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魔王様の妹君と侍女と夢魔





「手伝い、ありがとうございます」


「いえ、丁度エリザベス様をお呼びに行こうと思ったところでしたので」


 一緒に籠を押してくれているのは全身を包帯で巻いたイシュバリツィーアリツァイだ。どうやら授業の時間なのにエリザベスが部屋に来ないため、魔王様のところだと足を運ぼうとした際に出くわした。

 ヴァリエートが見つからなかったため誰か通った人に助けを求めようとした時だったのでサリーは喜んだ。

 そしてイシュバリツィーアリツァイに籠を押させ、自分はその隣を優雅に歩いていた。













 執務室の扉を開けると中には先ほどはいなかったヴァイオレットが魔王様とエリザベスの争奪戦を行っていた。


 そして何人かの重臣もエリザベス見たさに執務室にいるのだろうか、と思ったがどうやら違うようだ。




「あら、何故皆様が集まっておられるのです」


「魔王様が書類にサインを押さないと進まないようで」



 カルシファーが肩を竦めながらサリーに答える。




 魔王様はエリザベスと戯れるのをやめて、サリー(と言っても実際はイシュバリツィーアリツァイが運んだのだが)が持ってきた布が被せられている籠に近づいた。



「そうだ、エリザベスにこれをあげようと思ってな」


「これって何?」


 エリザベスが分からないらしく、首を傾ける。


「魔界のペットだ。今、人気らしい」



 エリザベスはペットと言うと自分より小さな動物を想像していたが、どうやらこれは違うらしい。エリザベスは興味津々で布を捲った。













 そこには灰色の髪をした細い女が鎖に足を繋がれながら足を抱えて座っていた。



「・・え?」


「こいつは夢魔といってな、自分の望む夢を見せてくれるらしい」



 エリザベスは自分の目が信じられないように目の前の少女を見る。

 痩せ細った腕、ぎょろりとした目は女の子がもつものではない。そしてエリザベスを睨んでいる目には光がない。



「・・酷い」


「え?」


「酷いわ、お兄様。女の子を籠に入れるなんて」


 エリザベスは抱きかかえられている魔王様の腕から身を捩って抜け出し、籠へと向かった。


「大丈夫?今出してあげるからね」



 エリザベスが声をかけるが女はピクリとも動かない。

 


 エリザベスが籠を開けるには、この籠は頑丈で開けられないためサリーに助けを求める。


「サリー、開けるのを手伝って」


「畏まりました」


 サリーは喜んでくれると思っていたのに非難の声を浴びて呆然としている魔王様の横を通ってエリザベスの元へ向かった。

 籠の扉を開けながら、エリザベスを後ろに隠した。




「あなたを傷つける者は魔王様以外いませんよ」


「おい」


 サリーは足に食い込んでいる鎖を取って手を出す。


「人間風情が触るな」



 せっかく鎖を取ってあげようと思ったのに手を払われてしまった。









なんか、今すごく歌いたい気分・・・

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