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十三番目の禁科図書  作者: ありすくい~む
序章:漆黒の残影
3/4

前話に結合します



 声のした方を振り向く。

 薄暗い木々が広がるだけ。

「…空耳?」

 首を傾げて向き直る。

「…あれ?」

 誰も居ない。さっきまで私を取り囲んでいた兵隊さん達が、忽然と姿を消し――。


 何かを蹴飛ばした。


「――っ!!」

 ――人の頭だと理解するのに数秒がかかった。木の葉の上には、兵隊さん達の体が折り重なるように倒れていた。皆一様に首を切り落とされた状態で。

 恐怖という感情すら、わいてこない。ただ茫然と立ち尽くすだけ。


「く、来るなぁっ!!来るな化け物がぁっ!!お、鬼…悪魔…」

 甲高い叫び声に我に返る。目を凝らすと、少し先で王子様風の男が、貧相な片手剣を振り回しながら後ずさっていた。

 その正面に居るのは抜き身の長刀を持つ影。こちらからは背中しか見えないが、その異形に凍り付く。


「翼…」

 そう、一組の大きな翼。

 ただし、天使のそれの様に神々しくも暖かくもなく、漆黒に染められた狂気の翼。


「来るなよ…来るなと言ってるだろうがぁっ!!」

 喚き散らす男にゆっくりと歩み寄る。


「鬼、悪魔…か。まぁ確かに、私は善良な男ではないよ。――君と同じでね」

 月光に煌めく長刀をゆっくりと振り上げた。


 固く目を瞑る。


 不意に叫び声が途切れ、森は静寂に支配される。


 今更のように鼻につく血の臭い。


 夢なら…夢なら早く醒めて。お願い!!

 強烈な吐き気に、その場にうずくまる。


「――立て」

 目の前に黒いブーツが立ち塞がった。

「っつ!!」

 ゆっくりと顔を上げようとした時、視界に映るのは、黒い液体を滴らせる長刀。


 ――もう、限界だった。

 私の意識は、ゆっくりと前のめりに崩れて――




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