神の御業
恐竜は絶滅した? 誰かが言った「その割には発見される骨の量が少ない」と。そう。恐竜は絶滅していない。
話は飛ぶが、ここは宇宙船の中。と、言っても恐竜達が乗っている超巨大惑星並みの宇宙船である。
「おい! メシはまだか!?」
「ティラノサウルスの【パリ】さん! お行儀が悪いですよ! 草食恐竜襲わないでくださいよ?」
「俺、ビーガンだし」
などとティラノサウルスとプテラノドンの異種間コミュニティができていて、そも、この宇宙船はどうしたのかと言うと……。
「ソウゾウシンアガルって何者なんだ?」
そう、この宇宙船はアガルが作った。燃料のいらない引力誘導推進式装置がある。アガルがある。あがアガール。つまり、一番近いモノに触手を伸ばし、その縮む力を借りて動いている。なので隕石にぶつかることはない。隕石に触手が伸びるからだ。正に神業。
「まあ、よくわかりませんが、こうして生きていられるだけ感謝しなきゃ」
プテラノドンが旋回しながら言った。
「確かに、地球はやばかった! 多くの犠牲者がでた」
一体地球に何が訪れたかというと、隕石でも地震でも、マグマでも津波でもなく……。
梅毒だ!
恐竜にも生殖器官は勿論あり、そこに寄生するトコジラミが地球規模で発生したのである。地球は一旦放置、生物の救急が必要だった。だが、薬などあるはずもなく。免疫がつく生物が出るまで恐竜達は避難している。
シュー……。なんか音がした。恐竜達は驚いてバタバタしている。実は、触手に隕石が吸い寄せられたのだが、宇宙船の方向に向かっていたので、宇宙船はぐるぐる回っているのだ。そこで地球の重力より重くなり、宇宙船のコンピューターが故障した。よって、船内は無重力!
「な、なんだあ?!」ふわふわ浮く恐竜達と、上手く飛べない翼竜達と水が浮いてる為閉じ込められた水竜達。
アガルは創造はしてもメンテナンスはしない。そこで【改拓神マワ】が宇宙船を直した。が! 触手が無くなった。何故か? 質量保存の法則。創造神は0から創れるが、改拓神は一から一へとしか直せない。この先どうなるのやら……。