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【書籍化】無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記  作者: 杜間とまと


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52 王都の人々からのお祝い

「いいえ、もちろん出産は感動的ですが、そうではないんです」

「国民が、お子様誕生をお祝いしてくれたんですよ。お生まれになった日の夜、王都では道という道に明かりがとまされました」

「王宮から、王都を見下ろすと、光り輝く道がキラキラと、それはもう、言葉にできないくらい美しくて」

 なんと!夜景か!

 子供が生まれたことを国民がお祝いするために、王都を上げて夜景を作り出したのか!

 日本でもあるよ。ろうそくを灯す祭りがいっぱい。

 道に手作り灯篭を並べる祭りや、雪像に明かりをともす祭り、川に蝋燭をともした小船を流す祭り、それに大量のちょうちんの山車で練り歩く祭り。その他にも、たくさん明かりを楽しむ祭りがある。

 蝋燭の火は幻想的で美しいんだよね。

 何を隠そう、「手作りキャンドルぼんぼり街道祭り」という小さなお祭に主催者側で参加したこともあるのだ!まぁ、キャンドル作り指導者としてボランティアで手伝っただけだけどね。当然、短期講座「手作りキャンドルで彩る素敵な生活」を受講の成果だ!

 話がそれた。

 王都中がキラキラすれば、そりゃぁ100万ドルの夜景とは言わないまでも、すごく綺麗だろうなぁと言うのは想像できる。

「綺麗だから感動したというのもありますが、国民が自主的にお祝いしてくれたということに、チュリ様もそれはもう涙を流して喜んで」

「ええ、でも、国民の前に姿を出してお礼を言えないというのをとても気に病まれて……」

 なるほど。そりゃ辛いね。

「お二人目がお生まれになったときは、光が走るように点灯のタイミングをずらすという演出があって、それもまたすばらしかったです」

「その次は、光で文字が作られてました。誕生おめでとうと」

「4人目のときは、どのようにしたのか分からないのですが、光の文字が点滅しました!」

 へー。すごいなぁ。王都の人たち。日本や世界でもロイヤルベビーが生まれると大騒ぎするけど、国民が一致団結して何かの形でお祝いを伝えるなんてそうそうできることじゃないもんね。

「5人目が生まれたら、次はどんなことが起きるか、今からわくわくします」

「そうなんですよねー!チュリ様、早く5人目産んでくれないかしら!って思っちゃいますもの」

 おお、そんなことで5人目を期待されるとは!

「街の人たちも、ひそかに計画しているって噂ですし」

 そっかぁ。一種のお祭だもんね。街の人たちも楽しんで準備しているんだ。

 誕生日とかのサプライズパーティーって、準備しているほうも楽しいもんね!

 あ!

 ああ!

 そうか、そうなんだ!

 ガンツ王を驚かせるって……きっと、そうだ!キュベリア使節団の考え方は違ったんだ!

 驚かせるといっても、種類はいっぱいある。

 単に驚かせるためのびっくり箱もあれば、相手を喜ばせようとするサプライズパーティー。

 どちらも驚かせることだが、驚かせる目的は全然違う。

 それに、驚くといっても、びっくりするだけでなく感嘆するということもある。驚き感じ入るということだ。

 キュベリアは、びっくり箱を用意しようとしてたんじゃないだろうか?私の化粧にしても、旅芸人の芸にしても。

 だけど、ガンツ王の求めているものはサプライズパーティーのほうじゃないのかな?

 びっくりするだけで終わらない、人が感動する、幸せな気持ちになるそんな驚き。

 見て幸せな気持ちになる。

 見て感動する。

 ……私が考えていたことって、なんだろう。「空を飛んだら驚くかな」とか「隠し玉」とか、結局びっくり箱発想だよね。

 街全体で光のお祝い、そんなものを経験しているガンツ王が、並大抵のことで満足するとは思えない。


 化粧の仕方を侍女さんたちに一通り教え終わる。3人に教えたから、後はお互いを練習台に練習してもらうことにした。

 チュリ様はまだ戻ってこないが、そろそろ夕飯の時間になる。挨拶もせずに失礼かとも思ったが、役目は果たしたので、帰らせてもらった。

 

 迎賓館の食堂に入ると、今朝までの沈んだ顔の面々に活気が戻っていた。

「リエスさん、化粧は成功したようですね?」

 え?まだ何も報告してないのに、何でそんな言葉が出てくるんわけ?

「3日後に、お后さまが国民の前に顔を出すそうです」

「本当ですか?」

 そうなんだ。チュリ様とガンツ様の話し合いは上手く言ったんだね?誤解は解けたんだよね?

 サマルーが大きく首を立てに振る。

「名目上は、出産に伴い体調を崩していたのが回復したということですが、リエス殿の化粧が大きく影響していると、私は見ています」

「いいえ、化粧はあまり関係ないと思います」

「そうですか?」

 シャルトが首をかしげる。

 チュリ様の気持ちがガンツ王に届いた結果だろう。誤解が解けただけだ。たとえ、化粧をしなくとも今の結果があったと思う。

「事実はどうあれ、チュリ様の体調が戻ったということで顔を出すのだ。キュベリアからも、快気祝いを用意しなくては」

「そうですね。3日後とは急はことです。本国との連絡も難しい。私達で考えなければ」

 チュリ様の快気祝い?

「お祝い……」

 もしかして、王都の皆はまた、何か用意するのだろうか?

 たくさんの灯りに輝く王都、綺麗だろうな。

 私からも、何かプレゼントできないかな?

 灯り繋がりで、アロマキャンドルとか作ってみる?

 あ、ちょうちんとかどうだろう?本物のちょうちんは無理だけれど、ランプシェードみたいなもの。それなら作れるよ。

 隠し玉もあるし。

 日本ならお祝いに花火を打ち上げるんだろうけど、花火は火薬の持込厳禁だからNGだ。

 あれ?

 お祝い、お祝い、お祝いだ!

 花火、灯り、キャンドル、隠し玉、夜景に、夜空に、お祝いだ!

「サマルー、シャルトさん、お願いがあります!」

 3日しかない!急がなくては!

「旅芸人の人たちとお祝いの相談をしたいのです!どうか、これから先の旅芸人の行動を私に自由にさせてもらえませんか?」

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