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俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜  作者: 鴨山 兄助
第七章:高校生編④

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第百五十八話:【デコレーション】と【バズドライブ!】

「あたしのターン。スタートフェイズ、ドローフェイズ!」


 (まい):手札5枚→6枚


 威勢よくカードを引く舞ちゃん。

 最初のターンが終わったので、このターンからはドローフェイズとアタックフェイズが解禁される。

 今の舞ちゃんの場には〈プリン・プーリン〉が1体のみ。

 ここからモンスターを増やすのだろうけど……あの子がドローしたカード、智代(ちよ)ちゃんのカード効果で見えてたけど、アレなんだよな。


「メインフェイズ。次のメニューはこの子達! 〈キャラメルハッド〉〈タピオカ・バエケイ〉を召喚しまーす!」


 舞ちゃんの場に召喚されたのは2体の騎士型モンスター。

 キャラメルを想起させるデザインの鎧と大きな盾を持った若い男の騎士。

 そして妙にチャラい風貌と、手に持ったスマホが特徴的なタピオカの騎士。

 確かモデルはギャラハッドとケイだったか。


〈キャラメルハッド〉P5000 ヒット1

〈タピオカ・バエケイ〉P4000 ヒット1


“前から思ってるんだけど、キャラメルの鎧って夏場溶けそう”

“↑舞ちゃんのスイーツデッキにそれは無粋だろ”

“タピオカで映えって、もう古の文化よね”

“俺らはタピオカじゃなくて芋をダイレクトに食らって映えるぞ”

”↑毒あるからダイレクトに食うな定期“


 リスナーさんは自由だな〜、盛り上がってるなら良いんだけど。

 さて、これで舞ちゃんの場にはモンスターが3体並んだけど……まだあのカードを使ってないな。


「そしてこちらが、本日のメインスイーツになりまーす!」


 そう言って舞ちゃんが1枚のカードを仮想モニターに投げ込むと、召喚コストとして手札を1枚捨て、同時に〈プリン・プーリン〉が破壊されてしまった。

 ……なんか特撮の怪人みたいな爆散をしていったな。スイーツ要素もうちょい守れよ。


「あの子もみんなも可愛くデコレーション! 甘くて強いスイーツの王様! 〈チョコペンドラゴン〉召喚しまーす!」


 そして魔法陣を突き破って、舞ちゃんの場に姿を見せたのは1体の胴長なドラゴン。

 その名の通り頭部がチョコペンのような造形になっている、舞ちゃんのエースモンスターだ。


〈チョコペンドラゴン〉P7000 ヒット2


「召喚コストで破壊された〈プリン・プーリン〉の効果発動ー! あたしの場のモンスター〈チョコペンドラゴン〉のヒットを+1しまーす!」


〈チョコペンドラゴン〉ヒット2→3


 うん上手いな、ちゃんと破壊時効果を持つモンスターをコストにできている。

 その上で専用能力を持つモンスターを3体並べる事にも成功した。

 これなら中学でも上位の強者でいられるでしょう。


”召喚コストで破壊時効果のトリガー引くの怖くない?“

”自分でやるのは気持ちいいだろうけど、相手にやられたら滅茶苦茶腹立つやつだ“

”なんというかさ、このチャンネルのサモンファイト回って普通に勉強になるんだよな“

”↑本日は先生も来てますし“

”↑先生(殺戮兵器)“


 リスナーさん達も褒めるね〜。褒め言葉は人間の心を豊かにしてくれます。

 あと俺はそこまで殺戮兵器してない。

 コメント欄を見ながらそんな事を考えていると、舞ちゃんの場にいる3体のモンスターが淡いオーラを身に纏い始めた。


「モンスターが揃ったかから【デコレーション】の本領発揮しちゃいまーす!」


 舞ちゃんの使う系統:《星菓(せいか)》の専用能力【デコレーション】。

 それは、同じく【デコレーション】を持つ自身のモンスターと能力を共有する効果だ。

 現在舞ちゃんの場にいるモンスターは3体とも【デコレーション】を持っているので、3体分の能力共有が発生している。


(さぁて、ここから舞ちゃんの攻撃が始ま――)

「さーらーにー! 魔法カード〈円卓の十三菓子スイーツ・オブ・ラウンド〉を発動しまーす!」

「あっ」


 思わず間抜けな声が出てしまう。

 舞ちゃんが使った〈円卓の十三菓子〉というカードは『自分の場に存在する【デコレーション】を持つモンスター1体につき、相手に2点のダメージを与える』か『自分はデッキからカードを2枚ドローして、自分のモンスターに【指定アタック】を与える』という2つの効果から選んで発動できる魔法カードだ。

 そして自分の場に【デコレーション】を持つモンスターが3体存在すれば両方を発動できるという必殺性も持っている。


(ただし、その発動コストはライフ3点と手札1枚、自分のデッキを上から6枚除外と……お世辞にも軽いとは言えない代物)


 舞:ライフ8→5 手札2枚→1枚

 

 ここで決まれば俺に6点のダメージを与えて、【指定アタック】でこっちのモンスターを殲滅できる。

 だけど舞ちゃん、それは本当に最後の詰めに使うものであって、慢心した瞬間に使うカードじゃないんだよ。

 しかも前のターンで手札に加えた防御札の〈マーマレッド〉を捨ててるし。


「これはちょっと、痛い目にあって貰わないとかな」


 流石にこのタイミングで防御札を捨てるプレイングはいただけない。

 特に〈マーマレッド〉は手札から捨てれば相手モンスターの攻撃を無効化して、自分のライフを1点回復できる優秀なカード。

 慢心して捨てればどういう事になるのか……指導のお時間です。


「相手が魔法カードを使った瞬間〈第十三代スーパー無色無敵セイバー〉の効果を発動!」

「ゔぇッ!? せんせぇ、すっごく嫌な予感がするんだけど!」

「その予感を当ててやろう。まずは効果発動のコストでバニラモンスターである〈ホロロギウム・エンジェル〉を破壊」


 見習い騎士が持つ剣に、生贄として捧げられてしまう時計座の天使。

 そして必要な力を得た〈無色無敵セイバー〉を、見習い騎士は魔法カード目掛けて勢いよく振り下ろした。


「〈無色無敵セイバー〉の効果。バニラモンスター1体を犠牲にして、ターン中1回だけ相手の魔法カードを無効化できる」

「えっ……うっそぉぉぉ!?」

「さて舞ちゃんに問題です。モンスターの召喚や魔法の発動を無効化された時、そのカードを使う時に支払ったコストはどうなるでしょう?」


”あっ“

”あっ……”

“嫌な記憶が急に掘り返された”

“あれ? どうなるんだっけ?”

“↑ヒント:最悪のパターン”

“↑ありがとう。理解しちゃったよ”


 おっと、リスナーさんは分かった人とそうでない人に分かれたか。

 確かにこの世界ではカード効果を無効にされる事が少ないもんな。


「さぁて舞ちゃん、答えをどうぞ」

「うぅぅぅ、一度支払ったコストは戻ってきませーん!」

「正解。不用意にコストが重いカードを使うとこうなるんだぞ。舞ちゃんはもう少し相手のカードを観察するようにしましょう」


“はえー、そうなるんや怖ぁ”

“待て待て待てスルーしそうになったけどバニラサポートで魔法カードを無効化した!?”

“そういえば最初のターンで使ったバニラモンスターのサポートも、盤面展開と手札補充だったな”

“盤面展開して魔法カウンターのコストを確保しつつ、手札補充をしてさらにカウンターを抱えると(震え声)”

“ぼくのしってるばにらでっきじゃない”


 教育的指導受けて落ち込んでいる舞ちゃん。

 一方のコメント欄に集まっているリスナーの皆様は、俺が使ったカードの能力について盛り上がっていた。

 コメントに出ていた通り、俺が今使っている【バニラコントロール】は優秀な盤面展開とドロー力を駆使して〈第十三代スーパー無色無敵セイバー〉の魔法カウンター能力を使うデッキだ。

 強く見えるだろ? 前の世界でもTier2くらいにはいたんだぞ……4ヶ月くらいな。


「一応だけど改めて〈第十三代スーパー無色無敵セイバー〉の効果を説明させてくれ。こいつが場に存在する限り俺はバニラモンスターしか召喚できなくなる」

「あのぉ先生? その代わりに魔法カードを無効化するなら十分に強いんですけど」

「そんなCHIYOちゃんに追加情報を公開しよう。〈無色無敵セイバー〉が存在する限り、俺のバニラモンスターは全員相手のカード効果では破壊されなくなるぞ」

「先生ェェェ!? 手加減って言葉知ってますかァァァ!?」


 めっちゃ叫ぶじゃん智代ちゃん。

 いや、舞ちゃんとリスナーさん達も似たような感じか。


“待って効果破壊されないとか聞いてない”

“やべぇぞバニラの時代が来るか”

“バニラが耐性持ちになるなら話が変わりすぎるんよ”

“俺今日からバニラアイスだけ食べます”


 そうだよな、この世界基準なら強く見えるよな。

 前の世界での【バニラコントロール】は……よりにもよって同期に天敵のデッキがいたから。

 具体的には破壊耐性を貫通してバニラモンスターを殲滅してくる九頭竜さんの【王竜(おうりゅう)輝士(きし)】と、破壊を伴わない除去で盤面を消し飛ばしてくる〈エオストーレ〉が所属する【聖天使(せいてんし)】である。


「う〜ん……アタックフェイズはいりまーす!」


 おっと、舞ちゃんが動き始めたか。

 ライフは減ったし手札も少なくなったけど、何をしてくるのかな?

 でもその前に智代ちゃんの効果処理が先か。


「アタックフェイズが開始した瞬間、〈ドクター・スコーピオン〉の【バズドライブ!】が発動だァァァ!」


”キタァァァ! CHIYOの【バズドライブ!】“

”相手のデッキトップにあるカードの種類で効果が変化するぜ!“

”↑しかもそれがモンスターカードなら、ヒット数と同じだけ効果が使えちまうんだ“

”↑魔法カードの時は専用効果が1回だけなんだけどね“

”先生のデッキトップには……モンスターカード! ヒット2だ!“


 リスナーの皆様、説明ありがとう。

 ちなみに今回はバトルロイヤルルールでやっているけど、特殊処理として俺と舞ちゃんどちらのデッキトップを参照するかは、智代ちゃんに決定権があるぞ。


「〈ドクター・スコーピオン〉はアタックフェイズ開始時に手札に戻る事で【バズドライブ!】を発動できる。今先生のデッキトップにはヒット2のモンスターカード! 効果で私は手札を1枚捨ててカードを1枚ドロー、これを2回発動しちゃうよー!」


 アタックフェイズ開始と同時に自ら場外へ飛んでいく〈ドクター・スコーピオン〉。やっぱり図体がデカすぎるんだよ。

 そして手札交換効果を使う智代ちゃん。手札交換だから枚数の増減はない。

 一連の処理が終わり、今度こそ舞ちゃんの攻撃が始まる。


「とりあえず〈チョコペンドラゴン〉で攻撃! 攻撃した時に【デコレーション】能力を発動しまーす!」


 能力でカードを1枚ドローする舞ちゃん。

 これが〈チョコペンドラゴン〉の【デコレーション】能力。自身が攻撃した時に1枚ドローする能力を仲間にも与えるんだ。

 さらに舞ちゃんの【デコレーション】は連鎖する。

 今度は〈タピオカ・バエケイ〉の【デコレーション】によって、攻撃時にパワー+3000が発動する。


 舞:手札1枚→2枚

〈チョコペンドラゴン〉P7000→P10000


 うーん、この後は智代ちゃんのターンもあるし……チャンプブロックはしたくないな。


「ライフで受ける」


 ブロックはせず直接ライフで受ける選択をする。

 〈チョコペンドラゴン〉は口に凄まじいエネルギー……ではなくチョコレートを溜め込んで、俺に向けて一気に解き放ってきた。

 立体映像とはいえ、溶けて熱々のチョコを被るのは何とも言えない気持ちになる。


 ツルギ:ライフ10→7


「うぅぅ……ターンエンド」


 舞:ライフ5 手札2枚

 場:〈キャラメルハッド〉〈タピオカ・バエケイ〉〈チョコペンドラゴン〉


 うん、下手にフルアタックはせずにブロッカーを残したか。

 しかも仮に全員でアタックしていたら俺のライフが5になってしまう。

 今日の学びも活かしており、その点については素直に花丸をあげたい。


(さて次は)


 智代ちゃんのターンだ。


「先生もすごいけど、CHIYOも頑張っちゃうよォォォ! CHIYOのターン、スタートフェイズ! ドローフェイズ!」


 智代:手札4枚→5枚


 召臨寺の和尚もそうだったけど、この世界の人達ってなんでこんなに叫ぶの?

 あと周りも叫び声に気づいてくれ、突っ込んでくれ。


「メインフェイズ。お次の出演者はこの2人! 〈左龍院(さりゅういん)アオ〉〈戦乙女(いくさおとめ)ワンダ〉を召喚!」


 智代ちゃんの場に召喚されたのは、2人の美少女系モンスター。

 青いドラゴンを連想するような衣装を着た、白髪に赤いエクステがアクセントになっている〈左龍院アオ〉。

 同じく青い色合いの衣装だが、こちらは鎧のようなデザインであり、長い青髪が特徴的な〈戦乙女ワンダ〉。

 服装や色合い的に、どちらもVtuberのような風貌をしている。


〈左龍院アオ〉P2002 ヒット2

〈戦乙女ワンダ〉P6000 ヒット1


 ……前からずっと思っていた事を心の中で叫ばせてください。

 左龍院のパワー下一桁キッッッッッッッッッッッッモ!

 なんでこいつ下一桁が0じゃないんだよ面倒臭い。


「先生、今〈アオ〉のパワーをキモいとか思いましたね?」

「俺じゃなくてもそう思う」


“ごめんねCHIYOちゃん、ぶっちゃけ俺もキモいと思う”

“ごめCHIYO”

“下一桁が0じゃないとブサイクだと思うんです”

“でも〈アオ〉ちゃんのビジュアルは大好きです、信じてください!“


「じゃ悪い先生には、CHIYOからお仕置きです! 手札を1枚捨てて〈左龍院アオ〉の効果発動! 相手モンスターを1体選んで疲労させます!」


 効果によって俺の場にいた〈ブイ・イッスン〉が疲労してしまう。

 だけど智代ちゃんの〈アオ〉はここからが本領だ。


「相手モンスターが疲労したことで〈左龍院アオ〉の【バズドライブ!】を発動! 疲労したモンスターのパワー分、このカードのパワーを上げます!」


 疲労した〈ブイ・イッスン〉のパワーは6000。

 しかもモンスターカードがデッキトップで表になっている時の効果だから、この効果も2回発動する。


〈左龍院アオ〉P2002→P14002


 流石にパワーが高い、けどパワーだけなら戦局への影響は少ないか。


「アタックフェイズ! この瞬間〈戦乙女ワンダ〉の【バズドライブ!】発動!」


 自身の能力によってヒット数を上げる〈ワンダ〉。

 あのカードの【バズドライブ!】は相手のデッキトップがモンスターカードなら、ヒットを1上げるだけというもの……しかし効果はヒット数だけ発動する。


〈戦乙女ワンダ〉ヒット1→3


「〈ワンダ〉で攻撃!」


 青髪の戦乙女が剣を手にして俺に攻撃を仕掛ける。

 このまま食らえば残りライフは4か。


”よし! ここで3ダメージはデカい!“

”パワーも6000あるからブロックされてもモンスターは破壊できる!“

”勝ったなガハハ“


 はいリスナーの皆様、フラグ立てお疲れ様です。


「魔法カード〈トリックゲート〉を発動。攻撃対象を〈ブイ・イッスン〉に変更する」

「え”ッ“!?」


 突如出現したゲートに勢い余って突入してしまう戦乙女。

 出口は疲労状態ながらも臨戦態勢になっていた〈ブイ・イッスン〉の眼前。

 一瞬で対峙する羽目になった2体はすぐさま己の得物を抜き、相手を斬りつける。

 しかしパワーはお互い6000。同時に崩れ落ちて相打ちに終わってしまった。


「手札の数は可能性の数。迂闊な攻撃はこういう事にも繋がります」

「〈アオ〉はもったいないけど、ターンエンド」


 智代:ライフ10 手札2枚

 場:〈左龍院アオ〉〈ユナ・スプラン〉


 ターンが終わって〈左龍院アオ〉のパワーも元に戻る。

 そしてもう1体の〈ユナ・スプラン〉はヒット0だから攻撃する意味も薄い。

 智代ちゃんに残り手札は2枚だからな、下手に攻めてブロッカーを減らすよりはずっと良い判断だ。


(2人とも成長はしている……けどまだまだ甘い点もある)


 なら今度は俺が攻める番だ。


「俺のターン、スタートフェイズ!」

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