の剣・レプリカを抜き、一人の水晶人間に襲いかかった。


副隊長・シーラ「デヤアアアア!!」


水晶人間の頭に当たり、カキンと音がしただけで、その衝撃がシーラの腕にきてビリビリと痺れた。


副隊長・シーラ「やっぱり無理か。こんな事なら、ちゃんとコジロウ先生の訓練をしとけば良かった。」


シーラが後悔をしていると、水晶人間の鋭いパンチが襲ってきた。


副隊長・シーラ「うわああ!!魔のシールド!!」


シーラは、退魔の剣・レプリカの柄頭のボタンを押して、魔のシールドを張ったが、水晶人間のパンチ1発でシールドにヒビが入り、吹っ飛ばされた。


シン「スペクター、今こそアプリ・モニカを起動させるときだ!」


スペクター「分かった。」


スペクターは、アプリ・モニカを起動させると、頭の中に若い女の声が聞こえてきた。


モニカ「はじめまして、スペクター。モニカよ。銃口を撃つ相手に向けて。」


スペクターは、右太股から下の足を外して右手で持ち、右足のライフルを少し上げて、シーラを吹っ飛ばした水晶人間の胴体に向けた。


モニカ「これがターゲットね。じゃあ、あなたの1秒を貰うわ。」


水晶人間「プギャアアアア!!」


スペクターの少し上げた右足のライフルから、青いレーザーが発射され、水晶人間は悲鳴をあげて粉々になった。


シン「おお!!すげえ!!」


副隊長・シーラ「まじか!!」


農家の人間達「あの水晶人間を一撃で!!」


モニカ「次は、残り全部を一気に倒すわ。ホーミング付きで、あなたの1分30秒を貰うわ、いいわね。」


スペクター「ちょっと待て、バランスがとれない。シン、肩を貸してくれ。」


スペクターは、シンの左肩に腕をかけた。


スペクター「いいぞ、モニカ。」


スペクターの少し上げた右足から、今度は緑のレーザーが発射され、逃げる水晶人間達を追尾して、残り9体の水晶人間達の胴体を次々に撃ち抜き、水晶人間達は悲鳴をあげて、粉々になった。


人間達「凄い!!しかも、片足を上げて、まるでカカシみたいだ!!」


「この人は勇者だ!!カカシの勇者だ!!」


「人じゃない、カカシのマネキンだ。マネキンだけど勇者だ。今日の夜、ぜひ、barレモネードに来てくれ。勇者クラブの会があるんだ。勇者のあなたを勇者クラブの皆に紹介したい。」


副隊長・シーラ「ふう、助かった。それにしても凄い威力だな、こいつのライフルは。やや動きに難ありだが。」


シン「副隊長、弱いですね。」


副隊長・シーラ「コイツ、お前だって何もしなかったじゃないか!!」


シン「俺は掃除係りだし。」


そっぽを向いてそう呟いたシンに、シーラは腹が立った。

町中は、大勢の死者を出しながらもなんとか、バッタ人間達が水晶人間達の攻撃を抑え、水晶人間達は、いったん退却した。




夜になり、魔王・ワインにシーラ、シン、スペクターは外出許可を得て、昼間に農家の人間達から教えてもらったbarレモネードを訪れた。レモネードは、巻き貝のような白い建物で、2人のダーク・エルフ姉妹で賄われていた。姉・キャリーは、色黒に紫色のショート・ヘアー。白黒の千鳥柄のライントレンチコートに、黒のロングブーツを履いており、妹のシャリーは、色白に金髪のロング・ヘアー。グレーのライダースジャケットにグレーのミニスカートを履いていた。

勇者クラブは、50人ほどの農家の人間達で構成されており、みんなカクテルを飲みながら、4日後のトノサマ率いるバッタ人間達と共に、出陣するにあたっての計画を立てるということだったが、実際は雑談や世間話ばかりしていた。リーダーの中年男・ラインが、シーラ、シン、スペクターを紹介し始めた。


ライン「みんな、注目。こちらの3人が勇者クラブに参加してくれることになった。左から、魔王の騎士副隊長・シーラさん、アンドロイドのシンさん、そして、カカシの勇者であり、アンドロイドのスペクターさんだ。」


スペクターの名が出た瞬間、勇者クラブ全員が口笛を吹いたり絶叫した。


勇者クラブ「いよっ待ってました!!」


「スペクターさん、最高!!」


シーラとシンは、その歓声を聞いて居心地が悪く感じた。


副隊長・シーラ「実は俺、明後日、勤務交代でデビルタウンに帰るんだ。だから、闘いに参加しないんだよなあ。」


シン「ラッキーじゃないですか。俺も時計台で留守番でもしようかと思ってます。いても役に立たないし。」


ライン「なお、スペクターさんがライフルを撃つときは片足になり、移動が大変なので、パールとポーマ、お前達がスペクターさんの足となれ。スペクターさんの両側に立って肩を貸すんだ。」


パールとポーマは、身長1.7メートルほどの筋肉質な男達だった。


パール・ポーマ「了解だ、ラインさん。よろしくな、スペクターさん。」


パールとポーマは笑顔でスペクターに話しかけ、スペクターは、軽くお辞儀をした。


それから、相変わらず勇者クラブの面々は、戦闘の計画の話はせず、世間話や雑談で盛り上がった。要するに、みんな、飲み会をする口実が欲しかっただけなのだ。


勇者クラブが盛り上がっている中、ダーク・エルフ姉妹はヒソヒソ話をしていた。


妹・シャリー「お姉ちゃん、来たみたいよ。」


姉・キャリーは裏口から外に出た。外に出ると、水晶人間の女・メランダがいた。


水晶人間・メランダ「血を貰いに来たわ。」


キャリーは、裏口に置いてある樽の蓋を開け、メランダは柄杓で掬ってゴクゴクと飲んだ。」


水晶人間・メランダ「ああ、おいしい。約束通り、今月もあなた達姉妹は殺さないように、みんなに言っておくわ。」


メランダは、柄杓で3杯飲むと、また水晶山の方へ向かって歩き出し、暗闇の中へ消えた。


スペクター「人を殺したのか?」


スペクターが、キャリーの側に立っていた。


姉・キャリー「キャッいつの間に。」


スペクター「たまたま店の外で立ちションをしてたんだ。トイレに行くと、いつも誰かが入ってて我慢できなくてな。」


姉・キャリー「殺したのは、この間、町の子供を3人も殺した男と、老人から年金を騙しとった女2人。私が殺したわ。もう何人も殺した。」


スペクター「殺したのは、悪人ばかりというわけか。」


姉・キャリー「そう。近々、私達はダーク・エルフの村へ帰るつもり。だから、この町がどうなろうが関係ないの。」


スペクター「そうか。生きるってことは大事だよな。それでいいんじゃないのか。この事は黙っといてやるよ、じゃあな。」


妹・シャリー「お姉ちゃん。」


キャリーが後ろを振り返ると、心配そうに妹・シャリーが立っていた。


姉・キャリー「大丈夫、心配しないで。あのマネキンは、誰にも喋ったりしないわ。」





スペクターは店の中に入り、シンの隣に座った。


スペクター「シン、誰にも言うなよ。今さっき、女の水晶人間がいたんだ。あのダーク・エルフの女が、血をそいつにあげてたんだ。」


シン「なに!!」


シンは、隣に座っているシーラに話しかけた。


シン「シーラさん、水晶人間の女がさっき、来てたらしいですよ。あのダーク・エルフの女が、そいつに血をあげてたらしいです。」


副隊長・シーラ「まじか・・・・また面倒な話を俺に持ちかけやがって。いいか、俺は明後日、デビルタウンに帰るんだ。だから、その話は聞かなかったことにする。俺に言ったって言うなよ。」


シン「しかし、もし何かあったら・・・・。」


副隊長・シーラ「大丈夫だ!!俺達には、カカシの勇者・スペクターがいる。頼んだぞ!!スペクター!!」


スペクター「俺は・・・・またヒトミの乳をもみたい・・・・。」


副隊長・シーラ「・・・・・・・・よし。じゃあ、そう言うことで。」


シン「・・・・・・・・分かりました。」


そして、2日後、シーラは時計台でデビルタウンへ帰って行った。

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