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第七十話:平和な学園生活……終了!?

 聖徳寺(しょうとくじ)学園に入学して数日が経過した。

 とりあえず授業は始まったが、やはり一年生の最初故か、まずはサモンの基礎を復習するのが中心。

 一般科目の授業もあるが、それに関してはごく普通の授業だ。

 やはりここで注目したいのはサモンの授業……なのだけど、そもそも実技の授業がまだなので語る内容がない!

 早く実技で暴れさせてくれとは、藍と俺の言葉である。

 とはいえ、派手派手なファイトをするのは時間の問題。

 今はこの平凡な日常を楽しむのも一興だと思う。


 まぁ、中にはすでに平凡なから遠ざかっている奴もいるけど。

 それはそれとして、俺は平凡。

 今日は学園にある食堂の飯を楽しんでいるぞ。


「流石は聖徳寺学園の学食。飯が美味い」


 今俺はカレーを食べている。

 肉は軍鶏肉、スパイスは自家配合。完全に専門店のカレーである。

 これが学食価格で一杯500円って素晴らしすぎない?


「ここの食堂は学園長の趣味で、一流のスタッフが揃ってるらしいわね。お祖父様が言ってたわ」

「流石はアイ。そういうのには詳しいな」


 ちなみに今俺はアイ、ソラと一緒に昼飯中。

 速水は図書館で調べ物だそうだ。


「あら? そういえば藍は居ないのかしら」

「あぁ、藍なら」

「藍ちゃんなら今日もS組に殴り込みにいっているらしいです」


 困り顔で答えるソラ。

 だけどその通りなんだよなぁ……。

 入学式の日以来、藍は九頭竜真波にファイトを挑むために、何度もS組に行っている。

 まぁことごとく追い返されているんだけどな。


「でも不思議ですね。どうしてファイトを受けないんでしょう?」

「予約があるんだろ。S組の生徒、ましてや六帝(りくてい)とのファイトともなればやりたい奴はいくらでもいる」

「なるほどね。先約がすでに多すぎて、藍のファイトを受けている余裕はないってこと」

「それだけファイトを挑まれているなんて……すごいですね〜」

「実際スゴいんだよ、六帝評議会ってやつは」


 下手をすれば直接対面する事も難しい人達だからな。

 アニメだと六帝が登校してきただけで、ギャラリーが沸いてたからな。

 ファイトするともなれば、簡単にはいかない。


 ま、この悩みは藍だけじゃなくて俺も抱えているんだけどな。


「俺も六帝とファイトしてー」

「ツルギくんが言うと、冗談に聞こえないですね」

「というか、冗談じゃなくて本気で言ったでしょ」

「とうぜん」


 だって六帝評議会に入りたいんだもん。

 あとは色々と探りたい事もあるしね。


「ツルギ……お願いだから、変な騒ぎは起こさないでよ」

「失礼な。俺は普通にファイトを挑む予定だ」

「ツルギくんの普通は信用できないです」


 ソラさんや、真顔でそんな事言わないでください。

 泣きそうになります。


「でも六帝って、どうやってなるんでしょうか?」

「ランキング戦で上位に入ればなれるんじゃないの?」


 ソラアイが純粋な疑問を上げている。

 まぁ普通ならそう思うよな。

 勿論俺はきちんと調べた後だぜ。


「ランキング戦で上位に入るのは最低条件だ。問題はその後」

「どういうことかしら?」

「ランキング戦で上位6名に入ったら、六帝への正式な挑戦権が得られる。そこで六帝の誰かに勝てば良いらしい」


 ちなみに六帝が卒業でいなくなった場合は、ランキング上位者から繰り上がりで六帝に入る事になるとか。

 もっとも、繰り上がりなんて甘い事象は一度も発生した事ないらしいけどな。


「そうなんですね。厳しいです」

「まぁ最強を名乗るわけだからな。これくらいしないといけないんだろ」

「でもツルギ。それだけじゃない、でしょ?」


 流石アイ。察しが良いな。


「この学園はサモンが全ての学園。当然何かを賭けた勝負だって珍しくない」

「……それって、もしかしてですけど」

「六帝の席を賭けた勝負。そういうのも有りなんだ」


 当然だけど、双方の合意が必要だけどな。


「とは言え、この方法はあまり現実的じゃない。六帝の席を巡るファイトなんて、どっちかの退学を賭けても割に合わないからな」

「それでも割に合わないんですね」

「改めて考えると、中々に飛んでる学園ね」

「それが聖徳寺学園だ」


 ここは良くも悪くもサモンが全て。

 サモンの強さは権力の強さ。

 強さこそ正義の学園だ。


「ということは、ツルギくんはやっぱりランキング戦を目指すんですか?」

「そうだな。まずは正攻法でランキング戦を勝ち抜く予定」

「勝算はあるのかしら? 少なくともランキング戦では私達A組だけじゃなくてS組とも対戦する事になるわよ」

「みんな間違いなく強いファイターのはずです。特にツルギくんはJMSカップでテレビに映ってますから、ループコンボの対策もされてそうです」

「大丈夫だ。ちゃんと考えはある」


 俺は1枚のカードを召喚器から取り出して、二人に見せた。


「ツルギ、それって!」

「新しいSRカードですか!?」

「選択肢は多い方がいいだろ?」


 あたかも最近当てたように振る舞う俺だけど、手にしているカードは前の世界から持ってきたもの。

 ちなみにJMSカップで使わなかった理由は、アイのデッキにはあまり刺さりそうになかったからだ。


「このカード……カーバンクルの進化形態なのね」

「蒼いドラゴンじゃなくて、今度は紅いライオンです」

「名前はカーバンクル・ビースト、これをデッキに入れて頑張る予定だ」


 刺さるデッキにはとことん刺さるカードだからな。

 これとカーバンクル・ドラゴン、そしてアームドカードで暴れてやるんだ。


「でもねツルギ」

「私達も負けてはいません!」


 そう言ってアイとソラはカードを取り出して、俺に見せてくる。


「それは、アームドカードか」

「はい。この前アイちゃんと買ったパックで当てたんです」

「私達もこのカードでデッキを強化する予定よ」

「これは強力なライバル登場だな」


 だけど負けるつもりはない。

 ランキング戦勝ち抜いて、六帝に入るんだ。

 それに……誰にも言わないけど、現在は無制限、未来では禁止指定受けたカードも仕込んであるしね。

 例の事件が起きたら、このカードを迷わず使う予定だ。


「それにしても速水はともかく、藍のやつ全然食堂にこねーな」

「もうすぐお昼休み終わっちゃいますよ」


 結構食いしん坊な藍が昼飯を抜くとは考えられない。

 どうしたんだろうか?

 いや待て……入学から数日経過?

 なんかアニメでイベントがあった気がする。


「あら、何か騒がしいわね」


 アイに言われて気がついた。

 食堂のモニターに、ファイトステージが映し出されている。

 皆それを見ているのだ。

 誰かファイトしているのか?


「……まさか」

「あっ、ツルギくん!」


 俺は一つの可能性に行きつき、急いでモニター前に移動した。

 人をかき分け、顔を上げる。


「あっ、やっぱり!」


 モニターに映っているファイトステージ。

 そこに立っているのは藍。

 そしてもう一人は、九頭竜(くずりゅう)真波であった。


「おい見ろよ竜帝(りゅうてい)のファイトだぜ」

「相手は最近竜帝に付き纏っていた新入生の女だ」

「こりゃあボコボコにされるぞー」


 ギャラリーが好き勝手に言っているが、今はどうでも良い。

 モニターの向こうで、藍と真波が召喚器を向け合う。


『『ターゲット・ロック!』』


 そうか、今日だったのか。

 藍と真波の初ファイトは。


『『サモンファイト! レディー、ゴー!』』


 俺は静かに、二人のファイトを見守る事にした。

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