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デビルタウン物語  作者: 明日こそはシンデレラ
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STARGAZER  逆襲のセイジ(地獄サイド)

     

       一 地獄 工事現場 昼前 一


タケトとの闘いから1ヶ月後、相変わらずケンイチは、地獄建設で、敷石の道路を造る労働をしていた。ミナが死に、地獄の赤い空を見ては、溜め息ばかりつく日々を送っていた。いつも通り、凝固剤の入ったドラム缶を持ち上げて、パドルシップに積もうとしたが、力が抜けて、いったん足元に置いた。


サキヤマ「ケンイチ!!どうした?元気がないぞ!!普段のお前なら、そんなドラム缶の1つや2つ、軽々持てるはずだ!!ケンイチ!!社会人ってのは、どんな辛い事があっても、仕事はきっちりこなすもんだ!!例え、風邪を引いて少し熱があったとしても、仕事をするのが社会人ってもんだ!!気合いを入れろ!!」


バイト・ケンイチ(何が社会人だ!!生前は、万びき常習犯だったくせに!!)


ケンイチは、偉そうに言うサキヤマにイラッとしたが、何とか堪えた。そんなサキヤマは、足元の小石につまづいて転けそうになり、右足を捻ってしまった。


バイト・サキヤマ「イテッ右足を挫いた!!この足じゃ、今日は仕事にならねえ!!ケンイチ、悪い。現場監督に言っといてくれ。俺、昼から休むわ。」


サキヤマは、そう言うと右足を引きずりながら、ケンイチがドラム缶を積もうとしていたパドルシップに乗って、寮の方へ帰って行った。


ケンイチ「・・・・・・・・ハア。」


ケンイチは、深い溜め息をついて、近くに置いてあるパドルシップを取りに行こうとすると、現場監督の与作が歩いてやって来た。


現場監督・与作「おい!!ケンイチ!!今日は4年に1度、大天使ガブリエル様が、超特大ウンコをされる日だ。大天使ガブリエル様がウンコをひりしだい、ヨシゾウさんとこの倉庫付近に運ばれる予定だ。そのウンコが運ばれたら、ケンイチ、お前はこの伝説のハンマー・ミョルニルで細かく砕け!!今日からお前は、ウンコ粉砕係だ!!」


大天使ガブリエルのウンコは、エメラルドで、エベレストぐらいの大きさである。


ケンイチ(エメラルドとはいえ、ウンコ粉砕係かよ!!)


現場監督・与作「焦らなくていい。ゆっくりでいいから、少しずつ砕いてくれ。そうだな、細かくといっても、エナジーストーン(171部参照)ぐらいの大きさがベストだ!!この伝説のハンマー・ミョルニルを振り回す腕力があるのは、地獄建設ではケンイチ、お前だけだ!!頼んだぞ!!」


そう言うと、与作は、ひこずりながら持ってきた1・2メートル程の長さで、重さが50キロぐらいある、柄からハンマーの先端まで赤黒いミョルニルをケンイチに渡した。


バイト・ケンイチ(いったい、このハンマーは何でできてるんだ?)


現場監督・与作「じゃあな。頼んだぞ!!」


バイト・ケンイチ「あっそう言えば、サキヤマさんが右足を挫いて、昼から休むらしいぞ!!」


現場監督・与作「本当か?分かった。」


与作はそう言うと、近くの現場へ歩いて行った。


ケンイチは、近くのパドルシップを見つけてそれに乗り、凝固剤の入ったドラム缶と伝説のハンマー・ミョルニルを積んで、少し遠くの現場へと向かった。




サキヤマは、寮の自分の部屋に戻り、寝転がった。


サキヤマ「まさか、死んでも捻挫とかするとはな。やはり、地獄より働かないで住む天国がいいなあ。もし生まれ変わったら、俺は善人になろう。」


そんなことを思いながら横になっていると、いつの間にか眠ってしまい、目が覚めると、2時間ほど時間が経っていた。


サキヤマ「まだ2時前か。暇だなあ。そうだ!!アイツの刀でも見てみるか。」


サキヤマは立ち上がり、痛い右足をひこずって、隣のケンイチの部屋に入り、ケンイチのロッカーを勝手に開けて、長さ70センチほどの名刀・虎徹を取り出した。


サキヤマ「ケンイチの奴、鞘から抜けないとか言ってたなあ。」


サキヤマは、何気なく鞘から虎徹を抜いた。


サキヤマ「なんだ、簡単に抜けるじゃないか。」


サキヤマが右手で虎徹を持つと、虎徹が、鈍い光を放ちながらサキヤマに話しかけてきた。


虎徹「世界一、悪知恵が働き、醜い心を持つ男・サキヤマよ。俺をセイジって奴に渡せ!!」


サキヤマ「うおっ刀が俺に話しかけてきた!!それにしても、なんて失礼な奴だ!!こんな清く正しく生きている俺に向かって、醜い心を持つ男呼ばわりするとはああああ!!」


しかし、サキヤマは虎徹を鞘にしまうと、寮を出て、催眠術にかかったかのように、工事現場で働いているセイジ目指して歩き始めた。痛くてひきずっていた右足も普通に歩き、パドルシップに乗って、空中に浮かぶ敷石の道路の上で、シリウス、セナ、他の死人の労働者達と敷石を並べているセイジの所へ行き、虎徹を渡した。


サキヤマ「ほらよ。」


サキヤマは、セイジに虎徹を渡すと、再びパドルシップに乗って、寮へと帰って行った。


労働者・セナ「サキヤマさん、またサボってますね。」


労働者・シリウス「ったく、あのジジイは。セイジに刀を渡してたぞ。」


労働者・セナ「何を考えてんだか。」


セイジは、鞘から虎徹を抜いた。すると、鈍い光りを放ちながら、虎徹が話しかけてきた。


虎徹「セイジよ。俺は虎徹という小刀だ!!名前ぐらいは聞いたことがあるだろう。お前、ケンイチが憎いだろ。一緒に冒険をしていた頃から馬鹿にされ、影ではデリヘル野郎呼ばわりされて。俺もアイツの都合で勝手に売られて、腹が立ってるんだ!!名刀と呼ばれたこの俺を、あんな安い値段で売りやがって!!お前の手で、アイツを斬ってくれ!!俺のスキルとお前の剣の腕が合わされば、アイツを倒せるはずだ!!」


労働者・セイジ「うおっ剣が話しかけてきた。おお!!これが名刀・虎徹か!!でも、今の俺は戦闘力1だぞ!!」


虎徹「俺に任せとけ!!必殺剣・ルール違反!!」


鞘から虎が飛び出し、セイジの胸の中に飛び込んだ。


労働者・セイジ「うわああああ!!」


虎に飛び込まれたセイジの体が、青白く輝き始めた。


虎徹「これで、地獄の法則・戦闘力が1になるを破り、本来のお前の力を発揮できる。しかも、死んでいるから不死身だ!!」


稀なる者・セイジ「不死身で本来の力が出せるのか!!それならケンイチに勝てる!!アンデッド・ボーナスつきだな。」


労働者・シリウス「あっひょっとして、セイジが持ってる刀は、魔王様の虎徹じゃないのか!!」


労働者・セナ「そうかも。ったく、おい、セイジ!!その刀を返せ!!サキヤマに盗ませて、お前、何を考えてるんだ!!ギャアアアア!!」


セナがセイジに歩み寄った瞬間、セイジは虎徹で、セナを縦に真っ二つに斬った。


労働者・シリウス「セナ!!」


シリウスは、セナの真っ二つに斬られた左半分と右半分の体をくっつけた。


労働者・シリウス「セイジ!!お前、いったい何を考えてるんだ!!」


稀なる者・セイジ「ケンイチに伝えろ!!虎徹を返して欲しければ、俺と剣で勝負しろと。」


労働者・シリウス「いつだ!!日時は!!」


稀なる者・セイジ「・・・・・・・・1週間後の夜8時、与作のダッチワイフ・ピラミッド前だ!!」


労働者・シリウス「なんで1週間後なんだよ!!場所も最悪じゃないか!!普通、流れ的に今日とか明日だろ!!」


セイジは、虎徹のスキルや剣技の練習をしようと思い、つい1週間後と言ってしまった。場所も、毎晩ダッチワイフを抱きに通っている、与作のピラミッドの名が口から出てしまった。


稀なる者・セイジ「う、うるさい!!俺には俺の都合があるんだ!!」


労働者・シリウス「都合ってなんだ?お前の都合って、ダッチワイフを夜、抱くぐらいのもんだろ!!」


稀なる者・セイジ「だ、黙れ!!と、とにかく1週間後だ!!」


セイジはそう怒鳴ると、元の作業位置に戻り、天使のウンコと天国の土の混合物・エナジーストーンを並べ始めた。

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