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第1巻第1部第14節 「寝物語2」

お互いの身体の位置を複雑に入れ替えながら、いろいろと、まさに曲芸的な体位の変換と交替、交接と分離、粘着と摩擦、体液及び排泄物の交換摂取、そして全ての感覚の全面的な乱用と意図的な錯乱状態が駆使される、そんな時間が、延々と、ロウピリスの塔に引っ掛かった今宵の月天子〔性悪と評判の・・・〕までもが呆れて赤面するほどに、果てしもなく続けられていたのだったが、体力的な限界が近付いているにもかかわらず二人は自分の方から音を上げるのだけは絶対にありえない、果てしの無い屈辱、究極の敗北感を招来する不可能事と認識しているらしかった。

「ああ、また出ちゃう、ずるい、ずるいわ、クサンドル、その手は駄目、」

「ほんとに! あんたの身体って一体どうなってるんだか、」

侍女は執拗で苛烈な


【約3行省略いたしました】**********************************************************************************


を下から押し開くように再び新たな奔流が、


【約2行省略いたしました】*****************************************************


無限の様相を帯びて迸り出、それを一滴残らず飲み干すことは百戦錬磨のクサンドルといえども相当な難事ではあるのだった。しかし侍女はそれをやり遂げた。いな、むしろ、自身も相当に疲弊消耗し、幾重にも搾取され翻弄され渇き切っていた肉体にとってこれこそまさに干天の慈雨、天よりの恵みのマナ、ロッカホッカ(グロアマロウナ)にも比すべきかのアムブロシア、即ち麗しきネクタルなのであり、これが決め手となったのだった〔しかし、この交換-吸収工程(サイクル)そのものが、それまで一体幾度繰り返されたものであったのか、今ここで残らず数え上げることは野暮の極みというものである〕。自身では全く制御できない激しい痙攣に下腹を波打たせながらエリクレアは渋々敗北を認めた。二人は長時間に亘った最後の逆交差体位を解き、再び汗ばんだおでこ同士をくっつけ合った。しばしの間、互いの鼻尖を咥えたり、目蓋にキスしたり、閉じた唇の間から僅かに突き出した舌の先端だけで微妙につつきあったりしながら、やがてどちらからとも無く、全く同時に、深いため息をついた。

「ちょっと疲れたわ、」

「ちょっとなの?!」

呆れたようなクサンドル。

「まあ、あなたも相当なものよ、」

「わたしにはわからないわ、」

「なんのこと?」

「あなたのその無限の泉のことよ、」

クサンドルは先ほど吸い尽くしたつもりの可愛い


【約1行省略いたしました】******************************


に軽く触れた。エリクレアは一瞬ピクリと腰を引いたがすぐに押し付けてきた。

「あら、まだやる気?」

「もう無理ね、」

「受けて立つわよ、」

「勘弁してほしいわ、」

「ふふ、ちょっとだけ勝った気分!」

「だからっ!答えなさいよ、あれは何?」

「あれって?」

「泉のこと、」

「泉は泉でしょ、」

「だから、なんで無限なの?」

「そんなこと、あんただって一緒じゃない!」

「何がよ、」

「あたしから出た分だけあんた飲んじゃったじゃない、」

「そりゃあ、こんな綺麗なベッドを濡らすわけにはいかないでしょーに、」

「なにそれ、なら、あんたのお腹だって無限ってことになるでしょーが、」

「そんな屁理屈!通用しないわ!」

「同じことよ、無限の壺に、また無限の壺、溢れたら、移しかえる、行ったり来たり、わかりやすいわ、まあ、お互い様ってことね、」

「あたしの身体は、まあ、わかりやすいわよ、テュスラ・オッシナと融合してるんだし、彼女は所謂、次元間生命体サイキス、この三次元に局限された存在じゃないんだもの、もちろんこれはヨナルクの受売りだし、どういう理屈で物質や精神の位相変換が可能なのか、さっぱりわからないけど・・・・・・」

「でも、肉体としては、かなり、立派に、実在してる・・・」

「そう、でも、あんたは違うでしょ、実際、その身体、一体どこから持ってきたの、ホヤホヤの死体を掘っくり返して活性化したなんて古臭い手は無しよ、」

「まさか、あたしだってそんな生臭いのはイヤよ、」

「一から再構築したの? 四大の、混沌のスープから?」

「うーん、どうかしら、」

「単なる憑依では絶対無理でしょ、その身体の強度も、位相転移も、荒唐無稽すぎるわよ、」

「まあ、一から組み上げるのはちょっと骨よねえ、」

「不可能だわ、」

「そうかしら?」

「そうなのよ、」

「それって、誰かの受売り?」

「あたしだって本くらい読むわよ、」

「ケズル公爵あたりが怪しい?」

「原子論者というのは融通がきかないから駄目ね、」

エリクレアは欠伸をする。

「ちょっと寝てもいい?」

「眠たいの?」

「急にきたわ、どろどろになりそう・・・」

「いいけど、あんたさっき何か聞きかけてたわよね、」

クサンドルはやさしく相手の髪を漉きほぐし指にからませ、そして撫でている。

「ねむねむ」

「あんたの頭ってなんでこんなにちっちゃいの?」

「あ、そこ掻いて、気持ちいいかも、」

「ねえ、」

「なにー」

「あたしたちなんでこんなことしてるのかしらねぇ、」

「しょりゃあぁーきもちいいからんじゃいいんねぇ、」

「あんたこのからだいちからつくったんしょ、」

「そふともいふねぇぇん、」

二人は同時に欠伸した。

「あーふん、ふむむ、さっきあんた四大からっていったんしょ、」

「あん」

「でも、四つじゃ足りんのふ、」

「なんでなん」

「五大なお、」

「五って、五星公ってら、」

「そ、北のゴンケルム姉妹はふう、」

「はぁぁん、ああ、 風ね、」

「ひんがしのバスコムはひ、」

「熱いほうの奴ね、」

「そう、あの馬鹿、火喰い鳥、ほんでドルーと仲良しでやん、」

「そいで水は、」

「パスト・ウィート」

「パスト・ウィート、てゅまり、水蛇ね、」

「あの大水門・・・、レヂオドゥーラ・バッカイ、かたつぶり城がね、」

じょうがね、」

「あれを一晩でげんぞうしたっていふのねあのへびさんあね、」

「悪魔ね、」

「悪魔の一夜城よね、」

「悪魔なんてありゅわけないふぁよ、」

「そりはいへてる」

「ほれから・・・」

「あとは、西のガルデンジーブス、つあり、土、」

「あといっこ、それが一番なぞなぞ・・・ ふにゃ、」

「五星公の要のの、」

「かなめなん」

「そ、で、いっつあんやっきゃーなん、つあり、」

「つぁーり、」

「フェズ」

「フェズ」

「ムザラ・フェズはむすぐ、むすこにゆずるつもりあん、」

侍女はすこし頭を起こした。

「むすこって、まだこどもだし、」

「バシュラ・フェズ、あれはくせものよ、おっかないわよ、」

「冗談でしょ、」

「じょーだんぬきよ、なにがおそろしいって、」

「え?」

「あの二人が完全に人間だってこと、」

「そんでもってそのフェズ伯が、空の空、空の空なるかなーなんてことが起きているってぇーことなのねん、」

「そふこと」

「でん、五大がそろうってこと、」

「あふ、そぉー、四大のスープをかきまぜるシャモジがあれなのね、シャモジっていったらおこるでしょけど、剣でだってスープをこう、とろとろってね、かきまぜたり、きったり、はつったり、いろいろできるわけよ、」

再び欠伸。

「もうねむすぎる、ちょとねる!」

しかし侍女は追及の手をゆるめない。

「あん、クサンドル、だめ、そこは、駄目駄目、」

女が一体、女のどこをさわっているのかは、わからないけれどもエリクレアの一番の急所であることは確かなようだった。 薔薇の姫は、その仮の姿の本質そのままに身悶えし、文字通り身をよじり切り、また、のたうちまわり耐え切ろうとするのであるが侍女はそれを許さない。それはもうすでにあらかた蛇の形をとり、自分の意志で、ゆっくりと相手の身体に巻きつき締め上げにかかるつもりなのだ。相手クサンドルのおもうがままにその身体のすべてを駆使し、新たな快楽(けらく)を注ぎ込もうとする。クサンドルは、一体どんな技術の賜物なのか今ここでの解析は全く不可能ではあるが、またこれが人の種、或いは人外、又は化け物外を問わず、いかなる神経系へも強力に作用することは粗方実証済みであることを百も承知の冷徹さで、一片の容赦も無く己が秘術を注ぎ込むのだった。エリクレアの絶叫が響き渡る。侍女は涼しい顔でその捨て身の奉仕を受け、自身その快楽の余波を充分に楽しみさえする。

「ああ、死ぬ、死んでしまう、」

「馬鹿ねぇ、あんた、」

「ああまた、来る、来る、来た、ああ、殺すの、殺すの? イヤ、殺して!このまま、殺して!」

薔薇の姫の声はもうほとんど嗄れ切って、いささか耳障りな、意味不明の吃音に近づいてゆく。

次第に弱まり、荒い喘ぎが、ついには虎落笛の無念の凋落のように消えてゆく。


なんと、先日、初ブクマをいただきました。有難うございます!!

姉は卒倒いたしました。で、なにかしょーもない企画をいろいろ考えだし始めました。

おとろしいことです。(当分無視するつもりです!)

お話しは相変わらずですが、わけのわからんシチュがまだまだ続きます。

訳文もひどいですが、どうかお許しくださいませ。

【御注意】運営様より指摘があり語句の一部を省略いたしました。

【御注意】運営様より指摘があり語句の一部を追加省略いたしました。第2回目。


補記

読者様から質問をいただきました。この最後の場面、

一体どっちがどっちでどうなってるのか、サッパリわからん、とのこと。

ごもっともでございます。訳者の私もサッパリわかりません。どうやら、変態(文字通りの・・・)魔術の一種で、薔薇の姫はその蔓性の本質を逆手に取られて蛇体に、しかも、複数の長細い、イヤラシイ軟体形に変化ヘンゲさせられ、意志に反して愛人の体に絡み付き本気で絞め殺しにかかっている、という状況らしいのです。で、なんで加虐側の姫が快感に悶えておるのか不審(ではない、という見方もあるらし)という向きもあるのですが、シャリー曰く、「神経回路の逆接続、バックファイアによる超快感反射云々・・・」などと寝言めく文言が返ってくるばかりでよぉーわかりません。次節冒頭を参照、で、即解決!だそうです。


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