キモオタオッサンに超絶美少女の私が恋をした
わけねぇだろ!
私、ヒメジ! 高校二年の女子高生! なんだけど、気付いたら、知らない部屋で布団に入って寝ていて起きた。
「う、クサッ!」
その布団はものすごく臭かった。そして、棒立ちしている人物に気付く。
「誰!?」
「この部屋の住人だけど……」
「はっ!」
まずい! エッチな事される! と、直感的に思えるキモオタ丸出しのオッサンだった。なんかのアニメ系のパーカーとボトムス、ヒゲがボーボーで髪の毛は剃っているのか? ハゲなのか? メガネはヤ◯ザがしていそうなデザイン、チー牛顔。ヤバい。ヤバさマシマシで命の危険を感じた。
「あの〜」
うわっ! 殺される!
「大丈夫ですか?」
「へ? 何が?」
「いや、貴女、最下層で倒れていたので……」
「じゃあ、ここは?」
「準最下層」
キャーーーー! 不潔! 野蛮! 変態! 最下層に私みたいな上層階のセレブなJKが倒れていたなんて!
「はっ!」
もしかしたら何かされていたもう既に? カバンの中身よし! 身体も、ちょっと埃っぽいのが付いているだけ!
「もしかして、助けてくれたんですか?」
「ええ、まあ」
「ありがとうございます」
本当に助かった! 最下層の住人には何をされるかわからない。下手したらバリカンで、この艶やかな黒髪がボンバーヘッドになっていたりしたかも。???
「あの、何故私を?」
「いやー、別に大した理由はないです。あのままだったら危険だなぁって、それにお嬢さんキレイですし」
キュン♡
ってするわけねぇだろ! 相手を考えろ! いくら口先で良いこと言っても、相手がキモオタオッサンだ。恋に落ちるはずがない! 昨今の美女と野獣婚も金目当てだろどうせ。
「はは、あ! 何かお礼3しなきゃ!」
「いいですよ。そんなつもりじゃなかったし、得を積むと考えて、神様仏様に感謝です」
「そんな、悪いですって! ほら、一万ドラ。これがあればかなり贅沢できますよ? お好きなアニメのグッズだってお高いでしょ?」
そう、ちょっと引っかかるのが、この男、どうして痩せる事なく、グッズを購入しまくり、生き延びているのか?
(マーダス家の者と言うのは止めておこう)
「いや、あの、ヒメジ【様】、私はマーダスコーポレーションのヴァッシュル、潜入捜査している者です」
「え! そうだったの!」
なるほど、正義感が強く、お金に不自由しないのはそういう事か。