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魔王様の妹君の侍女と勇者



 黒と白、朝と夜があるように魔王様と勇者は対だ。


 サリーがエリザベスに仕えるようになってから今まで計五人の勇者が魔界まで挑んできた。

 魔王様がここ二年の間に大人しくなったせいか、人間は魔王様の力が弱まったと勘違いして二年というのに五人も足を運んでもらった。


 魔界まで傷だらけになりながら来たことは賞賛に値するが魔王様はそんじょそこらの魔物とは違う。


 まあ女神様や神様が召還した勇者ならともかく、ただの貴族や村人には傷一つつけることが出来ない。

 魔王様もわざわざ人間に会いに行き騒動を起こすなどエリザベスをずっと見ていることに比べたら塵にも等しいため人間界には行かないが、自分の命を狙うとなっては話が違う。


 魔王様はやられたらやり返す主義なのだ。

 自分から手は出さないがやられたらその倍以上にして返すものだから困る。そのため城に勇者一行がやって来たら、まずサリーが広間までお通しし、今からでも引き返せとやる気のない説得をし、それでも挑む勇者には見事魔王様を拝見する権利が与えられる。


 今日は記念すべき六人目の勇者だ。

 六という半端な数字だが勇者が来たということで記念日だ。


「・・ですからね、帰った方が宜しいかと」


「いいから早く魔王のところに連れてけ」


 サリーは魔王様一行を広間に案内するため廊下を歩きながら感情のこもらない声色で話す。


「いい加減にしないとお前から殺すぞ」


 勇者がこんな口調でいいのかと思いながらも広間に着き、ここで待つよう言った。

 サリーは扉は閉めずに勇者が逃げられるようにしたがこの様子では意味がないな。


 けれど何も感情を浮かべず魔王様を呼びに行く。


「おや、今回も説得は失敗したか」


「はい」


 愉しげに笑う魔王様とは対象的にサリーは苦々しげに頷く。


「だから言っておるだろうに。勇者を説得しても無駄だと」


 椅子から腰をあげ執務室を出る。


「そこまでして人間を助けたいか」


「いつも言ってますでしょう」


 何度めかになる質問にうんざりしながらもサリーは答える。


「私は死体を片付けるのが面倒なだけです。この前の勇者が来た時は魔王様が脳を飛ばしたので床の血を消すのが大変でしたの。メイド頭に細かいところまで指示されて大層疲れましたわ」


 だから説得をして仕事を増やさないように優しく丁寧に説得するのだが聞き入れてもらったことはない。


「今回こそは血も流さずに()って下さい」


「だがな、難しい・・」


「善処して下さい」


「努力はする」


 








 こうして今回はなるべく少ない血で済んだためサリーは上機嫌だった。











勇者って誰でもなれる職業なのか・・・?

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