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3-① 勇者に

          『勇者』

勇気を持って皆を導き強大な敵を倒し世界を平和にする英雄。そんな存在をまた自称する事になるとは思わなかった。

…光が俺を包む眩しい様な暖かい様な、体が重い、右手に握られた何かが重い、左手に握られた何かも重い。

これは…一体


「はっはー!主人公は勇者だったのか!いいじゃんいいじゃん!さぁお披露目だぁあ!」


木崎の大声が聞こえる。お披露目ってなんだよ…


光は形となって俺の身を包んだ


「これは…」


…ダッセェエエェ……まーじかコレェ

光が落ち着き自分の持ち物そして体を見える限りで確認した。

眩い(まばゆ)光を反射するほどの金!金!金‼︎


「へぇ金色(こんじき)龍装(りゅうそう)かよ…カッケェじゃん…」


木崎がなんか言ってる。かっこいい?これが?嘘だぁ

俺の体を包む鎧、右手には剣!左手には盾!どれもこれもまっ金金!盾には大きなドラゴンの顔、口を開いてその口には赤い宝石が埋まっている。剣は刀身から鍔の方にドラゴンが羽ばたくレリーフが浮かび上がっている。鎧の腹にもドラゴン、手甲にもドラゴン、両肩にドラゴン、脚にもドラゴン!ドラゴン!

…懐かしいなぁ。


「木崎くん?これかっこいいか?」


「?かっこいいだろ?黄金のドラゴンだぜ?男の子はみーんなかっこいいと思うだろ?」


こんなSA(サービスエリア)で売ってる需要のよくわからないお土産みたいな装備がかっこいい?キョトンとした顔をしながら首を傾げてるけどまじかこいつ…けどまぁそうだなぁ


「出会い方が違ったら仲良くなれたかもね、木崎くん」


「まじ?じゃぁ雄也(ゆうや)って呼んでいいよ?」


「それは遠慮しとくよ」


2人で笑った、少し緊張が解けたけどすぐにまた全身に力が入った。木崎が槍を力を込めて握り構えたからだ。


「紹介するよこいつは激流槍ケートス!海の魔物の素材から作られた水を操る槍さ!大きな波を起こしたり水流の突きを飛ばしたりできるんだぁ、そっちは?」


急に自分の槍の説明?、そっちは?って言われたもなぁそんな大層な設定覚えてない…っ痛い一緒頭痛がした、やっぱりまだ沢山の事を俺は忘れているのだろう。


「そうねぇ勇者の鎧と盾、そして剣さ…多分最強だよ?」


「へぇ自信無さそうに言う事じゃ無いと思うけど…まぁいいや!始めようかぁ!」


木崎が地面を蹴った、槍を構えてすごいスピードで俺に近づく!

ッガキン!なんとか盾でガードできた!


「かったいなぁ!」


木崎が何度も突きを繰り出す。盾を前面に構えて耐えているけど衝撃が凄い。…体が勝手に動く様な感じだ戦った事なんてもちろん人生で一度もない。なのに自然に動く、木崎の動きがよく見える。


「防ぐだけかぁ!蒼牙突(そうがとつ)‼︎」


ケートスの穂先を水流が渦を巻いて包んだ、盾で受けたけど今までのやつより衝撃がデカい、俺は受けきれずに後ろへ飛ばされた


「ぐぅっなんだよ!そのかっこいい技ぁ!」


「出しやすくて使い勝手が良いんだよね⭐︎まだまだいくぞぉ!大波!大波蒼襲(たいはそうしゅう)


槍を上へと振るい大きな波を生み出しそれに乗って木崎は俺に突撃してきた。

…防ぐだけじゃ駄目だ!俺も攻めなきゃ!

剣を握る手に力を込めた。

それっぽい事は今ならなんでも出来る気がしたんだ。


「こっちも行くぞ!木崎ぃ!」


剣が輝き出す。バチバチと電気が走る。


「ライトニングスラーーッシュ‼︎」


水には電気!これは常識だろ‼︎


大きく剣を振った。

稲妻を纏った斬撃が木崎に向かって飛んだ。

かっこいい!こんな事出来るんだ俺!

今までの困惑や恐怖を忘れて興奮した。


「はぁこんなもんかよ」


バチィ!っとすごい音がした。木崎が軽く振った槍が俺のライトニングスラッシュを簡単に破った。


「え?」


「がっかりだぜ勇者健人この程度の力しかないのかよはぁなんか、しらけたわぁ、じゃぁさよなら」


呆然としてる俺にとぼとぼ近づいてきた木崎は俺に向かって普通の突きを放った。


ガキン‼︎


「あぁもう動けるの?姫様?」




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