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②-1 昔の俺は…

布団に入ってしばらく、今日の事をはっきりと考え事をしていたらだんだんうつらうつらしてきて、眠りについていた。


『皆!今日は人喰いザメの海を抜けて花園に行くぞ!』


『おっけい!』


『あっち途中で線無くなるけど大丈夫?』


『俺達なら跳べる!天空の城より簡単だろ?』


『そうだよ、余裕だろ行こうぜ!』


『うーん、頑張る!』


『よっしゃあ!ゆーしゃ健人パーティー!冒険へしゅっぱーつ!』


『おぉぉぉぉしゃーー!』


『おー!』


懐かしい夢を見た気がする。一緒に居た奴らの顔はボヤけてよく思い出せない。続きを見ようともう一度目を閉じたけど眠れない。そして見てた夢の記憶もどんどん薄らいでいった。


ガラガラ、キーキー、雨戸を開ける音はうるさい。みーんみんみん蝉もうるさい。

うん風は気持ちいい。


「おはよう」


「あら、おはよう今日は早いわね、よく眠れた?」


壁にかかった時計を見ると8時を指していた。


「うん昨日寝るの早かったしよく眠れたし」


「それは良かった朝ごはん準備するから顔洗って来なさいな」


「ありがとう、ばーちゃん朝何時に起きてるの?」


「私はねばーちゃんだから4時過ぎには目が覚めちゃうのよ」


「はっや」


顔を洗って歯を磨いてると味噌汁のいい匂いがしてきた。

今日の朝ごはんは昨日の天ぷらの残りとご飯お漬物と味噌汁あと甘い卵焼きだ。


「いただきまーす」


「はい召し上がれ」


「うん美味しいよ」


「それは良かったわぁ、パンが良かったら言ってね?」


「いやーせっかくゆっくり食べれるしお米がいいよやっぱ朝のご飯はこれだよ」


「そうかい」


ばーちゃんは嬉しそうに笑った。朝早く起きて先に食べてるらしいので俺が食べてるのを嬉しそうに眺めている。


「ねぇばーちゃん、俺むっかーし小学生1.2年の頃そこそこ長い間ここに泊まった事あったっけ?」


「そうねぇ1年生の時に夏休みまるまるここで過ごしてたわね、おじーちゃんと釣りに行ったりしてたわ」


「あったねー!思い出した思い出した、その場で焚き火して焼いたんだよ、火をつけるじーちゃんかっこよかったなぁ、あっまた挨拶忘れた」


ばーちゃんに言われて思い出したけどなんだろその頃1ヶ月もあったのになんか思い出せない事が多い。記憶全体にモヤがかかってる見たいだ。


「その時さ俺友達居た?」


「さぁどーだろうねぇおじーちゃんと一緒によく出かけてたと思うけど、そう言えば時々1人で散歩にも行ってたかねぇ?」


ばーちゃんは天井を見ながら考え始めた。


「そうそう健人1人で出かける時は、冒険に行ってくる!なんて言ってたわぁ」


ばーちゃんは懐かしむように笑って俺の顔を見た。


「大きくなったわね」


「まぁもう10年以上経ってるからね、そうか冒険ね、んこの漬物美味しいね」


「良かった、畑でとれたきゅうりを糠で漬けてるのよ、健人今日はどうするの?」


「んーまた散歩に行こうかなって、なんか思い出さなきゃいけないことがある様な気がして、ぷらぷらしてたら思い出せるかなって」


「あらそうなの?なら今日は麦わら被っていきなさい、日差し強いから」


「ありがとう、あっでも畑とかなんか手伝うことあったら言ってよ」


「ありがとうね、でも今日は大丈夫よ健人はのんびり過ごしなさい、それが目的でしょう?」


「うん、ありがとう。ご馳走様でした」


さてじーちゃんにも挨拶したし出かけますか。

じーちゃんの麦わらは小さくて俺の頭には合わなかった、じーちゃんこんなちっちゃかったっけ?って少し思い出せない寂しさが来た。

10年来なかったのかここに、もっとくれば良かったな。


「じゃぁいってきまーす」


「はーい気をつけてね」


ばーちゃんから水筒を受け取って家を出た。

今朝寝起きの前にちょっと見た夢を思い出そうとしながら歩き始めた。

昨日魔王城で起こったあの出来事、また何かあるかもしれないと思いながら今は人喰いザメの海を思い出そうと歩いていた。


「どこだっけなぁー?海っぽいところなんて無いよな、みつ屋に着く道だった気がするけど」


昨日とは違う道を何となく選んで曲がり角を曲がって歩いた。迷子になりそうで引き返そうか迷う。


「あのーすみませんちょっといいですか?」


急に背後から声をかけられた。

振り返ると学ランを着た男の子が2人中学生位の背丈だった。暑くないのか?


「はい?なんでしょう?」


「お兄さん昨日変な女の子と会いませんでしたか?」


そう聞いてきた男の子は前髪が目までかかっていて、表情が分かりにくかった。もう1人はその子の背後でじっと俺を見ている。


「変な女の子?ちょっとわからないな」


昨日会ったのは変な…綺麗なお姉さんだけだ……いや違うその前に小学生の子に会ってるそれが最初のはずだ。


「えー?本当ですかー?今、なんか思い出した顔してたと思うんですけど?」


ニヤつきながら俺の顔を覗く少年の雰囲気が不気味な気がした。ちょとこのままじゃまずい気がする。


「いやいや本当本当、俺ちょっと行くとこあって急いでるからまたね、学ラン暑いだろうし熱中症に気をつけなね?ばいばい」


俺は振り向いて歩き出そうとした。


「待ってくださいよー!」


男の子が叫んだ。

振り返ってみると男の子は髪をかきあげてにっと笑った。


「逃がさないよ、話聞くまではさぁ!!」


男の子の雰囲気がガラッと変わった。

そして男の子の手には槍が握られていた。


「ちょっと何それやばそうだから俺逃げるね!」


俺は走り出した。

ギリギリ昨日よりは今の状況が理解できる。武器を持った少年に声をかけられた。ただそれだけだ、急に魔王城とかケルベロスが襲ってきたわけじゃ無い。

とりあえずできることをしよう。


「おまわりさーーーん!すみませーーーんどなたか警察を呼んでくれませんかー!!」


とりあえず大声で叫びながら前に向かって走っていた。周りは畑と田んぼ…人影なし。


「すっごいな判断早いしなりふり構わず出来ることを選択する。いいね」


槍を手にした少年はそう呟いた後大きく振りかぶった。


「よーいしょぉ!!」


少年が放った槍は健人の頬をかすめ、目の前の道に突き刺さった。アスファルトに、ヒビを入れて。


「うっそぉ……本物ー?ってかアスファルトに刺さりますかねぇ?投げたのかぁ…ははは」


俺はほっぺの違和感を確認するために手を触れた。おっとぉ血が出てる。昨日のはまだ白昼夢かも知れないとか思えたけどこれは紛れもない現実だとぴりぴりする程度だけど確かにある痛みが告げていた。


「よっと、頭当たらなくて良かったよまぁ狙ったんだけどさぁー」


呆然としてしまって立ちすくんでる俺の横をゆっくり歩いていて通り過ぎた少年が地面に刺さった槍を抜きながら笑顔で話しかけてきた。


「手荒でごめんねーでもちょっとちゃんと話を聞きたいんだよ。そうだまず自己紹介でもしようか?」


さっきまで隠れていた目が髪をかきあげたからよく見える。口元はヘラヘラしてるのにじっとこっちを見ている目は笑っていない。


「あー是非お願いしたいね、俺昨日からちょっと訳分からないことがいっぱいなんだよ」


「おーそう言う事なら少し答えてあげるよ。まず俺の名前ね、木崎 雄也(きさき ゆうや)だ気軽に雄也って呼んでくれていいよ」


「そうか木崎くんよろしく、じゃぁまず聞いていいかい?少し背伸びた?」


そう最初に話しかけてきた彼は中学生かなって思う背丈だったのに今は俺と同じかそれ以上175cm前後だ。


「くっはははは!まず気になったのそれ?そうね急激な成長期かも、それと雄也って呼んでって言ったのにぃ」


「まだ、そこまで仲良くなってないかなって」


「なるほどね、じゃぁもう1つ紹介させてくれ俺の持ってるこの槍、名前は桐丸、俺の持ってる槍の中で1番スタンダードで練習とかで使うんだ、素材が桐で出来てるんだ、軽いけど脆いんだよ」


槍を俺に向かって掲げながらそう言った木崎、何を考えているのか全く分からない。ヤバいってことは分かるけどこの先どうしたらいいか全然頭が回らい。


「へーかっこいいね、でも銃刀法違反になるんじゃない?」


「おーその心配してくれるんだ、はははやっぱり面白いね、そうやって時間稼いで色々考えてるのかな?でも打開案なんてなんも出てこないでしょ?俺の質問に答えてくれたら何もしないよ」


考えはお見通しって訳?答えでないことまでもさ。


「たしかに昨日女の子には会ったよ、でも会ったって言うかすれ違ったの方が近いね」


「ふーんじゃぁもう1つ質問、さっき昨日から訳分からないことだらけって言ってたけど何があったの?もしかしてーどっか知らない場所にいきなり行っちゃったとか?」


また目つきが鋭くなった。こちらを伺う目。木崎は昨日の俺の昨日の出来事の関係者って訳か。


「あーそう実は昨日さ、変な夢みたいな事に巻き込まれちゃったんだよね、笑わないで聞いてよ?」


「もちろん笑わないよ」


「魔王城に行ったみたい…ね?変な夢だろ?」


「ほーそれは凄い体験だねえ是非俺も連れて行って欲しいなぁ」


「ちょっと連れて行くのは無理かな、言ったでしょ?巻き込まれたって、俺自身どうやって行くかわからないんだよ」


それを聞いた木崎は飛び切りの笑顔を見せた。


「そうか、じゃぁごめんね君にもう用は無いや」


そう言って桐丸を振りかぶった。

あー嘘なんも分からないまま俺死ぬの?


「ばいばい」


そう言って木崎は桐丸を放った。




「あっつぅ!」



俺の目の前に業火が広がったボゥッと勢いのある音を立てて。

木崎の放った桐丸はチリも残さず燃え尽きただろう。いや、穂先はあるかもしれないけど。


「ああぁ!やっぱ来た!!やっぱ当たり?ねぇ?姫様!」


木崎が興奮した叫びを上げている。

やがて炎は消えそこには見覚えのある人が立っていた。

袴の方が赤く上は綺麗な白の和装をした金にも見える茶色の髪を風にたなびかせた姫様と呼ばれた人。


「健人くん、逃げるよ」


そう言ってお姉さんはまた俺を肩に担いだ。


「えっまた担ぐんですかー!?」


「ちょっと黙ってなさい!!」


「あっまたそれですかー」


お姉さんは全力で木崎と逆方向に走り出した。


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