season 4 シーラVS三蔵法師(魔王サイド)
シーラは、池の中の水流に包み込まれて、池の底へと吸い込まれ、シーラの背中が池底に当たると、地面に穴が空き、池の下にある地下へと落ちて行った。
シーラ「うわああああ!!出よ!!赤い鳥の羽根!!」
シーラは、赤い鳥の羽根に乗って下を見ると、超巨大な御神木のような木が、地下室の中央に立っており、その木を囲むように、何千もの人間の顔が、沼地に埋まっていた。
シーラ「オエッ」
シーラは吐き気を催しながらも上を見ると、自分が落ちて来たと思われる穴が徐々に閉じていき、そこから、少し水がドバドバと流れ落ちていた。シーラは少し低く飛び、超巨大な木の周りを回ると、木に人間の女の顔がめり込んでいた。その顔の女と目が合い、シーラはまたもや、吐き気を催した。
女「私の顔を見て、吐き気をおこすとは。失礼な人ですね。」
シーラ「お前は、いったい何者だ!!なんだ!!この人の顔だらけの地面は!!」
女「私は三蔵法師。地面に埋まっている人間達の生気を吸い取って生きている。だから、この人達は私の餌です。」
シーラ「なんだと!!三蔵法師は、人間を喰う木の化物だったというのか!!」
三蔵法師「私は、宇宙の遠い星からやって来ました。初めは、あなた達と同じ人の姿をしていましたが、人としての寿命を終えると、木の姿となって、第二の人生を歩み始めたのです。木になってから、初めはそんなに人間を必要としなかったのですが、最近になって、食欲旺盛というか成長期というか、とにかく人間をよく喰うようになってしまいまして。で、あっという間に、こんな巨木になってしまったのです。」
シーラ「クッそれで最近、天竺に人間が増えたというわけか。三蔵法師の餌確保のために。」
三蔵法師「ホホホホッその通りです。金の砂漠で金を手に入れて、ただで綺麗なアンドロイドの女とエッチができるとなれば、人間の男なら誰しも天竺に行こうと思うでしょう。そして、一生、綺麗なアンドロイドの女を抱きながら、天竺に住もうと思うのです。そんなことよりも私は、イケメンのあなたを食べたい!!私の目の前にいるイケメンのあなたを!!」
無数の木の枝が、シーラに襲いかかって来た。
シーラ「うわあ!!マジか!!」
シーラは赤い鳥の羽根をサーフボードのように巧みに操り、三蔵法師の木が振り回す枝をかわした。そして、剣を抜いて、三蔵法師の巨木に斬りつけたが、傷一つつかず、逆に剣が刃こぼれをした。
シーラ「クッやっぱり無理か・・・・。」
三蔵法師「ホホホホッやはり食べるなら、イケメンに限ります!!まずはその筋肉質でスポーティーなお尻に、この枝をぶち刺して生気を吸いとり、そして、あなたもこの顔の地面の一部となるのです!!」
シーラ「三蔵法師って、ただのド変態じゃないか!!もっと高貴な人徳者というか、神に近い人だと思っていたが。なんでこんな奴が、アンドロイド達に指示されているのか・・・・俺には分からねえ・・・・ん?」
シーラが三蔵法師の木の枝を避けながら下を見ると、木でできた、小さな納屋が見えた。そして、その中から、若い女のアンドロイドが出て来て叫んだ。
若い女のアンドロイド「三蔵法師様、納屋掃除、終わりました。」
三蔵法師「ありがとう。ちゃんと、月の輪熊の像も吹きましたか?」
若い女のアンドロイド「はい。」
三蔵法師「よろしい。今週は、あなたが掃除当番ですね。納屋掃除は適当でいいから、月の輪熊の像の手入れだけは、入念にお願いしますね。」
若い女のアンドロイド「はい。では、失礼します。」
そう言うと、若い女のアンドロイドは、納屋から少し歩いた所にある、直径2メートル程の楕円形の水溜まりの中に、足から飛び込んだ。
シーラ(あの納屋の中にあるんだな、月の輪熊の像は。そして、あの水溜まりから外に出られるんだな。)
三蔵法師「ホホホホッチラチラと納屋と水溜まりの方を見ましたね。あなたが月の輪熊の像を捜しに来たというのは、なんとなく分かってました。さあ、納屋から月の輪熊の像を取って、水溜まりに飛び込みなさい。そうすれば、ここから出られますよ。」
そう言うと、三蔵法師は攻撃するのをやめ、ただの巨木のようにじっとして動かなくなった。
シーラ「怪しい。さっきまでバンバン枝を振り回して打ち落とそうとしてたのに。これは罠だ!!絶対なにかある。」
そう思いながらも、シーラはゆっくりと赤い鳥の羽根に乗って、納屋に近づいた。シーラが納屋に入ろうと地面より少し高い所を飛んでいると、一人の地面の顔が話しかけて来た。歳が60過ぎぐらいの初老の男の顔だった。
初老の男の顔「兄さん、その納屋に入ってはいけない。その納屋は、三蔵法師の一部だ。木の枝と枝が組み合わさって、その納屋は出来ている。だから、納屋に入ったとたん、三蔵法師の餌食になってしまう。だから、その納屋には入るな。」
三蔵法師「このくそジジイ!!余計なことを言いやがって!!」
初老の男の顔「私は以前、デビルタウンの市役所・林業課に勤めていた者だ。こいつは三蔵法師と言っているが、魔物の吸血木だ。こいつを切れるのは、山師の秀さんだけ。秀さんを連れて来てくれ!!」
シーラ「秀さん?いったいどこに?」
初老の顔の男「たぶん、木が生い茂ったミラクル・アマゾンで、林業をしているはずだ!!さあ、行け!!水溜まりに飛び込め!!」
三蔵法師「このくそジジイ!!」
三蔵法師は、木の根で初老の顔の男を持ち上げだ。
三蔵法師「見なさい!!この不様な姿を!!」
シーラ「うわああああ!!」
初老の顔の男「ううぅぅぅ・・・・。」
初老の顔の男の首から下は骨だった。三蔵法師は、木の根で3回、男を揺さぶった。
三蔵法師「首下女装ならぬ、首下骨男ね。ああ、軽い軽い!!こんな状態になっても、私は人間を生かしておくことができるのです!!今からこいつを、ギったギったにするけどね!!」
初老の顔の男「やっと・・・・死ねる・・・・ギャアアアアアアアア!!」
三蔵法師は、男を空中に放り投げ、太い枝を振り回して、首から下の骨の部分を細かく砕いた。そして、初老の男の顔面に細い枝を突き刺して抜き、シーラの方へ放り投げた。穴の空いた男の顔が、シーラの近くに落ちた。
シーラ「うわああああ!!」
シーラは絶叫して納屋に入るのをやめ、水溜まりに向かって一直線に飛んだ。
三蔵法師「逃がさないわよ!!私のイケメンちゃん!!その綺麗な顔に、大きな穴を空けてあげる!!」
シーラ「だ、ダメだ!!心が折れる!!足が震えて上手く飛べない!!赤い鳥の羽根、自動操縦!!」
シーラは、赤い鳥の羽根の上に一万円札を置いた。すると、赤い鳥の羽根は、今までとは桁外れのスピードで、しかも鋭く三蔵法師の木の枝の攻撃をかわした。シーラは、赤い鳥の羽根の上にうつ伏せになって、しがみついた。
三蔵法師「なんてスピードなの!!恐るべし!!金の力ね!!かくなる上は!!」
納屋が崩壊して無数の枝となり、シーラに襲いかかって来た。しかし、一万円募金して貰った赤い鳥の羽根は、枝と枝の隙間をなんなく掻い潜り、水溜まりの上に着いた。
三蔵法師「お兄さん!!月の輪熊の像はいらないの?ほら、ここに!!」
三蔵法師は、1本の木の枝を月の輪熊の像に巻きつけて、シーラを誘惑した。
シーラ「これが、月の輪熊の像!!なぜ、ウィッグを被せてるんだ?」
月の輪熊の像は黒光りで、30センチ程の両腕を挙げた招き猫みたいなポーズをして、ロングの巻き髪のウィッグを被せられていた。
三蔵法師「ウィッグは、掃除当番のアンドロイドの趣味ってところかしら。先週は、セミロングのウィッグだったわね、たしか。さあ、お兄さん、月の輪熊の像を取りに来なさい!!あなたにあげるわ。」
シーラ「・・・・行くわけないだろ!!」
シーラは赤い鳥の羽根に乗って、迷わず水溜まりの中へ飛び込んだ。




