第22章:ヘヨン
夜がすっかり更けてから、もう一時間以上経った。私は自室でぐるぐると歩き回り、思考の糸をつかめずにいた。矛盾する感情に振り回され、自分がどう感じているのかが分からない。私は誓いを立てた。その誓いを守らねばならないと決めたのだ。どんな犠牲を払ってでも。そのためなら、命も心も捧げる覚悟だ。しかし、三年ぶりに心を突き動かしていた確信と信念が揺らぎ始めている。最近の出来事が私に何を感じさせたのか、内心で奇妙で不快な葛藤が続いている。マンチュンか、あるいはその兄か。その兄……。心臓が一瞬止まるような気がした。彼の親密さ、説明の数々……。身体に震えが走る。彼の瞳に輝く黄金色、三年前に長安に送られたこと、そして要塞の指揮官が彼の兄であるということ、さらに……あの視線や私を守ろうとする態度、すべてが一致している。だが、それでもどこか腑に落ちない違和感があるのだ。「彼は変わっただけ」と内なる冷静な声が囁く。ただ信じられないだけかもしれない。私は大切な人を次々と失ってきたから、もはや一人でいることが当たり前になってしまって、今さら一人ではなくなったということが受け入れられないのだろう。「たとえ彼でなくても、」小さな声が続ける。「ここで優しくしてくれたのは彼だけ。唯一の味方のように見える存在なんだ。」まさにその通りだ。彼に危険を冒させるわけにはいかない。マンチュンと彼の敵意は根深く、昨日今日のものではない。もし彼が私の思う通りの人物であるなら……。「そうだよ、彼だ」と理性が囁く。「なぜ疑うんだ?」……彼はきっと私を守ろうとするだろう。首を振る。そんなことは許されない。彼に私のために危険を冒させるわけにはいかない。もう二度と。たとえ過去に何かがあったとしても、それは過ぎ去ったことだ。私はもう甘やかされていた小さな姫君ではない。そして彼も、かつて父が私につけた顔のない護衛ではない。すべては別の人生で起こったことだ。過去を呼び覚ましても、私たちを破滅に導くだけだ。涙が込み上げる。胸の中で引き裂かれるような痛みがある。だが私は負けるわけにはいかない。たとえ彼が生きていたとしても、何者も、彼でさえも、私の復讐の妨げになってはならない。一体いつから、どうしてこんなにも状況が複雑になってしまったのだろうか?この三年間、私を支えてきた怒りが、なぜ今にも消え去りそうなのだろうか?無意識に胸に手を押し当てる。私の心を惑わせているのは、マンチュンの曖昧な態度だ。「従順の毒の解毒剤を見つけるようにする。」見たところ、彼はただ私を利用しようとしているだけで、信頼を得て自分の目的のために私を使うつもりだ。ちょうど私が彼を利用しようとしているように。しかし、彼には表面には見えないもっと複雑な意図があるのではないかと感じてしまう。いや、こんなことを考え始めてはいけない。それこそ彼の狙いだ。彼は私に疑念を抱かせ、真実と虚構の区別がつかなくなるように仕向けているのだ。あの結婚の夜に、彼を殺すことができていれば……!
目を閉じ、思考と覚悟を整理しようとする。目的に集中しなければ。彼の犯した罪を決して忘れてはならない。指が無意識に着物の襞を強く握る。たった今、彼は公然と脅しを口にしたばかりではないか。それなのに、私はなぜ迷っている?
「もし無関係な者たちが巻き込まれるのを望まないのなら、できる限り彼らから離れていろ。」
だが、そこにどうしても違和感を覚える。まるで彼の言葉の奥に何かが隠されているような、私にはまだ見えていない意図が潜んでいるような——。
その時、外廊下から微かな足音が聞こえた。顔を上げると、ちょうど扉がわずかに開き、一人の若い女が部屋へと滑り込んでくる。
見覚えはない。だが、その鋭い眼差しと弓を持つ装いを見れば、誰に遣わされたのかはすぐに分かる。
彼女はまっすぐ私に向かってきた。瞳には冷徹な殺意が宿っている。
——本来なら、私もこうあるべきなのでは?彼女の揺るぎない決意と、今の自分の迷い。そのあまりにも鮮烈な対比に、思わずそんなことを考えてしまう。
「何か見つけたのか?」彼女が鋭い声で問い詰める。
私はわずかに目を細め、肩をすくめた。「そもそも何か見つかるとでも? 五分おきに気を失っている私に?」
「それはお前の問題だ。」
彼女は袖の中に手を差し入れると、小さな白磁の瓶を取り出し、卓上に置いた。
「忘れるなよ。これはほんの猶予に過ぎない。これが最後の機会だ。大莫離支は役立たずを嫌う。自分の価値を証明するんだな。」
踵を返しかけた彼女が、ふと何かを思い出したように動きを止めた。
「それとテウォンのことだが……私の主は、お前が余計なことに気を取られないよう忠告しておくべきだと言っていた。裏切り者とつるんで得るものなど何もない。」
裏切り者? 笑わせる。ここにいる連中こそ、裏切り者ではないか。皆、等しく。それなのに、父に仕え、国を守るために李世民の侵略を食い止めようとした男を糾弾するとは、どの口が言うのか。
「私なら、」彼女は続けた。「さっさと解毒剤を飲むね。さもないと、また『気を失う』ことになるだろうから。」
言い返そうとした瞬間、腹の奥から込み上げる激しい痙攣に、喉元まで酸味のあるものが競り上がる。
彼女はそれを見て、嘲るように口元を歪めた。
「現実を受け入れるんだな。お前が生き延びる唯一の道は、大莫離支の役に立つことだけだ。司令官は現在、西壁での任務にかかりきりだ。数時間は戻らないだろう。彼の私邸の裏手から入れ。警備も手薄なはずだ。さっさとやるべきことを済ませるんだな。」
それだけ言い残し、彼女は音もなく私の館を後にした。
卓上の白い瓶に目をやる。片手は依然として腹部を押さえたまま。次第に、現状の本質が容赦なく突きつけられてくる。
——私はすでに逃れられない蜘蛛の巣に絡め取られている。
ならば、無駄死にだけはしない。過去がどうであろうと、今の自分が何を感じようと、関係ない。この機会を利用するしかない。
線香が燃え尽きる頃、夜の闇が要塞をすっかり包み込んでいた。私は暗がりに紛れ、静かに館を抜け出す。
もしマンチュンの私邸が無人であるのなら——なぜ彼らは自ら探索しようとしない?
「お前は彼らにとって何の価値もないからだ。」
心の奥で、小さな声が囁く。
「お前が消える機会を、彼らは今か今かと待っているのさ。」
……そんなことはさせない。私はマンチュンの秘密を暴き、それを奴らに突きつけてやる。
影に身を隠し、若い兵士たちの一団が通り過ぎるのを待つ。
夜は刻一刻と深まり、漆黒の指を伸ばして周囲を包み込んでいく。
迷うことなく、私はマンチュンの私邸へと向かった。弓士の言った通り、裏手には誰もいない。
細い簪を使い、内側から施錠されていた窓の閂を慎重に押し上げる。静かに身を滑り込ませると、韓屋の中は沈黙と闇に包まれていた。
目が暗がりに慣れるのを待ちつつ、私は書斎へと向かう。
家具は少なく、質素な空間だ。漆塗りの机の上には無造作に置かれた書巻。壁には精巧な書棚。そして、一枚の屏風には、忠義と義務の尊さを讃える詩が記されている。さらに、墨で描かれた山水画——。
卓上の香炉からは、焚かれたばかりの香がほのかに漂い、乾いた甘さを空間に残している。
なぜか目が吸い寄せられるように、その山水画を見つめた。近づき、表面を指でなぞる。隠し機構がないかを探っているうちに——突然、それが何を描いたものか気づいた。
それは、平壌王宮の城塞を見下ろす丘からの眺めだった。巧妙に省略され、初見では分からないように仕上げられている。画の片隅には、風に舞う桜の枝。そして、右端には一行の詩。
春を待ちて、花の咲くを愛でん
瞬きする。視界が揺らぎ、軽い眩暈を覚える。
——違う。今はそんなことに囚われている場合ではない。
気を取り直し、机の上の書類に素早く目を通す。引き出しを探るが、何の仕掛けも見つからない。
当然か。そんな安直な隠し方をするはずがない。だが、どこかに必ず手がかりがあるはず——。
ふと、視界がぼやけた。こめかみに手を当てる。室内の空気が妙に重い。
机を離れ、書棚を調べる。しかし、やはり何もない。
再び目が山水画へと向かう。——なぜマンチュンがこんなものを私邸の書斎に飾っている?彼の性格を考えれば、まるで似つかわしくない。
次第に、奇妙な倦怠感が押し寄せる。筆の跡に留められた桜の花弁を、ただぼんやりと見つめていた。
息が詰まる。身体が鉛のように重い。まるで感覚が麻痺していくかのように——。
視線を香炉に向ける。甘ったるい香りが、なおも室内を満たしている。
背後の扉から出ようと足を踏み出そうとするが——動かない。膝が崩れ、意識が遠のいていく。
——罠だ。
そう悟る間もなく、私は闇に呑まれた。