表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デビルタウン物語  作者: 明日こそはシンデレラ
190/271

STARGAZER 旅立ち(キャバクラ・サイド)

      

          一 天竺 一


午後10時、少し手が空いたユリはスタッフルームに入り、キャバクラ・ガンダーラから三蔵法師にテレパシーを送った。


ユリ「三蔵法師様、申し訳ありません。赤い鳥の羽根の男に逃げられました。」


三蔵法師「なんですって!!ユリ、あなたらしくないミスね。ユリ、さっそく明日の朝からデビルタウンに向かい、赤い鳥の羽根の男を生け捕りにして、ここに連れて来なさい。私は、あの男の顔に、風穴を空けないと気が済まないの!!あの男を連れて帰るまで、あなたが天竺に入ることを禁じます。分かったわね!!」


ユリ「・・・・・・・・分かりました。」



次の日の朝、ユリは黒髪のナチュラルショート・ボブのウィッグを被り、黒のテーラードジャケット、ブルーのクレリックシャツカラーブラウス、黒のフレアーセミローライズパンツを着て、キャバクラ・ガンダーラにいた。まだ誰も出勤しておらず、ただ一人、ユリの右腕的存在のホステス・最近、少し長めの黒髪のウィッグを被り始めた小松こまつがいるだけで、小松は、ユリに生活用品の入った黒のスーツケースを渡した。


ユリ「ありがとう。小松、三蔵法師様の言うことを、ちゃんと守るのよ。私みたいにならないように。」


小松「ユリママ、三蔵法師様は間違っていると思います。」


ユリ「小松、そういうことは言わないの。で、スーツケースの中は、何が入ってるの?」


小松「マスク、スプレー化粧品、入浴剤、ゴルフボール、青竹、ドライアー、ハンガー、真空電池、恋ばな手帳、トランプ、ハンガー等が入っています。あと、お金が100万ほど。」


ユリ「ゴルフボールと青竹は何に使うの?」


小松「ゴルフボールは背中のツボ、青竹は足裏のツボを刺激します。そこを刺激することによって、戦闘タイプのユリママの、アトミックレーザーの威力が少し上がると思われます。」


ユリ「え?そうなの?あと、恋ばな手帳とトランプって。だいたいトランプって、誰とするの?」


小松「旅先で誰かと知り合うこともあるでしょう。ちなみに、恋ばな手帳は、以前、ユリママから聞いた、ユリママの過去の恋愛話を手帳に書いてみました。」


ユリ「ちょっと!!イヤだわ。あなた、こんな事まで記憶していたの!!」


小松「はい。しかし、意外です。まさか、ユリママがアプリ・人間のようにをインストールしてるなんて。」


ユリ「・・・・・・・・じゃあ、そろそろ行くわ。」


小松「ユリママ、デビルタウンまで、一週間で行ける魔法使いタクシーを呼んでおきました。こちらへ。」


中年の50代で、茶色のパーカーとジーパンを着た小柄な男が現れた。


魔法使いタクシー「では、ユリさん、私の側へ。一瞬でデビルタウンへ着いたように感じますが、デビルタウンに着くと、一週間の時が経っています。ては、行きますよ!!デビルタウンへレッツラゴー!!」


小松「ユリママ!!お体に気をつけて。」


ユリ「ありがとう。」


ユリママと魔法使いタクシーの男は、臼緑色の光りに包まれて、その場から消えた。




     一 デビルタウン 入口 一



魔法使いタクシー「着きました。70万円になります。」


ユリ「え?そんなに?」


魔法使いタクシー「一週間経ってますし、ちょっとした旅行だと思っていただくと・・・・なので、このぐらいの値段になってしまいます。」


ユリ「そっか。」


時刻は昼過ぎ。晴天で綺麗な青空が広がるなか、ユリは魔法使いタクシーの男に70万円を払い、デビルタウンへと入って行った。


ユリ「これだけ人がいて、しかも街がなかなか広いから、赤い鳥の羽根の男は、簡単には見つけられないわね。赤い鳥の羽根に、いつも乗っているとは限らないし。とりあえず、ビジネスホテルでも探すとしますか。」


ユリは、住居区を通り抜けて、風俗街の方まで歩いて来てしまった。


ユリ「どうやら、住居区を通り過ぎて、街中まで来てしまったみたいだわ。」


キャバクラやエロい店が立ち並ぶ通りをウロウロしていると、1人の黒いスーツを着た、中年男が話しかけて来た。


男「こんにちわ。お姉さん、カッコいいね。私は、そこのキャバクラ・チョチョリーナで店長をしてる者なんだけど、お姉さん、良かったら、うちで働かない?うん?お姉さん、ひょっとして、異世界から来たラブリードール?」


ユリは、無視して通り過ぎようとしたが、手持ちの金が少ないことを思い出し、立ち止まった。


ユリ(残り30万か・・・・アパートでも借りて、働きながら捜した方が気持ち的には楽よね。キャバクラなら慣れてるし、アプリ"キャバ嬢でエースを狙え"もあるし。)


店長「うちにも、姉さんみたいないるよ。明菜って言うんだけど。」


ユリ「私みたいな、人間じゃない娘が?」


店長「そうそう。今は、デビルタウンじゃなくて、セニョール店の方にいるんだけどね。姉さんは、仕事ができるキャリア・ガールって感じだね。どう?今度はキャバ嬢で一旗上げてみない?お姉さんなら、器量もいいし、キャバクラでもトップになれると思うよ。」


ユリ「キャバクラで働くのは別にいいんだけど、ちょっと住む所がなくて。さっき、ここに来たばかりだから。」


店長「それだったら、以前、明菜が使ってた部屋が空いてるから、そこを使うといい。うちの系列会社がやっているアパートだから、家賃も安くできると思うし、敷金もなしにするように頼んでみるから、お姉さん、うちで働いてよ。」


ユリ「OK 。じゃあ、今日はゆっくりしたいから、明日から。」


店長「よし。じゃあ、話は決まった。じゃあ、まずはアパートの手続きをして案内するから着いて来て。」


ユリ「変なことしたら、ぶち殺すわよ。」


店長「ちょ、ちょっと恐いなあ。そんなことしないよ。」




        一 噴水広場 一



未来草原から時計台が帰って来て、50人の魔王の騎士達は、勤務交代をした。


魔王の騎士隊長・ファージ「シーラ、未来草原には、お前の遊ぶ所はないみたいだぞ。」


魔王の騎士副隊長・シーラ「ええ~、マジッすか。ただでさえ、得体の知れない所なのに、遊ぶ所もないなんて。憂鬱だなあ。」


シーラは、嫌々、時計台の中に入ると、1階は、木製ボードのキャスター付きパーテーションで仕切られていた。


シーラ「え?アパート借りるんじゃなかったの?」


未来草原から帰って来た魔王の騎士の1人が答えた。


魔王の騎士1「そのつもりだったんですが、いざというときに、なかなか召集できないということで、結局、1階で待機することになりました。」


シーラ「ええ~、デリヘル呼べないじゃん。」


魔王の騎士1「ハハハッ着いた初日は、みんな横並びで寝ました。仕切りがあるだけでも、ましになった方ですよ。」


シーラ「一週間、長いなあ。」




こうして、ユリはデビルタウンに入り、シーラは、未来草原へと飛び立ったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ