season 4 副隊長・シーラ 天竺の地下へ(魔王・勇者 ・・・・サイド)
魔物達「同じフリーターやニートでも、お前達、人間の方が上だ!!それに、魔物の俺達は、正社員にはなれない!!この世界を変えるためにも、お前達人間に、この闘いで負けるわけにはいかないんだ!!」
「お前達は、俺達と同じフリーターやニートなのに、温かい布団で寝てるだろ。俺達魔物は、洞窟で寝てるんだ。俺達だって、温かい布団の上で寝たい!!」
「お前達の方が、俺達魔物より時給が高い!!」
「お前達は、同じフリーターやニートでも、温室育ちなんだよ!!」
フリーター・ニート連合「何を言ってやがる!!デビル建設やデビルセキュリティは、魔物の方が面接が受かりやすいし、正社員にもなりやすい!!」
「そうだそうだ。魔物の方が就職しやすい会社だってあるんだ!!」
「時給だって、お前達魔物の方が高いバイトだってある!!」
魔物達とフリーター・ニート連合は、闘いながら求人の情報交換をし始めた。
フリーター・ニート連合「そういえば、引っ越しのバイトが求人誌に出てたぞ。腕力がある魔物希望だってよ!!」
魔物達「引っ越しは以前行ったときに、虎の獣人の奴に、かなりきついことを言われたから、もうコリゴリだ!!」
フリーター・ニート連合「人間関係ならぬ魔物関係だな。」
魔物達「同じ魔物どうしでも、合う合わないがあるんだ!!」
フリーター・ニート連合「なるほどな。」
フリーター・ニート連合と魔物達から少し離れたところで、ケンイチとタケトは向かい合っていた。ケンイチの作業着の上着のポケットに、モニカが飛び込んだ。
モニカ「うわっ臭い!!おっさんの体臭が染み込んでる!!これが働く男の汗って奴ね。おっさん、汗かかない仕事に転職しなさい!!」
中年・ケンイチ「それができるなら、とっくにしている!!それにしても、ミナが死んで、こんな辛い気持ちで、しかも、こんな強敵と闘わないといけないのか!!世の中って、厳しすぎる!!」
モニカ「なに甘えた20代の若者みたいなこと言ってるの!!おっさんぐらいの年代になれば会社の中堅で、どんな事があっても仕事はキッチリやって当たり前。そんな泣き言いってたら、どやされるわよ!!」
中年・ケンイチ「クッ厳しいこと言ってくれるぜ!!でも、こういう状況で、話し相手がいるって心強いな。」
ジョニーの双剣の片割れ「ケンイチ、わしもおるんやで。忘れんといてや。」
中年・ケンイチ「ああ。分かってる。」
ケンイチは、剣を中段に構えた。
少年・タケト「空に逃げてった奴等は、もともと眼中になかった。残ったフリーターやニート達も問題外。そして、おっさん。あんたも僕の敵じゃないみたいだね。死にな!!アース・スティンガーホーミング!!」
中年・ケンイチ「秘剣・ツバメ返し・改!!」
無数のネジ巻き状の土の針と、無数のツバメの斬撃がお互いに当たり合い、そのうちの1つのツバメの斬撃が、無数の土の針を掻い潜って、タケトの右腕を斬り落とした。
少年・タケト「うわああああ!!痛ってええええ!!」
中年・ケンイチ「よし!!」
少年・タケト「クッおっさんを甘く見てたぜ!!でも、俺はゴリラのときだけでなく、人間のときも進化するようになったんだ!!秘技・若返り!!」
タケトの体が輝き、身長が少し縮んで、2・3歳若返った。斬り落とした右腕は、元通りくっついていた。
中年・ケンイチ「まじか!!そんなのありかよ!!しかも、若返りって!!」
ジョニーの双剣の片割れ「ケンイチ!!落ち着きや!!お前のツバメ返しの方が勝っている!!ツバメの斬撃を当てまくって、赤ちゃんにしたり!!」
モニカは、ケンイチの上着のポケットから、タケトを覗いて見た。
モニカ「まだ・・・・ギリギリセーフ・・・・かな。」
青少年・タケト「お前の方が勝っているだって?さあて、次はどうかな?いくぞ!!アース・スティンガー・ダウト!!」
土の中から、無数の土の矢が、ケンイチを囲むように飛んできた。
中年・ケンイチ「今度は矢かよ!!心眼剣!!」
一 天竺 一
シーラは白装束に着替えて、10分ぐらい滝に打たれ続けていた。
シーラ「ああ、もう駄目だ!!」
シーラは滝から出て、店の畳の上に膝まづいた。すると、丸坊主頭で、チューリップの柄の作務衣を着た、アンドロイドの女の店員が話しかけて来た。
店員「お客さん、ユリママはこの後も予約でいっぱいで、あと1時間待ちになります。あと1時間、滝に打たれながら待ちますか?それとも、誰か他のキャバ嬢にしますか?」
シーラ「あと1時間も滝に打たれるなんて、ムリムリムリムリ!!誰か他のキャバ嬢にしてくれ!!」
店員「分かりました。では、着替えたら、こちらのテーブルへどうぞ。」
アンドロイドの客達「ったく、人間は根性がねえなあ。俺なんか、ユリママに会いたいがために、5時間滝に打たれ続けたぜ!!」
「俺は3時間ぐらいだったかな。」
「ユリママに、すぐ会えると思っているその根性が気に入らん。」
シーラは、濡れた白装束を脱いで、自分の服に着替えると、店の一番奥のちゃぶ台に案内された。
シーラ(月の輪熊の像がある地下の行き方なら、ユリって奴じゃなくても知っているかもしれない。とにかく、何か情報がほしい。)
シーラがちゃぶ台に座って待っていると、頭がモヒカンで、身長が2メートルぐらい、ひまわりの柄が入った白の作務衣を着た女のアンドロイドキャバ嬢・ムスタングがやって来た。
ムスタング「はじめまして。ムスタングといいます。よろしく!!お兄さんは、ここ初めて?」
シーラ「ああ、初めてだ。俺はデビルタウンから来たんだ。」
ムスタング「あら、そう。デビルタウンから来たってことは・・・・」
「ビシッ」
突然、シーラは右肩を警策で叩かれた。
シーラ「イテッ」
丸坊主頭で、グレーの作務衣を着た女のアンドロイドの店員が、警策を持って、シーラの後ろに立っていた。
店員「お兄さん、今、話している最中に首が動いたわよ。ここは、修業キャバクラなの。その辺のキャバクラと一緒にしないでね。」
シーラが店内を見渡すと、あちこちで"ビシッ""バシ"と客達が肩を叩かれていた。
客達「いやあ、身が引き締まるわ。」
「Mにはたまらんわ。このシチュエーション。」
シーラ(俺には分からねえ。このキャバクラの良さが分からねえ。)
警策を持った店員は去り、再びムスタングが話し始めた。
ムスタング「お兄さん、月の輪熊の像を捜しに天竺に来たんでしょ。少し前にも、デビルタウンが来て、戦争になったことがあったから。」
シーラ「俺達は、戦争に来たわけじゃない。」
ムスタング「分かってるわ。ユリママの前の三蔵法師は偽物で、ちょっとイカれてたから。」
シーラ「偽物っていうか、ルシファーだったって俺は聞いてる。」
ムスタング「そうだったんだ。本物の三蔵法師は、地下にいるの。あなたが探している、月の輪熊の像がある地下に。」
シーラ「まじか!!三蔵法師は生きているのか?」
ムスタング「生きているわ。ユリママは三蔵法師の指示に従って、人間からお金を取るようにしたの。金の砂漠も、少し金を採ったって、前みたいに襲ったりしないわ。採りすぎたら、襲われるけどね。」
シーラ「それで、天竺の人間の割合が増えたんだな。で、その地下にはどうやって行くんだ?」
ムスタング「今から行ってみる?その地下へ。」
シーラ「ああ。」
ムスタングは立ち上がり、シーラをお姫様抱っこして叫んだ。
ムスタング「池、入ります!!」
客・店員達「いいね!!いいね!!新たな旅立ちに乾杯!!」
「いいね!!いいね!!お兄さん、やったね!!」
その喝采を聞き終わると、ムスタングはシーラを抱っこしたまま店を出て、2720段ある階段をもの凄い速さで降り始めた。
シーラ「おい、どこに行くんだ?降ろしてくれ!!」
ムスタング「どこって、地下に行くんでしょ!!」
シーラ「場所さえ教えてもらえば、自分で行くから!!降ろしてくれ!!女にお姫様抱っこされるって、恥ずかしい!!」
ムスタング「ダメ。」
ムスタングは、階段を降り終えると、シーラを抱っこしたまま超高層寺の裏にまわり立ち止まった。そこには、濁った青色で、蓮の花が無数に咲き、頭が人間、体がオタマジャクシの人面オタマジャクシや、頭が人間、体がヒルの人面ヒルがウジャウジャと泳いでいた。
ムスタング「お兄さん、アディオス。」
シーラ「うわっやめろ!!俺は地下に行きたいんだ!!ここは池じゃないか!!」
ムスタング「だから、この池から地下に行くの。じゃあね。」
シーラ「うわああああ!!」
ムスタングは、シーラを池の中に放り投げた。




