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デビルタウン物語  作者: 明日こそはシンデレラ
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season 4 敗者達の再出発(魔王・勇者・キャバクラサイド)

魔王の騎士達「魔王様、ガマとゴリラはいませんでした。」


「大きな猪がいました。」


ファージ「お前ら、本当か?」


魔王・ミナは、背中に背負った黒いリュックから、縦10×横15センチぐらいの大きさの、魔王石板を取り出して話しかけた。


魔王・ミナ「魔王石、さっきのゴリラは今、どこにいるの?」


魔王石板は、魔王・ミナ達の位置から少し先にある、大きな洞窟を映し出した。


魔王・ミナ「どうやら、ここから少し先にある洞窟にいるみたいね、あのゴリラは。ガマは、燃費切れで消えちゃったみたい。」


ファージ「洞窟の中は魔物だらけかもしれませんね、それにもう夕方だし、この人数で林の中は危険だから、いったん出直しましょう。」


魔王・ミナ「そうね。ゴリラが反省して、お金を出したということにして、後でアスナにでも、ゴリラが食い逃げをしたお店にお金を払いに行かせましょう。とりあえず、ゴリラの件はいったん置いといて・・・・私に考えがあるわ。」


魔王・ミナ達は、林を抜けてデビルタウンへと帰って行った。




タケトは洞窟の中に入り、温泉の方を見ると、ジムとイトウ他、バイトや日雇いの仕事から帰って来た魔物達でいっぱいだった。タケトは白いスーツを脱いで、温泉の中に入った。


チーフ・タケト「どけ!!どけ!!お前ら、邪魔だ!!」


タケトは、魔物達を蹴散らして、温泉のど真ん中に浸かった。


チーフ・タケト「グオオオオ!!」


タケトが温泉に浸かった瞬間、肛門部分から激しい痛みが生じた。


チーフ・`タケト「クッ野糞を長い時間し続けたために、尻に力を入れすぎたから、肛門に負担をかけたようだ。クソッ。」


イトウ「チーフ、お疲れ様です。じゃあ、俺はマックのバイトがあるんで。」


温泉から出ようとしていたイトウを、タケトは痛む肛門を我慢しながら立ち上がり、殴りつけた。そして、倒れたイトウの顔に何発か蹴りを入れ、胸ぐらに生えた長い毛を持って、立ち上がらせた。


チーフ・タケト「お前、さっきはよくも、俺のことをゴリラ呼ばわりしてくれたな。ゴリラ100連発パンチ!!」


イトウ「ギャアアアア!!誰か・・・・た・・・・す・・・・け・・・・。」


タケトは、イトウの顔面に100発パンチを入れ、動かなくなったイトウを洞窟の隅に投げ捨てた。それを見ていた魔物達は、騒然とした。


魔物達「おいおい、ちょっとやりすぎだろ。」


「あれは、たぶん死んでるな。」


「チーフが怒ると恐えな、さすが元魔王。」


チーフ・タケト「お前らは魔物のくせに、バイトをしたり日雇いをしたりして、人間にへつらってんじゃねえ!!魔物は何事も、腕力で解決すればいいんだ!!」


タケトは興奮を沈めようと再び温泉に浸かると、デビルタウンの風俗街の裏路地で、ポン引きをしているミノタウロスのマツダが近寄って来た。


マツダ「チーフ、これは裏情報なんですが、明日、魔王達は、何人かで時計台に乗って天竺に行くそうです。たまにうちの店を利用する魔王の騎士の奴が言ってました。」


チーフ・タケト「本当か?」


マツダ「はい。月に行くために必要な、月の輪熊の像を探しに行くとかで。」


チーフ・タケト「てことは、明日は、あの忌々しい小娘の魔王は居ないってことか・・・・よし、決めた!!明日のこの時間に、デビルタウンを襲撃して占拠するぞ!!みんな、今すぐ知り合いの魔物達に伝達するんだ!!俺の命令に従わない奴は、今すぐあのイトウのように殺すぞ!!」


首から上がワニで、体が人間のワニ人間・ハシモトが抗議をした。


ハシモト「チーフ、落ち着いて下さい。デビルタウンを守る魔王の騎士達は強いです。それに何かあると、デビル建設の子会社・デビルセキュリティがすぐ駆けつけて来ます。そして何よりも、今の俺達は、戦闘よりも作業の方が得意てす。」


チーフ・タケト「馬鹿野郎!!」


タケトはハシモトを殴りつけ、ハシモトは5メートル程ぶっ飛んだ。


チーフ・タケト「お前らは、いつまでバイトや日雇いの仕事を続けるつもりだ!!闘いや争いを魔物が恐れてどうする!!魔物はよく頑張っても契約社員までだ!!正社員にはなれない!!俺は元2代目の魔王だ!!俺が世界を変えてやる!!魔物が人間を支配する世界に、俺が変えてやる!!」


魔物達「おお!!どっかで聞いたことある台詞だが、感動した!!」


「確かに、いつまでも俺達魔物を、人間が雇ってくれるとは思わない。」


「デビルセキュリティも、ここんとこずっと募集してないしなあ。」


「デビル建設もだ。」


チーフ・タケト「デビルセキュリティも魔王の騎士達も、俺からすれば、ただのザコキャラだ!!問題なのは、あのガマガエルを召喚する小娘の魔王だけ。あいつさえ殺してしまえば、俺は無敵だ!!」


魔物達「おお!!確かに、チーフは冒険者達を圧倒したしな。」


「洞窟の家賃がタダで、生活が少し楽になったのもチーフのおかげだ!!」


「よし、俺はチーフについて行くぜ!!」


「俺もだ!!」


「俺もチーフに1票だ!!」


魔物達は、小さな骸骨のおじさんや緑のおじさん達を使って、知り合いの魔物達に連絡を始めた。洞窟の隅では、イトウの死体に、巨大なムカデやゴキブリなどの虫が群がっていた。


タケト(お前らは将棋のコマだ。俺がもう一度、魔王に返り咲くためのお前らは、ただの"歩"だ!!この中から"と金"になる奴が現れるといいが、"と金"になったとしても、捨て駒には変わりない。要するに、俺は自分さえ良ければそれでいいんだ!!)






デビルタウンのカツアゲ・ロードの裏路地にある小さな家に、明菜ことルシファーは、この家の住人でアンドロイド、見た目はマネキン人形の男・シンと話をしていた。


ルシファー「まさか、こんな所にアンドロイドがいたとはな。」


シン「交換した腕の調子はどうだ?」


ルシファー「まあまあだ。」


シン「こないだも、アンドロイドの奴が真空電池を抜いてくれと来てな、そこに座っている奴なんだが。」


ルシファーとシンが座って話をしているテーブルの部屋の片隅に、壁にもたれて座っているマネキン人形があった。


シン「俺達アンドロイドは、何も食わなくていいし、真空電池が勝手に充電するから、大人しくしていれば故障も滅多にない。だから金がいらないし、働く必要もない。働いたら働いたで、仕事でミスする事がなく、不眠不休でいられる俺達は、人間達に煙たがれる。そして、いつしか職場の人間達にボコボコに金属バットや猟銃で撃たれてスクラップ状態にされ、山に捨てられる・・・・この地球では、俺達アンドロイドは、何もしないのが1番だ。」


ルシファー「それでそこの奴は、何もしない日々に耐えきれず、あんたに電池を抜いてくれと頼んだわけか。」


シン「そうだ。何もしないってのは、なかなか時間が経たなくてなあ。時間が経ったところで、不老不死の俺達は死ぬわけでもなく、時代が劇的に変化するわけでもなく、ほんと、なんなんだろうなあ、俺達って。」


ルシファー「月に戻りたいとは思わないのか?」


シン「・・・・地球ここも地獄だが、月はもっと地獄だ。悪いことは言わない、月に行くのはやめとけ。」


ルシファー「そうか・・・・腕、ありがとな。これ、要らないと思うが金だ。」


ルシファーは、テーブルに30万置いた。


ルシファー「領収証をくれ。確定申告にいるんだ。」


シン「お前、確定申告をするつもりなのか!!キャバ嬢だろ?店側が源泉徴収をするんじゃないのか?どこの店に勤めてるんだ?」


ルシファー「チョチョリーナだ。ちなみに、来週から俺のアパートの近くのセニョール店勤務になる。」


シン「そうか、お前は凄いな。俺は、ここに来てから住民税を一度も払ったことがない。俺は働くのが恐いんだ、俺は鬱病なのかもしれない。」


ルシファー(アンドロイドの鬱病かよ・・・・笑える。)


ルシファー「鬱病か・・・・俺は最近、ブラジャーやパンティーを普通に履く自分が恐い、最近では、普通にスーパーでパンティーを買うようになり、そこの若い女の店員とパンティーについて語ってしまう自分が恐ろしい・・・・俺は本当は、女なのかもしれない。」


シン(アンドロイドの女装かよ・・・・笑える。)


シン「それは女装だと言いたいが、お前の身体は女だしなあ・・・・まあ、お互い気長に頑張ろう。時間はたっぷりある。」


ルシファー「そうだな。」


ルシファーは立ち上がり、シンの家から出て行った。


ルシファー「腕も直ったし、また明日からキャバクラ出勤だ。人間関係に気をつけないとな。」

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