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異界郵便局  作者: 翠雨
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第三話 手のかかる荷物 前半

青色に終わりが見えたとき、ステンドグラスが印象的な小屋を見つけた。俺はそのステンドグラスに妙に見覚えがあり、その小屋に寄ることにした。

すみませんと声をかけようとしたところでドアが開いた。

「こんにちは。どうかなさいましたか?」

中から出てきたのは人の良さそうなお爺さんだった。

「はい。あの仕事でここまで来たんですが、帰る方法が分からなくて、ここら辺にどのようなものがあるかだけでも教えて頂けないかなとおもいまして」

「なるほど。仕事というのは?」

「配達です。自分は異界郵便局というところで働いていて」

「あぁ、やっぱり郵便局の人か。それじゃあカード見せてもらえる?」

そこで俺はリアさんの“帰りもこのカードを見せれば扉まで案内してもらえるようになってるから“という言葉を思い出し、急いでカードを引っ張り出した。

カードを確認し終わるとすぐにお爺さんは一つの部屋の前に案内してくれた。

「部屋の中に装置があるから、その装置の上にカードを置いてね。装置は郵便局にあるものと使い方同じだから分かると思うけど大丈夫そう?」

「はい。多分大丈夫だと思います」

「それと、ここと同じようにステンドグラスが使われている建物は中に帰るための装置が置いてあるから、今度からはステンドグラスの建物を探すといいよ」

「ありがとうございます。知らなかったのでとても助かります」

「いやいや、おじさんはこんなことくらいしか教えられないから。気をつけてね」

「はい、お爺さんもお元気で。本当にありがとうございました。」

そう言って俺は部屋の中へ入った。部屋には確かに見覚えのある装置と円があり、教わった通りにカードを装置に置いてみると、赤く光って座標が表示された。来る時と帰る時で色が変わるんだななんて思いながら俺は円の中へ足を踏み入れた。



目を開けるとそこにも装置があったが、近くにあるのは魔法陣と光のようなものが描かれたステンドグラスの扉だった。その扉をゆっくり押しながら俺は大きな声で

「ただいま戻りました」

と言った。そんな俺を見て

「おかえりなさい。問題はなかったみたいだね」

と返したリアさんは俺の初配達の成功を喜んでくれているように見えた。


______________________________________


その日から数日たって業務にも少しづつ慣れてきたと思えてきたある日、一つの荷物が届いた。伝票を見るため荷物を持ち上げようとした時、箱が動いた。

「え?」

そう声を上げるのと同時に俺は箱から離れていた。俺が距離をとって観察し続けている間も箱はカタカタ動いていた。

何だあれ?めっちゃ怖いんだけど!でも今リアさんいないし自分でどうにかするしかないか。

意を決して箱へ近づくと、中から黒い物体が俺目掛けて飛んできた。

「いたっ」

急なことで体勢を崩した俺の上でニャーと鳴くその生物はとてもふてぶてしく見えた。


どうやら俺よりこの部屋に興味があるようで、先程からキョロキョロと部屋を見回している。そんなこいつを見てまさかと思いつつ持ち上げると伝票が落ちてきた。

「やっぱりおまえが荷物なんだな」

今後のことを想像し憂う俺とは裏腹にそいつは楽しそうにニャーと返事をした。

こいつが箱から出てきて数分、なぜか今俺の膝の上で睡眠を始めている。

やっぱりこいつ図太いな。てか思ってたより大人しいし可愛い。もしかして箱の中が怖かったかな?なんて考えていると

「ただいま。一人にしてごめんね。何もなかっ」

「リアさん!助けてください」

「え?どうしたの?」

「この子が荷物で届きまして。今寝ちゃってて動けないんです」

そう言うとリアさんは俺の方まで来てくれた。

「わぁ、猫だ。本当に届くことあるんだ」

「どういうことですか?」

「動物が届くこともあるらしいって聞いたことはあったから。実際に見るのは初めてだけど」

「前例がちゃんとあったんですね」

「うん。伝票出てきた?」

「はい。ちゃんと落ちてきました」

「じゃあもう決定だね」

「ですよね」

なんて会話をしていると膝の上で寝ていたはずのやつが起きていた。

「あ、起きた」

「ならちょうどいいし、配達行っちゃおうか」

その言葉に頷き俺は準備を始めた。バッグを持ってきたり、帽子を被ったりという準備が終わったところでリアさんから声をかけられた。

「この子どうしようか?」

「段ボールの上を開けた状態で中に入っててもらうとかじゃダメですかね?」

「それで大丈夫かな?」

「多分?かなり大人しい子ではあると思うので」

「じゃあそうしようか」

と言って段ボールに入れようと持ち上げたところでリアさんが見つけた。

「クロ?」

「え?何かありました?」

「うん。ここにクロって書いてある」

そう言って見せられたのは首輪のチャームで、確かにクロと書かれていた。

「おまえクロなの?」

と質問すれば嬉しそうなニャーという返事が返ってきた。名前を呼んで貰えたことでクロはテンションが上がったように見えたが、俺は頼むから余計なことはしないでくれと思いながらクロを段ボールに入れた。


魔法陣のステンドグラスの扉を開け、装置に伝票を置こうとしたところ伝票が気になったのかクロが段ボールから出てきてしまった。先程までの部屋とは雰囲気も違うから気になったのかクロは部屋の中を駆け回りはじめた。

「ちょっと、待て!勝手に触るな!危ないから箱に戻れって!」

そう叫んだとき床が光った。装置の方を見ると座標が映し出されていた。さっき俺が伝票置いたときに青く光りはしなかったってことは伝票は読み込めてないはず。だが床は光っている。

まずい。そう思った時にはもう遅く、俺たちは眩しいほどの光に包まれた。そして目を開けると見たことのない森の中にいた。

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