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現場の昼飯時、近寄ってくる動物達  作者: 蘭鍾馗


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3/3

3.キイロスズメバチ

 何かの用事で、霞が関まで出かけた時のことだった。

 資料閲覧か何かだったと思う。


 昼になったので、近くのコンビニでサンドイッチと野菜ジュースを買って、皇居の近くで食べた。これまた昔のことだったので良く覚えていないが、千鳥ヶ淵あたりだったろうか。


 ベンチに座って食べようとしていると、蜂が飛んできた。ちょっと大きめのやつ。

 う。よく見たらキイロスズメバチじゃないか。オオスズメバチ程ではないが、結構攻撃性が強いと言われている種類だ。近くに巣があるんだろうか?こんな市街地に?


 でも、よく考えたら目の前は皇居である。キイロスズメバチが営巣できそうな場所は、皇居の中ならいくらでもあるだろう。で、この辺の緑地に青虫を探しに来たのかも知れない。


 やるべきことはひとつ。刺激しないようにすること。


 ◇


 とりあえず私は昼飯のサンドイッチを食べる。

 サンドイッチを食べては野菜ジュースを飲んでいると、さっきのキイロスズメバチがやってきた。

 そして、あろうことか、私のネクタイに止まったのである。


 困った。

 刺激しないようにしなければ。

 キイロスズメバチをうっかり肘で払ってしまわないように、肘を外に張りながら、なんだか妙な恰好でサンドイッチを食べる。

 で、食べながら気づいたのである。


「サンドイッチの具の中に、ハムが入ってるじゃないか!」


 何、ハムがどうかしたのかって?

 スズメバチ類の働き蜂は、青虫等を捕まえて肉団子にして持ち帰り、幼虫に与える習性がある。餌は必ずしも青虫でなくても良く、新鮮な肉なら何でも肉団子にして巣に持ち帰る。なので、働き蜂はとにかく「肉」を探して飛び回るのである。

 そして、私の手には、ハムが挟まったサンドイッチが。


 やばい、来る。


 ◇


 と、思ったのだが。

 キイロスズメバチは、私のネクタイに止まったまま、熱心にネクタイの模様をチェックしている。


 なにしてんだよこいつ?


 そのうち飽きてネクタイを登ってきて、サンドイッチのハムに気づくんじゃないかと心配したのだが、キイロスズメバチは頭上のハムの存在には気づいていないかのように、いつまでたっても熱心にネクタイの模様をチェックしている。


 何なのだろう?

 ネクタイに何かの匂いでも付いていたのか?


 ◇


 しばらくすると、サンドイッチと野菜ジュースは、無事私の腹の中に納まった。

 ゆっくりとベンチから立ち上がる。

 キイロスズメバチは、私が歩き出したのに気付いたようで、ネクタイから離れて飛び始めた。


 でも、付いてくるのである。

 そんなにネクタイが気に入ったのか?


 それにしても、キイロスズメバチは大人しく飛んでいる。「攻撃性が強い」なんて本当か?と思う位穏やかに、大人しく、私の後を従いてくる。

 やがて、横断歩道の前で立ち止まると、キイロスズメバチは、皇居の方へと飛び去っていった。



 なんだったんだろうなあ。



 

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