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異界郵便局  作者: 翠雨
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第一話 初出勤

ドアを開けた先にいたのは青い眼が印象的な色白の女の人だった。

「おはよう。そしてはじめまして。何の説明も受けてない感じだよね?本当にごめん。うちの上層部そういうところあるんだよ」

「はじめまして。おはようございます。説明は確かに受けてないですけど、ここまでで困ったのは制服の着方くらいなので。大丈夫です」

「そう言ってもらえると私は助かるけど、文句は言っても良いんだからね」

そう言って笑った彼女はおそらく俺の先輩にあたる人なのだろうと思った。

「移動に時間も掛からないし自己紹介はあっちについてからにしようか。」

「はい、分かりました。移動って?」

「もう少し行くと分かるよ」

そう言って彼女は歩いて行くと一つの絵画の前で止まった。

「この絵を使うの!」

俺は意味が分からなくて首を傾げるしかなかった。そんな俺を見て彼女は少し笑ってから話し始めた。

「この絵に触ってみて」

そう言われて触ってみると

「うわ!え、沈んだ!」

「ふふ。面白いでしょ!そのまま絵の中に入れば郵便局に着くよ」

信じ難いことだが真実だろうと思った。だって実際、俺の右手は絵の中に入ってしまっているからだ。これ以上は考えたって意味が無いだろうと思い俺は絵の中に飛び込んだ。



少し怯えながらも目を開けたそこには想像より広く綺麗な空間が広がっていた。もっと狭くて物も色合いもない空間だと思っていたのだが、想像より居心地が良さそうと思えるこの場所がおそらく郵便局なのだろうと考えている俺の隣には、いつ間に移動してきたのか彼女が立っていた。

「ようこそ、異界郵便局へ!

っていっても分からないことだらけだよね。とりあえずこれからよろしくね」

そう言って笑った彼女はこの空間にとても馴染んでいるように思えた。


「無事移動できたことだし、遅くなっちゃったけど自己紹介させてもらうね!

私はリア。ここに来てかなり長いから大抵のことは知ってるよ。それとあなたの教育係ってことにもなってるから何かあれば私に聞いてね」

「はい。分かりました。

俺はユキです。現状分からないことが多いので、かなり質問することになっちゃうと思うんですけど迷惑はかけないようにしたいと思ってるのでよろしくお願いします」

「迷惑はかけてもらっても大丈夫だからあまり気負いすぎないでね。

ユキくんね。こちらこそよろしくお願いします」

「ありがとうございます」


「さて、じゃあとりあえず仕事に関することは簡単に教えちゃうね。でも、無理やり覚える必要はないから。時間と共に慣れてくものだし、分からなくなったらその都度確認とるっていう認識でよろしく」

「分かりました。とても助かります」

俺がそう言うとリアさんは少し笑って話し始めた。

「ユキくんは素直だね」

「そうですかね?」

「自覚はない?」

「はい。初めて言われた気がします」

「そっか。一応言っておくけど褒めてるからね」

「分かってますよ」

何故だかなんともいえない気持ちになったが俺がありがとうございますと言えば、リアさんは少し笑ってどういたしましてと返した。

そんな会話をしながら歩いていれば中央の大きなテーブルの前についていた。

「このテーブルに荷物が届くの。そしてその荷物を私たちが配達するんだ」

ちょうどその時、小さめの封筒が届いた。

「あんな感じ。で荷物が届く原理なんだけど、人の“思い“によってここに荷物が届くようになってるの」

「“思い“ですか?」

「そう。荷物の受取人になる人への気持ちだね」

「それほど気持ちがあるのに直接渡さないってことは、渡せない理由があるってことですか?」

「うん。ここに届く荷物はね、もう直接会うことが叶わない相手に届けたいと願われたものだけなんだよ」

そう説明を受け俺は驚き混乱した。

会えないってどういうことだ?というかそれじゃあ届け先分からなくないか?じゃあどうやって荷物を届けるんだ?

一つの疑問がまた次の疑問をつくってしまい俺の思考はまとまらずにいた。すると

「届け先は分かってるんだよ」

そう言ってリアさんが先程届いた封筒を持ち上げると封筒の上に伝票が現れた。

「これって」

「伝票だよ。この荷物のね。」

そう言って渡された伝票には座標が書かれていた。

「ここが届け先?」

「そのとおり!」

「じゃあ、次はどうやってその場所に向かうのかの説明をしようか」

「ここに来たときと同じとかでは…」

「ないんだよね」

そう言ってリアさんはまた歩き出し、一番近くにあった扉の前で止まった。その扉はステンドグラスによって魔法陣と光のようなものが描かれていた。

「開けてみて」

そう言われて開けてみると、扉のすぐ近くに装置があることに気づた。俺は部屋に入るのを少し躊躇ったが

「部屋入って大丈夫だよ」

そうリアさんに言われ、急いで部屋に入った。

「届け先への移動はこの装置と部屋を使って行います。まずこの装置に伝票を読み込ませるの。ここの正方形のところに伝票置いてみて」

言われるままに俺は伝票を置いてみた。すると伝票を置いているところが一瞬青色にひかり、次の瞬間には伝票と同じ座標が正方形の中に映し出されていた。

「すごい!」

「でしょ!であとはあの丸い円の中に立てば、座標のところに転送されるようになってるんだけど、違う伝票置いたり、装置自体を勝手に触ったりすると違う場所にとばされちゃうので気をつけるようにしてね」

「はい。それは充分気をつけます」

「あと荷物についてなんだけど。本当に稀な例ではあるけど、うちに届くはずじゃない荷物が届いちゃうこともあるにはあって。まあそうそう起こることじゃないからそう言うこともあるんだっていうことは知っておいて」

「分かりました」

「よし!じゃあ早速この荷物届けてみる?」

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