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デビルタウン物語  作者: 明日こそはシンデレラ
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season 4 前向きで元気な男(魔王サイド)

次の日の朝、魔王・ミナは、ファージとサファリス、そして数人の魔王の騎士を連れて、時計台でグラスランドシティーに向かった。グラスランドシティーに着くと、カイワレ大根のビル群が見事に育ち、街は、ほぼ修復していた。時計台の底にある、青い半球水晶から商店街の入口に光線が放たれ、そこから、魔王ミナとファージ、二人の魔王の騎士が降りて来た。そして、商店街の裏路地にある、準備中と書かれた札が貼ってある小さなバーに入った。中では、ピンクの寝巻きを着たシルビアが、一人でカウンターに座り、カクテル・ブラックルシアンを飲んで、ボーッとしていた。


魔王・ミナ「髪が黒色になって、弱気のシルビアさんになってる。」


ファージ「この店は?」


魔王・ミナ「シルビアさんの実家兼店よ。シルビアさん、何やってるんですか!!しっかりして下さい!!」


魔王・ミナは、シルビアの隣に座った。


シルビア「・・・・ミナ・・・・あ、魔王様・・・・。」


魔王・ミナ「さあ、カクテルを飲むのをやめて、いつも通り仕事をして下さい!!」


シルビア「そんなこと言ったって・・・・ケンイチさんはもういないし・・・・・。」


魔王・ミナ「ケンイチさんは、まだ生きてますよ。」


シルビア「そんなの嘘よ、あなたに魔王の座を託して死んだんでしょ、現にあなたが魔王になってるんだから。」


魔王・ミナは、手さげ袋から青色のマナ板のような物を取り出して、カウンターのテーブルの上に置いた。


魔王・ミナ「これは、魔王石を薄くして作った、携帯用の魔王石板。これで、分かってる範囲でだけど、世の中のいろんなことが調べられるの。」


魔王・ミナは、魔王石板の表面に向かって言った。


魔王・ミナ「ケンイチさんについて教えて。」


すると、魔王石板の表面に文字が現れた。


デビルpedia


ケンイチ・・・・4代目のデビルタウンの魔王であり、グラスランドシティーの魔王でもあった。元は人間だったが、ジムで体を鍛えすぎてゴリラになってしまい、それ以来、満月の日だけ人間に戻れるという、いわゆる、今はやりの月人病患者である。魔王になる前は、地方公務員のセニョール生活環境事務組合・魔王討伐課所属で、少し名の知れた勇者だった。自身の月人病を治すため、月に行くために、月の輪熊の像を求めて、ルシファーの空中都市に向かったが、ひょんな事から地獄に行ってしまい、地獄からデビルタウンを脱出させるため、地獄で門番のバイトをしている魔王・ポチと対決。今は、元の世界に戻るために必要な、三途の川の交通料を稼ぐため、地獄で働いている。


魔王・ミナ「これの発信元は、魔法使いニュース組合だから間違いないわ。」


シルビア「ケンイチさん、今、地獄にいるなんてかわいそう。あの人は、闘う仕事以外したことないし・・・・地獄でうまくやっていけてるのかしら・・・・鬼達にいじめられてないかしら・・・・心配だわ。」


魔王・ミナ「ほら、ここのところ見て。」


魔王石板の表面に、幾つかの項目が出た。


デビルtube・・・・元魔王・ケンイチ 地獄で鬼達を殴りまくり


デビルtube・・・・ケンイチVS魔王・ポチ


デビルtube・・・・元魔王・ケンイチ 地獄で春闘!!


デビルtube・・・・ケンイチ 覚醒!! イエティ!!


デビルtube・・・・ケンイチのツバメ返し!!


デビルtube・・・・会議中に居眠りする元魔王・ケンイチ


魔王・ミナは、地獄で鬼達を殴りまくりの文字を指で触った。魔王石板の表面に、ケンイチが赤鬼や青鬼達、さらに地獄の労働者達を殴りまくっている映像が現れた。


労働者・ケンイチ「人が黙って一生懸命仕事をしているのに、それがお前らのやり方か!!くそが!!お前ら全員ぶっ殺してやる!!」


鬼達「うおおっなんて奴だ、ヤバい!!手がつけられない!!皆で取り押さえろ!!」


鬼達「駄目だ!!もっと鬼を呼んでこい!!おい、労働者のお前達も手伝え!!手伝わないと、針山に落とすぞ!!」


ここで映像は止まり、終った。


シルビアは少し笑い、髪が少しだけ金髪に戻った。ケンイチ 地獄で春闘では、ケンイチが春闘と書かれた鉢巻きを頭に巻いて、鬼達を殴りまくっていた。


労働者・ケンイチ「地獄の最低賃金を上げろ!!週休2日で土日祝日は休みにしろ!!残業なしの定時にしろ!!」


鬼達「お、お前、ここは地獄だぞ?犯罪者の集まりだぞ?最低賃金とか週休2日とか、そんな概念有るわけないだろ!!グワッ。」


一人の赤鬼がケンイチに殴られたところで、映像が止まり終った。


シルビア「フフフフッハハハハッ地獄で春闘って。ほんとにあの人って、どこまでも前向きで元気な人ね。私もしっかりしないと!!」


シルビアの髪が完全に金髪になった。


シルビア「ありがとう、魔王・ミナ様。私はもう大丈夫、今から仕事に復帰するわ。」


魔王・ミナ「来て良かった。じゃあ、私はこれで帰ります。」


魔王・ミナ達は、シルビアのバーを出て、空中に浮かぶ時計台から出た光線に吸い込まれ、デビルタウンへと帰って行った。

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