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プロローグ:ある青春の1ページ?

2024年6月17日:大幅に改稿しました。

 カードゲームを通じて女の子と仲良くなれたら、それは理想の極みだと思う。

 水族館デートとか普通なら夢じゃん? 美しい青春の筈じゃん?

 

「あっ、ツルギくん! これ見てください!」

 

 腰まである白い長髪が特徴的な女子、赤翼ソラが嬉々として俺に話しかけてくる。

 大きな学校行事が終わって、クラスメイトの女子と水族館に来る。

 だれがどう見ても最高の青春……の筈なんだよなぁ。

 

「海洋生物系カードだけが収録されているパックですよ! ペンギンさんも出るかな?」


 水族館です。俺が今訪れている場所は水族館です。

 そして彼女が目を輝かせて眺めているのは、カードゲームのパックです。

 何故か水族館の中にカードショップがあります。

 

『まもなくライディングイルカファイトが始まります』

「ツルギくん! イルカファイト見に行きましょう!」

「そうだな……俺は今眼球の寿命を消し飛ばす覚悟を決めた」

 

 水族館名物イルカショーじゃないんだよ。飼育員がイルカの背に乗ってカードファイトをするトンチキ演目なんだよ。

 動物愛護団体に怒られてしまえ。

 

(なぁ神様……俺は確かにカードゲームアニメの世界に行きたいとは願ったぞ)

 だけどさ、こうなるとは思わないじゃん。

 骨の髄までカードゲーム至上主義のトンチキ世界だとは想像できないじゃん。

 

「おいあっちでプロポーズ成功を賭けたファイトやってるらしいぜ!」

「やっほー、見に行こう!」


 わかるか神様よ。その辺の通行人の発言ですらこれが基本なんだぞ。

 そもそもなんだよプロポーズファイトって。そんなものをカードゲームで決めるな。

 

「水族館でプロポーズファイト……なんだかロマンチックですね」

「そうか……俺はもっとシンプルにやっても良いと思うな」

 

 すまないが、ロマンを感じる要素が見当たらない。

 冷静に考えてくれ、現実でカードゲーム使ってプロポーズする男がいたら相当ヤバいぞ。

 しかも一部の業界人とかじゃなくて、一般人だぞ。

 あとロマンチックとか言うけどさ、これ一部の女子限定の思考じゃないんだぞ。

 全世界共通の思考とかいうんだぞ。知らなかったよ世界がこんなにトンチキだなんて、一回滅んでしまえアース。

 

(本当に……なんでこんな事になったんだろうな……)

 

 カードゲームで無双できる理想の世界。

 そんな世界に転移したつもりだったけど……実際は俺の無双とトンチキが共存した混沌の極みのような世界だ。

 

(家族まとめて異世界転移……人生ってわからないもんだな)

 

 とりあえず今は、諦めと共にイルカを見に行くか。

 異世界転移なんて現実からは、目を逸らそう。


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