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魔王様の妹君と侍女と彼女





 -----怖い、怖い、怖い。

 どうして、何で、助けて。

 同じなのに、私も同じ人間なのに。どうしてなの。

 怖いよ、怖い。









 全身が痛い、どうして?

 

 ああ、そうだ。私は車に轢かれたんだ。

 確か寂れた神社を見つけて、大学に受かるようにお参りして、階段から左右を確認もしないで飛び出したから轢かれたんだ。

 だって、あんな狭い道をトラックが猛スピードで走るなんて思ってなかったし。多分、トラックの運転手も同じことを思っていたのだろう。

 私が飛び出した瞬間、目が飛び出そうだったもの。


 馬鹿だなあ、お参りして怪我するなんて。大学受験には間に合うかな。どうだろう、かなり大きなトラックだったからな。

 頑張って勉強したし、なんとか間に合って欲しいな。






「・・リー殿」


 誰、私を呼ぶのは。お母さん、お父さんかな。でも2人は私達を置いて海外で死んでしまったし、弟かな。料理も何もできない弟を置いてはいけないよね。


「う・・」


「サリー殿!」


「・・誰?」



 目の前には包帯を身体に巻いた男がいた。声からして男のようだが、あまり分からないが安心するような声で中々の年上な感じだ。


「・・あなた誰?」


 相手は知っているように自分に話しかけるけれど()は知らない、見たこともない。だって全身を包帯で巻いた人が歩いてたら警察を呼ぶもの。

 


「サリー殿?」


 それでも何度も名前を呼ぶ人物から離れようと痛む身を起こそうとする。肩から腰にかけて鋭い痛みが走ったが起きれないほどでない。


「っつ、痛っ」


「まだ起き上がってはいけません」



 なぜ身体が痛むのか、自分の身体を見ると身体を覆うように包帯が巻かれている。

 包帯が何重にも身体に巻きついていて自分の知らない上着がかけられていた。

 包帯の男が肩からずれた上着を直そうとした手を払ってしまった。乾いた音が広がる。分からないが知らない男が自分に触るのは怖いのだ。高校生の時は普通に男子生徒と話していたのに身体が拒否をする。



「すみません」


「・・いえ」


「サリー殿は起きたのか」



 突然聞こえた声に顔を上げると金髪と茶髪の男がいた。

 だが、ありえない。なんでコスプレをしているのか。でもその姿が似合っていて納得してしまう。 

 そんなことを考えていると男達は片足を地面につけて跪いた。



「ご帰還を心よりお待ちしていました、勇者様」


「・・は?」



 意味が分からない、何で知らない人に勇者なんて言われなきゃならないの。それに私は勇者じゃない。何の冗談なの。でも見事な金髪だ、それに目も青色で外国人なのに日本語が上手だ。


「何を言って・・」


「サリー殿、あなた様は3年前に召喚された勇者でしょう」


「意味が分からないんだけど。私、召喚された覚えなんてないし。というか勇者ってゆう器でもないし」


「サ、サリー殿」



 いつもと違うサリーの話し方にイシュバリツィーアリツァイとヴァリエートは戸惑いを覚える。なんだか話し方が幼いように感じる。


「サリーって誰?」


「え?」


「私、紗理奈(さりな)だから」


 不審そうにイシュバリツィーアリツァイを見る。

 サリー、ことサリナは自身の腕で自分を抱きしめながら後ろに下がる。


「・・あなた達、何なの」


 そして倒れている金髪の小さな女の子を見た。

 まるで天使のような可愛い女の子は目を閉じて草の上に四肢を投げ出している。


「まさか人さらい」



 はっとして4人を見る。

 黒髪の男は日本人と言えば納得がいく気がするが、まるで獣のような鋭い目がそれを打ち消す。茶髪に金髪の髪を持つ男達はいかにも外国人だが優しげな雰囲気がする。

 だが目の奥が光るのを見るとそれも怪しい気がしてきた。


 4人が普通の人間という考えを消すのは目の前の包帯を全身に巻いている男だ。声からして初老を迎えた男だと思うのだが、目と口元しか見えないためそれもどうか怪しい。


 サリナは不審な目を4人に向け、警戒した。






 サリナは目を細めて4人を見回した。

 









足が痛いーーー

ずっとローファーは痛いのだ・・・

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