season 4 タケト 苦戦!!(勇者サイド)
タケトは、洞窟の温泉に浸かりながら思った。
タケト(せっかく元の世界に戻ったのに、家なしで洞窟暮らしかよ。これじゃあ、召喚獣の世界と変わらないじゃないか。おまけに、この洞窟は家賃がいるときた。温泉付きでも、普通、洞窟はタダだろ。)
タケトは温泉から出ると、横になって寝転がった。サイクロプスのヤスユキは、デビルタウンに戻って行き、ゴーレムのジムは、魔物達とサイコロで賭事を始めた。
タケトはいつの間にか寝てしまっていた。なにやら周りが騒がしいので目が覚めてみると、長袖のピンクのポロシャツに、モンペを履いた小柄なゴブリンのおばちゃんが、3人の冒険者パーティーを連れて洞窟に入って来ていた。
ゴブリンのおばちゃん「ジム、久しぶりだね。さっそくだけど、滞納している家賃を今すぐ払いな!!」
ジム「おばちゃん、明日まで待ってくれ!!必ず、明日払うから!!」
ゴブリンのおばちゃん「駄目だね、今すぐだ!!払えないなら、ここにいる冒険者の皆さんに引き渡すまでだ!!」
冒険者の若い男の剣士が、ジムを連れていこうと前に出た。ジムは、先程のサイコロの賭けで負け、金は持ってなかった。今日の夜、デビルタウンて殴られ屋をして、家賃とタケトの敷金を稼ごうと思っていたのだ。
魔物達「ジム、家賃は払わないとダメだろ。」
「そうだぞ、ジム。魔物として、ルールは守らないと。」
「ジム、お別れだ。お前のことは忘れない、あばよ。」
ジム「誰だ!!俺を売った奴は!!ちくしょう!!」
タケトは、魔物達とジムのこの会話を聞いて、情けなく思った。
タケト(律儀に家賃なんか払いやがって。魔物なら家賃なんか踏み倒せよ、しかも、よりによってゴブリンのババアが大家かよ、ゴブリンごときに仕切られてんじゃねえよ、このババアもババアだ、取立てに冒険者を雇うなよ、魔物なら、取立てぐらい自分でしろってえの。)
タケト「おい、そこの剣士の兄ちゃん、ジムをどこに連れていくんだ?」
剣士「人食い山だ。」
タケト「人食い山?」
剣士「そうだ、世の中に不利益をこうむる人や魔物、動物を処分する山だ。」
ゴブリンのおばちゃん「おっと、あんたも今日からここに住むんだろ?話は聞いてるよ、あんたもさっさと敷金を払いな、今すぐだ!!」
タケト「払わないと言ったら?」
ゴブリンのおばちゃん「フフフッさあね、どうなるんだろうねえ。」
ゴブリンのおばちゃんは、スウッと冒険者達の後ろに退いた。タケトの前に、剣士の若い男の冒険者、弓を持った中年の男の冒険者、同じく眼鏡をかけた、中年の傘を持った男の冒険者が立ち塞がった。タケトは、首をひねり、ポキポキと鳴らした。
突然、弓を持った冒険者の男が矢を放った。しかし、魔のオーラに覆われているタケトには効かず、弓は弾かれて畳の上に落ちた。
弓の冒険者「ほう、魔のオーラか。ジュン、頼む。」
中年の眼鏡をかけた男・ジュンが、傘をかざして魔法を唱えた。
ジュン「プロテイン・マッチョマン・マンハッタン!!」
弓と剣士の冒険者二人は、プロレスラーのようなムキムキの体格になった。
剣士「いくぞ、ゴリラ!!」
弓と剣士の冒険者二人は、タケトに殴りかかって来た。
タケト「コイツら、戦い慣れてやがる!!」
タケトは、ゴリラガードで、なんとかムキムキになった二人の、パンチや蹴りの連打を防ぐのて精一杯だった。
剣士「俺達は、世界各国を旅して戦って来た冒険者だぜ、お前のように、魔のオーラに覆われている奴とも何回か戦ったことがある!!対策はバッチリだ!!」
タケトは、たまらず魔のオーラを解除し、体長が2倍の大きさのゴリラになった。
ジュン「今だ!!二人とも離れろ!!」
弓と剣士の冒険者二人は、サッとタケトから離れ、ジュンが魔法を唱えた。
ジュン「喰らえ!!サンダーソード!!」
ジュンの手から、イナズマのようなレーザーが放たれ、タケトの腹を貫いた。
タケト「グワッ」
タケトは吹っ飛んで、温泉の中に落ちた。




