表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
299/303

その後の吾妻さんと……

「あの、お金の返済を少し待ってもらいたいなと……」

 とはいえ、いつも吾妻さんは私への正当な支払だと返済を受け付けてはくれないんですけど。

 返しますといっても、返す方法を全く教えてくれない。どうせ日本のお金は使えないからと……。

 だからって、素直にありがとうと受け取れるような金額ではない。

 いや、金額の大小が問題なんじゃなくて……。やっぱり、お金はちゃんと働いてもらうべきだと思うし。

 初めの1000万なんて、鞄を通して品物を行き来させただけで得たお金。いくらなんでももらいすぎの金額だ。いくらプレミアム価格だと言ってもね……。受け取った私が落ち着かない。

「そういえば、君から代金にと請求された金額は30万だったか?」

 そうそう。それくらいがせいぜいかなと。……なんだ、吾妻さんしっかり覚えてるじゃない。

「じゃぁ、残りの金額は、1週間で全部返済してもらおうかな」

 え?

 ええ?

 ええええーーっ?

「あ、あの、吾妻さん、返済を待ってほしいって、私、言いましたよね?」

「ああ、聞こえた。だから、返済してもらおうと」

 いやいや、待って。

 話がかみ合ってない。

「どうしてですか?」

「どうしてというのは、こちらの言葉だ」

 は?

「君は、いつも大金を受け取れない、早く返したいと言ってただろう。それなのに、返済を待ってくれというのはどういうことだ?」

 どういうことというのは……うん、まぁ、説明してないけれど。

 どうしようか。

 まだラトには話してない。というか、直接の連絡の手段がない。こっちとあっち。

 連絡が取れるのは……電話を使って、海外にいる知り合いと話をするくらいの感じで連絡がとれるのは吾妻さんだけだ。

 電話もない世界の人間に、電話で通話なんてできない。

 ……ウォルフとの闘いで、いくつかのオーパーツをラトには見られたけれど……。ラトはそれは何だと一つも尋ねなかった。

 決して気にならなかったわけではないだろう。聞いてはダメなものだと……理解して、私のために……聞かずにいてくれたんだ。

 だから、別れるときも……。

 洞窟の中が海につながっていたことも。何もないように見える空間につながりがあることも。

 全部、全部……何も言わず。

「急に大金が必要というなら教えてほしい。まさか、詐欺に引っかかっていたりはしないよな?人のいい君だ。誰かに大金を持っていると知られて鴨にされてるんじゃないか?簡単に人を信じるんじゃないぞ?家族が交通事故にあってとか、そういう話でお金を借りようとする人間は詐欺がほとんどだ。もちろん、実家の工場が大変だから頼むとこ、恋人に頭を下げられても、ダメだぞ。結婚詐欺の可能性もある」

 は?

「恋人なんていません、というか、私、そんなに、結婚に焦って結婚詐欺に引っかかりそうに見えます?」

 確かに、アラフォーだし。結婚したいと思っている女であれば、焦る年齢ではある。

 ……帰る前は、日本に帰ったら結婚相談所に登録しようかなとも思っていた。

 あ、なるほど。確かに、焦りすぎて結婚詐欺に引っかかる心配される可能性はゼロじゃないね。

「そうか、恋人はいないか。あー、そうだよな、俺の嫁になるんだもんな」

「なりませんよ。で、あの、お金の件ですが……」

 吾妻さんが私を心配してくれてお金を必要とする理由を知ろうとしてくれたのは分かった。

「いくらだ。必要な分はまた振り込む」

 は?

「いや、違います。えーっと、将来返せる分だけ、その少しだ返済を待ってもらいたいって話です……いくらになるかはわかりませんけれど、その……ちょっと働けない間の生活費を……」

 仕事が見つかって、生活のめどが立って、えーっと返済のめどもたってから……。

 あれ?シングルマザーの収入で、返済まで手が回るのかな?

 いや、回さないとだめなんだけど。いつ、めどが立つんだろう?

 サーっと顔が青ざめる。

 子供を育てるのに、きっと一人暮らしのとき以上にお金がかかる。年収手取り200万でも、1人なら少し貯金ができる暮らしはできた。子供がいたら……どうなるの?

 子供にお金がかからなくなってからしか、返済できないかも……。それって、20年後?30年後?

 返済には何年かかるの?10年?20年?

 あー。こりゃ、むしろ……お金をすっぱり全部返して、貯金使い果たしたのちに生活保護を申請したほうが現実的なの?

「働けない?どうした、怪我でもしたのか?病気か?治療費が必要なら、いくらでも言ってくれ。だれか頼れる人はいないのか?恋人はいないと言っていたが、早くいい人を見つけろ……何かあった時に1人では……そうだ、ユータはどうした?ユータに連絡して助けてもらえ。くそっ。やはり、帰さなければよかった。無理にでも連れてきて嫁にすればよかった」

 吾妻さんがすごい勢いで言葉を続ける。

 えーっと、ちょっと待って、待って。

「あ、いえ、怪我もしてないですし、病気……でもなくて……」

 吾妻さんが私を心配してくれるのが伝わってきた。これ、理由、ちゃんと言った方がいいですよね。


また、終わらなかった。

いや、二人のやり取り書いてるのが楽しすぎて無駄に長引く……

感想ありがとうございます。励みになっています!

書いていいんだ!待っていてくれてありがとう!

では、そのうちまた、続くのです……(´・ω・`)おわらな、い、おかしいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] 長編作品を途中で飽きずに読めたのは久しぶりです!続きを楽しみに待ってます(^▽^)/
[一言] シスコンお兄ちゃんみたいな吾妻さんヾ(๑╹◡╹)ノ"
[良い点] あーかわいいなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ