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デビルタウン物語  作者: 明日こそはシンデレラ
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season 4 チーフ・タケト デビルタウンへ(勇者サイド)

コボルト・イトウ「チーフ、またアオダイショウですか?」


タケトは洞窟の中で、アオダイショウの皮を剥ぎ、串に刺して焼いて食べていた。


チーフ・タケト「ああ。召喚獣の世界にいたときに、食うものがなくてな。それで、蛇や蛙なんかを捕って食べてたんだが、それからだな。ここの洞窟は、食えるものが沢山ある。今度、巨大ミミズを食ってみよう。」


コボルト・イトウ(そんな気持ち悪いもん、よく食えるぜ。見ているこっちが気分悪い、オエッ。)


イトウは、アオダイショウを美味しそうに食べているタケトを見て、吐き気を催した。


ジム「魔王様、たたいま戻りました。あのババア、隣の山の中にゴブリンの村があり、どうも、そこの村長らしいです。」


タケト「おい、ジム。その魔王様っていうダサい呼び方はやめろ、魔物丸出しじゃないか。俺は魔物達の勇者だ、これからは、チーフと呼べ。」


ジム「チ、チーフですか?」


タケト「そうだ、人間の会社では、仕事ができる奴はチーフって呼ばれるんだ。お前は自営業だから、初耳だろ。」


ジム「はい、初耳です。そうなんですか、分かりました。なんか、格好いいですね、チーフって。では、チーフ、そのババアのゴブリンの村なんですが、どうもタバコを栽培して儲けているようです。」


チーフ・タケト「ほう。それは襲いがいがある村だな。よし、さっそく、この洞窟の魔物達を集めて、村を襲いに行くとするか。おい、イトウ、みんなを集めろ。」


コボルト・イトウ「チーフ、みんなは今、近くの村や街にバイトをしに行ってます。ここにいるのは、チーフと俺とジムだけです。」


チーフ・タケト「なんだと!!魔物が働くなんて話、聞いたことないぞ!!」


コボルト・イトウ「チーフ、人間は努力をする生き物です。剣の修行をしたり魔法を覚えたりと。だから、最近の冒険者達は恐ろしく強い奴らばかりでして。それに比べて俺達魔物は、できれば楽して生きたい奴らばかりで。努力して自分より強い奴を倒すより、努力せずに、自分より弱い奴を倒すほうが手っ取り早いですから。」


チーフ・タケト「だったらバイトなんかやめて、自分より弱い奴からカツアゲをしたり、身ぐるみを剥がせばいいじゃないか。人間1人相手に、10人ががりで襲えば勝てるだろ。不意討ちや闇討ちでもいいんだ。とにかく、魔物が働くのはやめるべきだ。」


ジム「チーフ、魔物でも、私やヤスユキのように、ケンカが苦手な連中もいるんです。だから、魔物にも働く許可を。バイトをする許可を下さい。」


チーフ・タケト「分かった分かった。好きにしろ。ちょっとステーキを食いに行くから、お前らも付き合え。」


コボルト・イトウ「いいですが、俺は夕方からマックのバイトが入ってまして・・・・。」


ジム「チーフ、俺も今日は、殴られ屋をしようと思うんで。」


チーフ・タケト「お前ら・・・・意外と真面目だな・・・・。」


タケト、イトウ、ジムの3人は、昼前に洞窟を出て、デビルタウンへと歩いて向かった。空は青くいい天気で、いろいろ話をしながら林の中を通り抜け、3人はデビルタウンに着いた。タケトは、洞窟に住み着いて以来、温泉に入って、洞窟の中の蛇ばかり食べていたので、久しぶりの街だった。


コボルト・イトウ「チーフ、あれが最近できたステーキハウス・ギャランドューです。」


チーフ・タケト「おお!!」


木造のレストランで、ギャランドューと書かれた大きな看板が、店の入口に飾ってあった。


ジム「ステーキ200グラムのステーキランチが1200円か。安いのか?こんなの食べたことないからなあ。」


コボルト・イトウ「安いと思うぞ。さあ、入りましょう。」


3人が席に座ると、若いヴァンパイアの女が水とメニューを持って来たので、3人とも、ステーキランチを頼んだ。


チーフ・タケト「ヴァンパイアといえば、てっきりヘルスで働くものとばかり思っていたが、レストランにもいるんだな。」


コボルト・イトウ「おそらく、あのヴァンパイアのウエイトレスは学生でしょう。最近は、ホワイトカラーの職につくために、勉強熱心な魔物も増えているみたいで。もはや、魔物も腕力ではなく、頭を使う時代になったのです。」


チーフ・タケト「おいおい、さっきは、魔物は努力が嫌いな連中が多いと言ったじゃないか。どっちなんだよ。」


コボルト・イトウ「あれは時代遅れの魔物達のことで、賢い魔物達は、人間社会に溶け込むために勉強をするようになったのです。魔物も人間と同じく傷つくのが嫌なので、闘うより働くという選択をするようになったのです。」


ジム「今の魔王様は、学生で勉強熱心な方だとか。なので、デビルタウンには、やたらと図書館が多く、また、黒のスーツに眼鏡をかけたメガネ女子が目につくようになりました。働くOLの街って感じです、今のデビルタウンは。」


コボルト・イトウ「世界中の情報が分かるデビル・ネットも普及しているみたいですよ。」


チーフ・タケト「・・・・・・・・ついていけねえな。」


そうこう話をしていると、タケト達の前に、ヴァンパイアのウエイトレスと人間の若い男が、ステーキランチを運んで来た。

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