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③ 特別な
「私、大好きなんですよ」
「好物じゃからな」
「はい。でも、このおまんじゅうは…特別」
「?!普通のまんじゅうじゃが…」
「野菜を売りに出掛けた時に…必ず、買って来てくれる。
おじいさんの優しさが…こもっているから」
「わしは、野菜を作る事は出来ても…炊事が出来ない。
美味しい料理を毎日、作ってくれるばあさんへ。
せめてもの土産にと…」
「その気持ちが嬉しいんです」
すると…餌を食べ終わった猫は、
おばあさんの膝の近くに。
「この子も、そうでしたね。
うちに来た時は、痩せていて…」
「あぁ、可哀想でな…連れて来たんじゃ」
陽だまりの縁側で、満足そうにすやすやと眠っている猫。
おばあさんは、優しく手でそっと頭を撫でながら…
さらに、おじいさんに聞いた。
「そう言えば…この子の名前も、おじいさんが
考えたのでしたね。可愛い名前の由来は?」
次は、おじいさんがゆっくりと話し始めた…
「この猫の名前は…」