第1巻第2部第1節の続きその14 「手術終り 続きその8 大雀蜂ジーナ その7 門の前 続き シルバ・シルバの下にて・続きの続き」
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「おめぇってやつは本気で俺を殺す気かっ!」
「死なないんだったらいいんでしょうがっ!」
ひとしきり春の大地の上をくんずほぐれつころげまわっていた二人だったが、
今は引き離され、お互い四つん這いのまま肩で息をしながら睨み合っている。
「それにおまえ、俺のことバカっつっただろ!」
「バカをバカっつって何が悪いのよ!」
「俺はバカじゃねぇーーー!!」
「バカじゃなきゃアホウよっ!」
「なんだとおーーー! それをいうならおめえだってアホウだろうが、」
「なんでよっ!」
「どこの世界にせっかくつながった兄弟の首をまたチョン切りにかかる妹がいるんだよっ!」
「あんな簡単に切れたりくっついたりするんだったら何回切ったっておんなじでしょーーが!」
「アホかーーー、見た目の壮快さだけでモノ言いやがって、痛いにきまっとぉーだろーーが!」
「そんなこと、首切られたことないあたしにわかるワケないワーーー!」
「んんじゃーいっかい切られてみろっ!
スパッとな!
そのカラッポのオツムでも、スゥースゥーするだけじゃねえってことがすぐわかるからなっ!」
「そんなこと、そんなこと、痛いくらい、痛いくらい、わかってる、わかってるわよ、
でも、あんた、あんたの、あんたの、あんたの体が、あんまりキレイで、二つになってて、
はなればなれになってて、それから、あんた、くちもとだけ、なんか悟りきったみたいに
うっすら笑ってるみたいで、口きかないし、目もあかないし、
ああーん、もう、ああーん、もう、」
「お、おめえなあ、アホみたいに、また、泣きやがって、泣くんじゃねえぇーー、涙かかったら冷てえだろーが、いや、あんときは熱かったかな、こらっ 泣くなっ!」
バスポラはゆっくりと近付き、一瞬躊躇したように首をかしげたがすぐにアトゥーラの顔を舐め始めた。尻尾は、ごくゆったりと左右に揺れている。アトゥーラはしばらくその舌の感触と時々突き当たってくる湿った鼻先の感じを、なにか子守唄ででもあるかのように味わっていたが、すぐにガバと起き直りバスポラの首筋にかじりついた。そして夢中になって胸元の柔らかな毛皮を撫でくりまわしている。気のせいか、この仔狼、すこし背が高くなったようだ。アトゥーラは膝立ちになりその背にちょっと体重を預けることができる。
ほとんどケダモノらしからぬ、日向の、甘い、干し草のような香り。
バスポラはグイと首を伸ばし左右を顧みた。トワイムとペームダー、木の箱車が、ぐるっと二人を囲んでいる。兄弟二人の顔付きはなんとも微妙で、笑いを噛み殺しているようでもあり、いささか羨ましげでもあり、何か怒っているようでもあった。
その横で、まるで伴奏を付けるかのように、箱車がかすかに、カタカタと鳴っているのである。
「おまえなぁーーーーー」
小娘はフルフルと頭を振る。
「おい、こら、」
「おまえ、おまえって言うな! あたしは、あたしの名は、」
「わかった、わかった、悪かった、俺が悪かった、あやまるから、
もう 泣くな、」
「なんで、なんであやまるのよ、」
「おめぇが、いや、アトゥーラ、おまえがピーピー泣くからだろーが、」
「別にあやまることなんてない!」
「わかった、わかったから、おーーーい、アトゥーラ!」
「なによ?」
「俺、ちょっと喉乾いたんだが、」
「バカーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
明けましておめでとうございます。
新春そうそう、漫才になってしまいました。
とはいえ、シャリー氏いわく、ここには
重大な伏線があるそうです、
なんのこっちゃ? ですね。
さてさて、この正月三が日、とっても久しぶりにゆっくりできたのでした。
自慢じゃありませんが、家から一歩も外へ出てません。
お菓子を食い散らかしながら、ひたすらパコパコ打っておりました。
ハイ、
で、その余禄といってはナンですが、ほったらかしのお話の続きを
すこしばかり訳し足すことができました。
「楽しい拷問 その2」これ、なんと一昨年、9月のウプ分! の続きです。
で、以下3回分、今日の深夜1月4日付けで連続ウプしております。
「楽しい拷問 その3」
「楽しい拷問 その4」
「楽しい温泉行 その1」
ここもまだまだ続くのですが、しゃーねーなーー、一応見といたろかーーという
奇特な方、どぞよろしくお願い申し上げます。
中途の割り込み投稿なので、「更新された連載小説」欄にはあがらないのでした。
知らなかったぁーー、
相変わらず、トホホな訳者でございました・・・




