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【書籍化】無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記  作者: 杜間とまと


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79 吾妻さんとの関係

 国境を越えた夜に荷物が一つ届いた。201号室宛てだよ。

「ん?誰から?」

 小さな宅配便。差出人の名は山下さんだ。ってことは、吾妻さんがらみに間違いない。

「何だろう?またこっちに運んで欲しいのかな?特に連絡なかったけど??」

 宛先は私宛だけど、本当の送り先が吾妻さんなら、人の荷物だ。勝手に開けて問題になってもいやなので、そのまま玄関先に放置決定。クール便じゃないから冷蔵庫に入れる必要もないよね。

 連絡のメールを書く。

『山下さんから、荷物が届きました』

 それから、あと何を書こうかなぁと携帯を握っていたら、メールの着信有り。

 見れば、吾妻さんからだ。うわー、すっごいタイミング。

『無事に、荷を受け取った。新しい携帯からだとメールアドレスが変更になる』

 あ、無事に届いたんだ。よかった。

 続いて、もう一通メールが届く。見知らぬメールアドレスから。

 タイトル『吾妻です』

 ははっ。わざわざ予告してから、別の携帯からメールしたのか。タイトルあれば大丈夫だったのに。少し可笑しくなった。メールで笑ったのなんて、いつ以来かな。

 開いてみると、いつものそっけない内容とは違い、随分長い!

 携帯の充電を気にしないと、吾妻さんはおしゃべり?

『無事に荷物を受けとった。梱包にも気をつかってもらい感謝する。おかげで、何の問題もなく運搬できたようだ。動作を確認したが、どれも正常に動く。それから、太陽光充電器は有難い。そこまで俺も山下も気が回らなかった。大変助かる』

 お礼文が続く。

 いやーどういたしましてだよ!

 そして、その後、改行を2つはさんで『おまえ、良い女だな』って!

 ほ、褒められた。

 いやいや、まてまて!

 よく気が回る良い女ってのはね、少し抜けたところのある女よりもてないんだよ!

 「お前は1人で大丈夫、あいつは守ってやらないと」とかいう理不尽さで。

 つまり、なんだ、褒め言葉が褒め言葉として受け取れないアラフォーですが、何か?問題でも?

 で、また改行4つほど空けて

『だが、酒の飲み方はもう少し考えた方がいいぞ』

 ?

 酒?

 なんだ、それ?

 意味が分からない。

『俺の写真も送った方がいいか?』

 は?写真?

 ……

「うわぁーーーーーっ!うわわーーーーーっ!!!!!!」

 や、やだ、どうしよう!

 吾妻さんに送ったSDカードに、昔の写真を何枚か入れたままだったんだ!消去忘れた!

 何の写真だっけ?酒の飲み方?

 いつの写真?

 酒の席の写真?どんな醜態さらした写真~!!ぎゃーっ、ぎゃーっ。

 思い出せない。どんな写真が入ってたのか。

 顔から火が出る思いで、メールを返信する。

『手違いで紛れ込んだ過去の写真は消去してください。山下さんから宅配便が届きました。まだ開封していません。どうしたらいいですか?』

 写真はわざわざ送ったものではないという点と、過去のものである点。そして消去してほしい点を忘れずに書く。

 そして、話題をそらすために山下さんの荷物の件を記す。

 すると、すぐに返信がある。ああ、充電気にしないメールのやり取りだと、まめだね。吾妻さん。

『荷物は、プレゼントだ。使ってくれ』

 プレゼント?

 そんなものもらう関係じゃないけど。

 私の写真見て、惚れちゃった?なーんてね。時間軸が合わないか。山下さんへの手配と宅配便配達日数考えると、数日前にはプレゼントの準備してたんだろうし。

 ……っていうか、酒の飲み方を考えたほうが良いと言わせる写真って、どんなんだよ!顔真っ赤のべろんべろん写真か?一気飲みしてる勇猛な写真か?ろくな想像ができないんだけど。

 荷物を開けるのがちょっと怖い。もらって困る物が入ってたらどうしよう。

 鞄に両手を突っ込んで箱のテープをはがす。

 出てきた物は、吾妻さんの電話番号とメールアドレス入りのスマフォだった。

『料金はこちらもちなので、いつでも好きなだけ連絡してください』と簡潔なメッセージが入っていた。

 言っていいかな?


 彼氏が彼女に携帯プレゼントするとか……

 何年前の流行だよ!


 と、突っ込みいれる私と同世代、もしくは年上ですか?まぁ、彼氏彼女じゃないけどね!

 っていうか、吾妻さんには、このスマフォ本体も月々の料金もはした金なのかなぁ?

 メールには、970万の返金のこと何も触れてないけれど、同封した手紙読んだよね?

 写真の話題とか持ち出してうやむやにしようとする大人対応??

 あー、何か良くわかんない。

 どうしよう。どうメールすべきか。

 しばらく考えて、メール入力。


『ありがとうございます。助かります。いざというときに使わせてもらいます。それではおやすみなさい』

 いざというとき以外は電話しないよと暗にお断りメッセージを含めて。

 これ以上メールのやり取りを続ける気がないことを、おやすみの言葉に込めて。

 いざ、送信ボタン。


 で、もらったスマフォは、充電器にさして電源オフ。


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