season 4 "なにか"を持っている女(魔王・勇者 ・・・・サイド)
魔王・ミナ「私は、デビルタウンの魔王・ミナ。いくわよ!!シノビ柔術・骨法!!」
ミナの速い突き、蹴り、肘打ちがヒットし、5人のヌエ人間達が倒れて、うずくまり呻いた。
ヌエ人間達「うぅ・・・・痛え、いてえよ。」
「なんて速い動きだ・・・・さすが魔王だ。」
「クソッただでさえ疲れているのに・・・・しかも、こんな空手の達人みたいな奴が相手かよ・・・・。」
セオ「てめえら、こんな小娘にやられてんじゃねえ!!囲め囲め!!囲んで一気に袋叩きにするんだ!!」
ヌエ人間1「しかしリーダー、デビルタウンの魔王って言ってますよ。」
セオ「魔王が、こんな若い女なわけないだろ!!どこかの国の女知事でさえ、60超えてるのに、20歳そこそこのこんな小娘が、選挙で票を集めれるわけがねえ!!こいつは、魔王を夢見る少女だ!!街の空手道場かなんかに通っている、魔王を夢見る少女だ!!」
ヌエ人間達「なんであれ、この女は強い。でも、こっちはまだ40人近くいるんだ。一斉に飛びかかるぞ!!」
「おお!!時代劇みたいに、一人一人いく必要はねえ!!」
「気をつけろ!!えげつない魔法が使えるのかもしれん。なんてったって、自分のことを魔王と言ってるんだからな。」
ヌエ人間達38人は、ミナの回りを囲んで、ジリジリと間合いを詰め始めた。
魔王・ミナ「出でよ!!ガマ・サムライ!!」
巨大なちょんまげをしたガマガエルが現れ、ミナは頭の上に飛び乗った。
ヌエ人間達「うおお!!化け物!!」
「こいつはヤバい奴だ!!」
ガマ・サムライは、巨大な長い舌でヌエ人間達を捕らえ、次々と呑み込んだ。
セオ「退け!!退け!!離れろ!!散らばれ!!標的を絞らせるな!!」
ヌエ人間達は散らばって、逃げ始めた。ガマ・サムライはヌエ人間達を追いかけ回し、15人呑み込むと、疲れて消えた。
魔王・ミナ「ちょっとガマ!!サムライに進化しても、スタミナは相変わらず無いわね。」
セオ「おい、化け物が消えたぞ!!」
ヌエ人間達「よし、もう一度、あの小娘をみんなで囲め!!」
「気をつけろ!!まだ何か隠し持ってるかもしれん。」
「俺、あの女、恐えよ。」
「俺もだ。もう、家に帰りたい。」
怯えながらもヌエ人間達は、ミナを再び囲み、ジリジリと間合いを縮め始めた。
ミナは、黒のロングパンツの右ポケットに手を入れ、何かを取り出した。それを見たヌエ人間達は、慌ててその場を離れ、バラバラに散らばった。
セオ「うおお!!ヤバいヤバい!!みんな、逃げろ!!」
ヌエ人間達「ヒィ!!今度はなんだ!!」
「うわああああ!!神様!!助けて!!ヘルプミー!!」
魔王・ミナ「レモンキャンディー美味しい!!緊張して、喉がカラカラになっちゃった。」
セオ「このアマ!!ふざけやがって!!しかし、この状況で飴玉をなめるとは。さすが、自称・魔王を名乗るだけのことはある。」
ヌエ人間達「リーダー、ここはいったん退いた方が。この女、絶対他に何かありますぜ。」
「そうですよ、リーダー。こっちはまだ、20人ぐらいいるのにこの余裕。絶対なにか持ってますよ。」
セオ「だったら、その"なにか"ってやつを見せてもらおうじゃないか!!あれだけの化け物を、何回も何回も召喚はできないはずだ!!体力的に無理ってもんだ!!それに召喚獣は、金がかかるって聞いたことがある。」
ヌエ人間達「リーダーがそこまで言うなら・・・・。」
「魔物が人間を支配する世の中を作るためだ!!この女は、乗り越えなければならない壁だ!!」
「このまま引き下がったんでは、ガマガエルに喰われた仲間達が浮かばれない!!」
ヌエ人間達は、再びミナを囲み、警戒しながら、恐る恐る間合いを詰め始めた。
魔王・ミナ「出でよ!!キング・オブ・ワイルド!!」
一 デビルタウン デビル建設支所 一
召喚獣・ケンイチ「魔法使いタクシーはいないから、迎えを呼んだらどうだ?」
ワイン社長「そうね。じゃあ、そうするわ。グロリア!!」
ワイン社長は、金色の小さなおばさん・グロリアを呼び出した。グロリアは、金髪に金色のカッパを着た、身長5センチ程の中年のおばさんだ。グロリアは、ワイン社長の掌の上に現れた。
召喚獣・ケンイチ「さすが社長だ。金色の小さなおばさんと、契約をしているとは。」
ワイン社長「緑はすぐ圏外になるから。グロリア、ディーンをお願い。」
グロリアが魔法を唱えると、空中に、50代ぐらいの白髪頭の黒執事・ディーンの画面が現れた。
ワイン社長「ディーン。今、デビルタウンにいるんだけど、魔物達に囲まれて帰れなくなったの!!迎えに来て!!」
ディーン「分かりました。少し時間がかかりますが、それまで大丈夫ですか?」
ワイン社長「キング・オブ・ワイルドがいるから大丈夫よ。」
ディーン「分かりました。急いで行きます!!」
ワイン社長「お願いね。」
グロリア「ワイン社長、あなたの現在位置を常にディーンに分かるように、表示します。」
そう言うと、グロリアはワイン社長の肩の上に飛び乗った。
召喚獣・ケンイチ「なんか、手乗り文鳥みたいだな・・・・ん?おお!!またミナが召喚している!!」
ケンイチの姿がだんだんボヤけ始めた。
ワイン社長「ちょっと、私をこんな所で一人にしないで!!」
ワイン社長は、ケンイチの右腕を両手で思いきり掴んだ。
召喚獣・ケンイチ「痛ててて!!社長、そんなに強く腕を掴むな。」
ワイン社長「私も一緒に行くわ!!こんな魔物の巣みたいな所に置いてかないで!!」
そして、ケンイチとワイン社長は、その場から消えた。
一 デビルタウン ラブホ通り 一
ラブホ通りでは、チーフ・タケト率いる魔物軍団と、ファージ率いる魔王の騎士と魔法使い軍団が戦っていた。数で勝る魔物軍団が圧倒し、ファージ達は、魔物達が街中に入るのを、なんとか防いでいた。
魔王の騎士1「ファージさん、グラスランドシティーのホワイト・ナイト達が、応援に駆けつけてくれました。」
ファージが空を見上げると、羽根アリバイクに乗った、金髪の白い特効服を着た女を筆頭に、同じく白い特効服を着て羽根アリバイクに乗った、いい歳したおっさんや若者達が、空飛ぶ魔物達を金属バットでぶん殴り、打ち落としていた。
シルビア「オラオラオラオラ!!この空はあたいの道だ!!トロトロ飛んでんじゃねえ!!」
ファージ「シルビアか・・・・あれが、伝説のシルバー暴走族ってやつか・・・・・。」
また、キリギリスの昆虫人・ジョニー率いる"グラスランドシティーを守る会・フリーター:ニート連合"も応援に駆けつけていた。
ジョニー「鶏が先か?卵が先か?ファイナルアンサー・鶏!!いけ!!フェニックス!!」
ジョニーの掌から、炎の卵が現れてひよこがかやり、あっという間に大きな火の鳥となって、魔物軍団に襲いかかった。また、グラスランドシティーを守る会:フリーター・ニート軍団のこの日の日給は10万円ということで、みんな恐ろしく強かった。
ジョニー「みんな、何も考えるな!!ただ目の前の魔物達を倒せ!!それだけで、今日1日10万だ!!めんどくさい作業より遥かに簡単な仕事だ!!」
ファージ「加勢してくれるのはありがたいが、それにしても、グラスランドシティーには、フリーターやニートが多すぎる!!ハローワークは、ちゃんと仕事を斡旋してるのか!!」
魔王の騎士2「ファージさん、彼らは働いたら人生敗けだと思ってます。だから、一歩間違えれば、彼らもまた、魔物達と変わりありません。」
ファージ「まるで、毒には毒を持って制すだな。」
デビルタウンの魔王の騎士・魔法使い軍団は、グラスランドシティーのホワイトナイトと、フリーター・ニート連合の加入で、なんとか魔物軍団と互角に戦えるようになった。ラブホにいたカップル達は、エッチをするのを忘れて、この戦いを見るのに夢中になった。
シルビア「人が必死に魔物達と戦っているのに、セックスしてんじゃねえ!!」
たまにシルビアが、ラブホの窓ガラスを金属バットで叩き割って部屋に入り、カップル達に蹴りを入れては、ラブホから出て来るといった行動を繰り返した。
優勢だった状況が、やや劣勢になりつつあり、チーフ・タケトは立ち上がった。
チーフ・タケト「お前ら、道を開けろ!!」




