第4章 2戦目
…あらすじ…
リアは『メフェ』というドラゴンと小さい頃から竜の谷で過ごしてきた17歳青年。
小さい頃からの夢、『ドラゴンレース』に出るためリシア国に入国。出会ったフォアという人物と共に入国完了。そして――…
…登場人物紹介…
リア。 17歳青年。
母親の名前はアイリ。詳細は不明。
メフェ。リアの竜。
アイリにも乗られていた。白竜。
フォア。17歳女。
一人称『ボク』の不思議な人物。竜騎士というランクを持ち、竜を駆るのが上手い。
…4…
ドアが開いた。そこにはおよそ30人程度の人がいて、どうやらロビーらしい。
ロビーにはすでに暖炉がついていてレトロな感じが漂う。
そして冷たい視線がリアを向いていた。
「こんにちわ」
なんとか震えを出さずに出せた言葉だった。思わず安堵の溜め息。
すぐにそこにいた全員の視線は散らばった。そしてフォアがその中の一人に近づいて行った。
「トレス」
「何でしょうか」
フォアに呼ばれたのは白髪の白い瞳の17歳ぐらいの男性だった。雰囲気としてはかなり年上。
「彼はリア・ウェイル。彼とペアを組んで」
「俺が・・・・ですか?」
「そう。トレスだって知ってるでしょ。予選突破は一人じゃきついって」
「・・・・・・・・・分かりました。フォア殿の言うことならば」
少しトレスと呼ばれた17歳は目を伏せた。そして
「俺はトレス・キャル。ヨロシク。ついてきて」
次々に言葉を並べていって、およそ自室と思われるところに入っていく。リアも着いていった。フォアとはそこで別れた。
「これからいろいろ話していくからきちんと覚えとけ」
フォアが居たときとは『かなり』違った喋り方だった。やはりフォアは偉いと実感したリア。
…というかただの猫かぶりなのか。とりあえずは不明にしておくことにしよう。
「分かった」
「まずはドラゴンレースに出場できるのは8人と決まってる」
「8人だけ?!!!!!」
「まぁそれでもめちゃくちゃ速い6人の竜騎士がいるから残った枠は2人」
「じゃあ出れるのは基本的に・・・・2人」
「そう。だけどハンデというものが当然ある」
「ハンデ?」
リアは首をかしげる。浮かんだのは何分後に出発とか。実際は違ったが。
「まずこの予選は山岳コースと平原コースに分かれてる」
「で?」
「竜騎士は一人で2つのコースを行くことになってる。それが義務」
「うん。で?」
「竜騎士ではないバーディアとかレイジャーは2人で組んでいくことができる」
「ほ〜」
「これがハンデ」
「わかった。竜騎士は持久力でそこまでスピードが出せない。ということなんだね?」
「よく分かったな」
「このくらいはね」
そしてあれだけ気が張っていた理由が分かった。
2人しか出場できないからだということが。
「じゃあトレス。頑張ろう!!」
大声で叫んでトレスの拳が飛んできたが紙一重でかわしたリアであった。
*
「だ〜か〜ら〜僕が山岳地帯に行くってばぁ!!!
「いや!お前じゃどうせウェーブ外して下降気流に乗って下に墜落して人生終わり!!よくてかなりの遅れとって終わりだろ!!!」
「トレスだって同じだぁ〜い!!!!」
睨み合い。2人の眼光はぎらりと光る。
山岳地帯はウェーブ(乱気流・上昇気流と下降気流がまじる)が多く、相手に差をつけるにもつけられるにもぴったりの所だ。
それに比べて平原地帯はそういうものが少なく、悪く言えば竜騎士の体力消耗のために作られたコースと言っても過言ではない。
だからこそどちらが山岳へ行くかの話し合い、あるいは喧嘩。
「じゃあ勝負と行こうか」
トレスが切り出す。
「それで勝ったほうが山岳コース。負けたら平原コース」
リアが答えた。確認の意を込めて。
「じゃあフォアに言ってメフェ返して貰わなきゃ」
「ぉ!ぉいッ!!!!!!」
リアは口に両手を当てられた。行き詰る。
「竜騎士だぞ?!!呼び捨てはペナルティだっつの!!!」
「へ、へもほぁはひひっへ(で、でも、フォアはいいって)」
「え?」
トレスが素っ頓狂な声を上げた。少し動きがとまり、その隙を見てリアは脱出。
「フォア殿・・・が?」
「とりあえ・・・ず、メフェ・・・・・・・!!」
「おぉ!!リアぁ!!!!!」
出迎えたのはレゼ爺。でかい腹を抱えて走る。
「レゼ爺。久しぶり!!メフェはどう?!!!!」
「元気すぎて困っちょる・・・ハッハッハッハ!!!」
腰に手を当て大笑いのレゼ爺。つられてリアも笑う。朗らかな一面。
「ギャォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
噂をすればなんとやら。メフェが登場リアは手を広げて・・・10m後ろへ跳ばされた。
「いたたたたた・・・・・・メフェ久しぶり!!!」
「ギャお〜!!!!!!!!!!!」
「リア・・・・メフェとは白竜なのか・・・?」
「うん。当然!!!」
リアはもうハイテンション。2、3時間会ってないだけなのに。
「なんでメフェを出すんじゃぁ??」
「ちょっとトレスと対決」
「山岳コースをどっちがでるかっていう勝負だよレゼ爺」
「じゃあカイをだすんじゃな?とれす」
「あぁ。頼む」
*
「・・・・・・・・・・・・トレス」
「何だ?」
リアは目を丸くしていた。
「カイって黒竜なんだ?」
黒竜は人間が滅多に乗らない種の竜で、頭が良すぎてよく暴れる。
「・・・おかしいだろ?でも波長があったからな」
竜と波長が合う・・・竜選びのかなり重要の点だった。リアとメフェは小さいころから遊んでいたから知らず知らずのうちに波長はぴったり合っていた。
カイとトレスは確かに波長が合っているようだった。
「うし!でも負けないから!絶対!!!!!!!!」
山の連なるところへ2人と2匹は飛んだ。勝負まであと少し。
新キャラでましたトレス!
どう動いてくれるか……猫かぶりってちょい微妙ですか…ねェ?((笑