season 2 勇者農協にて(勇者サイド)
勇者農協に入ると、店内はガラガラで、パートの勇者のおばちゃんがレジで一人ボケッとしていた。
ケンイチ「すいません、街の種が欲しいんてすが。」
パートの勇者のおばちゃん「え?街の種を買いに来たの?あんなとんでもなく高い物を買えるなんて、あんた、ただのファンタジーなゴリラじゃないわね、何者なの?」
ケンイチ「通りすがりのゴリラです。」
パートの勇者のおばちゃん「ハハハハッ通りすがりのゴリラって。まあ、いいわ、ついて来て。」
パートの勇者のおばちゃんは、店の奥の肥料や農具を置いてある所にケンイチを案内し、近くに置いてある金庫の中から、街の種を幾つか取り出した。
パートの勇者のおばちゃん「どれにする?ブルーベリー、ナス、ピーマン、エダマメ、カイワレ大根、ここにあるのは、これぐらいかな。」
ケンイチ「じゃあ、カイワレ大根で。」
パートの勇者のおばちゃん「オッケー、じゃあ、300円です。」
ケンイチ「300円?全然安いじゃないですか、わざわざ金庫に入れなくても。」
パートの勇者のおばちゃん「あなた、街の種を買うの始めてね、甘いわね、そのカイワレ大根がビルになり、街になって住む人が増えて来ると、お金がかかるようになって来るわよ、あなたは只者じゃなさそうだから、何百万都市になるかもね、そうなると、何百億というお金が、そのカイワレ大根に要るようになるわよ。」
店の隣の部屋は、事務所になっており、3人の勇者の農協職員が事務処理をしていた。その中の一人、所長の勇者サカモトがやって来た。サカモトは、40代半ばの大柄な男だった。
所長・勇者サカモト「ウメオカさん、魔物に街の種を売ったらダメじゃないですか。おい、ゴリラ、街の種を返せ、ここはお前のような魔物が来る所じゃない、殺されたくなかったら、さっさと魔物の街なり村へ帰れ。」
ケンイチ「断る。俺は仏に頼んで、ここまで街の種を買いに来たんだ。」
所長・勇者サカモト「仏だと?そんなわけないだろ、仏が魔物を勇者の村へ転送するわけないだろ、だいたい、お前みたいな魔物が街を作ると、魔王みたいなのが誕生して、俺達勇者の仕事が増えるんだよ、農協の仕事だけでも手一杯なのに、これ以上、勇者の仕事を増やすな!!」
ケンイチ「俺は勇者だ!!一応・・・・。」
所長・勇者サカモト「なんだと!!お前ちょっと表へ出ろ!!魔物が勇者を語るとは、断じて許せん、俺が成敗してやる!!」
ウメオカ「サカモトさん、やめといた方が・・・・。」
所長・勇者サカモト「ウメオカさん、パートと言えども、ちゃんと仕事はして下さい、あなたも一応勇者なんだから、一緒に来て魔物討伐をして下さい、見ているだけでいいんで。」
ケンイチは、所長・勇者サカモトの後について店を出て、店の表の通りで、所長・勇者サカモト、パートの勇者のおばちゃん、ウメオカと対面した。
所長・勇者サカモト「お前が店を出るとき、俺を後ろから殴らなかったのは、少し感心した。」
ウメオカはケンイチに話しかけた。
ウメオカ「そんなことしなくても勝てるもんねえ。」
ケンイチ「はい。」
所長・勇者サカモト「このゴリラ野郎、勇者農協所長サカモトを愚弄しやがって!!ぶっ殺してやる!!ウメオカさん、あんたはクビだ!!二度と農協に出入りするな!!」
ウメオカ「あなたが勝ったらの話ね。」
所長・勇者サカモト「ババアは黙ってろ!!喰らえ、肥料アタック!!」
所長・勇者サカモトは、作業着のポケットからビニル袋を取り出し、中の肥料を一握りして、ケンイチの足元の地面にばらまいた。




