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デビルタウン物語  作者: 明日こそはシンデレラ
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season 4 契約更新と海亀(地獄サイド)

ケンイチとサキヤマは、パドル・シップに100個ずつ袋詰めにされた、エナジー・ストーンを100袋ずつ詰め込み、シリウスとセナ・セイジがいる作業場と倉庫を往復していた。年配のサキヤマは、息をきらしながら、しんどいのを紛らすかのように、ケンイチに話しかけた。


サキヤマ「ケンイチ、エナジー・ストーンは何でできてるか知ってるか?」


労働者・ケンイチ「さあ?考えたこともないです。」


サキヤマ「聞いて驚くなよ、エナジー・ストーンは、天使の糞と天国の土を混ぜて加工した物だ。」


労働者・ケンイチ「嘘でしょ、天使はこんな綺麗なエメラルドみたいなウンコをするんですか?」


エナジー・ストーンは、縦12×横20×高さ6センチ程の直方体の石で、エメラルドのような緑色をしており、袋詰めにされた袋を開けると、空中にふわふわと浮く石だ。シリウスやセナ達作業員が、エナジーストーンを並べ、その上から凝固剤を塗ることにより、エナジー・ストーンは空中に固定され、敷石の道路となる。


サキヤマ「そうだ。ヨシゾウさんから最初、聞いたときは、俺もびっくりしたよ。身も心も綺麗な天使は、綺麗な糞をひるそうだ。嫁にするなら、天使がいいぞ。ケンイチ。」


労働者・ケンイチ「いや、俺はゴリラだし・・・・じゃあ、シリウスやセナ達は、天使のウンコを手で並べて、道路造りをしているってことになりますね。」


サキヤマ「そうだ。天使が便所できばって、エメラルドの糞をする姿、見てみたいよなあ。」


ケンイチ「・・・・・・・・。」


ケンイチとサキヤマが袋詰めにされたエナジー・ストーンを作業場に降ろしていると、何処からともなく、召喚獣派遣会社のエッグが現れた。


エッグ「やあ、ケンイチさん。調子はどうですか?今日は、契約の更新に来ました。今月から3ヶ月おきの契約更新となります。」


労働者・ケンイチ「ちょうどいいところに来た。これはミナから聞いたんだが、俺を呼び出すのに1回15万もかかるらしいな。もっと安くならないのか?しかも、俺の取り分はその中の1万だぞ。」


エッグ「それはちょっと難しいですね。ケンイチさんを現場に転送するのに5万、現場監督の与作さんに5万、ケンイチさんに1万、そして私共派遣会社に3万、その他経費に1万となっておりまして・・・・。」


労働者・ケンイチ「ちょっと待て、与作に5万てのはなんだ?それに、俺を転送するのに5万もかかるのか?」


エッグ「ケンイチさんを現場から勝手に引き抜かれては困るということで、現場監督の与作さんとこのような契約を結ぶことになりました。あと、ここは地獄なんで、魔王・ミナ様とは次元が違う世界になります。ですから、ワームホールを発生させてケンイチさんを転送しています。そのワームホールを発生させるのに5万ほどかかりまして。」


労働者・ケンイチ「与作め。俺が召喚されればされるほど、あいつが儲かるということか。濡れてに泡じゃないか!!あの野郎!!」


エッグは、ケンイチに2枚、契約更新の書類を渡した。


エッグ「ええ。まあ、そうですね・・・・ケンイチさん、ここの所にサインをお願いします。1枚はケンイチさんが持っていて下さい。」


エッグは、2枚の契約更新の書類のうちの1枚を受け取った。


エッグ「ケンイチさん、体に気をつけて。ああ、そうそう。近々、ワイン社長があなたを召喚するみたいですよ。ではでは。」


労働者・ケンイチ「15万じゃ、月に1回召喚されたらいい方だな。地獄の時給は安いし、当分、元の世界には帰れそうにないな。」


ケンイチは、地獄の赤い空を見上げ、深い溜め息をついた。そして、再び袋詰めにされたエナジー・ストーンを、パドル・シップから作業場に降ろし始めた。


 


          一デビルタウン一

         


黒のニットワンピ、ベルトで茶色のウェストマーク、グレーのレギンス風グロップドパンツに薄茶色のヒールを履いたワイン社長は、5人のブラックスーツを着たボディーガードを連れて、ブルーのスリップドレスを着た娘・ジェシカとデビルタウンに買物に来ていた。


ジェシカ「お母さん、そろそろお昼にしましょう。」


ワイン社長「ちょっと待って。あの店の服も見てみたいわ。」


ジェシカ「なんか、街中がざわついてるんだけど。」


ワイン社長達は、街の中心にあたる時計台の近くの服屋に入った。店の中から、時計台を見守る魔王の騎士達とデビルセキュリティの警備員達の光景が見えた。サファリスと10数名の魔王の騎士達が乗り込むと、時計台は空へと飛び立った。





       一デビルタウンの洞窟一



タケトがいる洞窟には、続々と魔物達が集まって来ていた。ジムは洞窟の外に出て、魔物達の出迎えをしていると、時計台が飛び立つのが見えたので、タケトに報告をしに洞窟の中へ入った。


ジム「チーフ、時計台が今、デビルタウンを飛び立ちました。」


タケトは、焼肉のタレに、焼いたアオダイショウの肉をつけて食べていた。


チーフ・タケト「悲しいかな、まともな牛の肉を食べると、下痢をする腹になっているとは。」


タケトは立ち上がり、マツダとジムに、先ほどジムがデビルタウンで買ってきた、赤いハチマキを配るように指示した。全ての魔物達にハチマキが行き渡ると、頭に巻くように指示し、自分も頭に巻いた。そして叫んだ。


チーフ・タケト「敵はデビルタウンにあり!!俺は、今日限りで蛇を食べるのはやめる!!今こそ、俺達魔物が、人間の上に立つときだ!!」


ジム「チーフ、今日でその台詞、3回目ですよ。それに夕方までまだ時間があるし、まだ魔物達は全員集まっておりません。」


チーフ「バカ野郎!!魔物達じゃなくて、そこは同志だろ!!」


ジム「す、すいません。チーフ。」


魔物達「おお!!さすが元2代目の魔王様だ。俺達のことを同志と呼んでくれるとは。」


「腕力だけでなく、情に厚い方と見た。俺はこの人に一生ついていくぜ。」


タケト「知ってのとおり、デビルタウンに住んでいる魔物達もいる。歯向かってくる奴はしょうがないが、それ以外の奴は、できるだけ殺さないようにしてくれ。魔物である以上、俺達の仲間だ!!ターゲットは、魔王と人間達だけだ!!」


魔物達「おお!!了解。分かったぜ、チーフ!!」


「この人こそ、魔王になるために生まれた人だ!!いや、ゴリラだ!!」


「ゴリラ魔王、バンザーイ!!ゴリラ魔王、バンザーイ!!」


タケトは、エールに笑顔で応え、右手を上げた。


チーフ・タケト(俺のことを、ゴリラゴリラと連呼しやがって!!後でコイツら、全員皆殺しにしてやる!!)




          一再び地獄一



セナ「魔王様、今日は金曜日で、カレーうどんの日です。」


労働者・ケンイチ「おお!!うまそうだな。俺はまだ、食べたことがないんだ、いつも売り切れで。」


シリウス「あれは人気がありますからね、12時になる5分前に、現場を離れて地獄食堂に行かないと無理ですね。」


サキヤマ「お前達は甘いな、俺はいつも、30分前には地獄食堂に入ってるぜ。トイレに行くと言って、そのまま地獄食堂に直行するんだ。」


労働者・ケンイチ「ヨシゾウさんに、何か言われたりしないんですか?」


サキヤマ「俺はお前達と違ってジジイだからな、ジジイは全ての世界で許される、だから、生前は、生活保護も簡単に申請されたよ。ところが、まさか死んでから働くことになるとはな。もし、今度生まれ変わったら、どこかの王国の王子か政治家の息子がいいな。とにかく、金持ちの息子がいい。」


シリウス「たぶん、サキヤマさんは生まれ変われないでしょう。」


セナ「俺も、サキヤマさんは生まれ変わらない方がいいと思う、その方が世の中のためだ。」


サキヤマ「ったくお前らは、人生の先輩に向かって失礼なことを。ケンイチ、お前は生まれ変わるとしたら何になりたいんだ?またゴリラか?」


労働者・ケンイチ「俺は・・・・海亀です。海亀なら天敵も少ないし、あの広い海を自由に泳ぎ回って、なんか楽しそうじゃないですか?」


シリウス「おお!!魔王様って、以外とロマンチストですね。」


セナ「確かに。人間前提の発想しかなかったから。いいですね、海亀なら、金や仕事のことで悩んだりしなくて済みますし。」


サキヤマ「甘いな、お前ら。海亀は大人になるまでが大変なんだ!!天敵がいなくて海を自由に泳げると言ったらヒトデだろ。俺なら迷わずヒトデを選ぶ!!」


セナ「だから、サキヤマさんは不真面目だから、生まれ変われないって。」

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