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ブラボーゴリラビットの亜種。

 アリマと戻ってしばらくして、食事会は終わり、そのままミミさんとやらに引き連れられて、俺たちはミミさんの家へ着いた。


 

 アニキの家からほど近く、こじんまりとしているが、1人暮らしであれば充分な広さを感じた。


 ただ、外壁に奇妙奇天烈な装飾品が飾られてる事で他を寄せ付けないオーラを纏っている。

 カラフルな羽やら謎の生物のドクロなどで彩られた扉を開いて目の前に飛び込んで来たのは…、



「なんすか、この動物は?」


「ブラボーゴリラビットの亜種の剥製よ。今にも動き出しそうな力強さを感じて身体の奥がキュンと熱くなるわよねぇ。」



 アリマの問いかけになにやら怪しさの溢れる解答をする。この人、実はだいぶヤバイのではないだろうか?

 ゴリラビットと呼ばれた生物は、全長3メートルほどで白い毛で覆われ剥製で無ければ見かけた瞬間逃げたくなる容姿をしている。

 頭からピョーンと伸びた長い耳はラビットかもしれないが、体格はゴリラにしても大きいくらいである。ギラっと伸びた牙と鋭い眼光が超怖い。



「ほえー、こんな大きな生き物どうしたんすか?まさかあなたが?」



 感心した様子のアリマはつんつん指先でゴリラビットを突きながら問いかける。



「そう…と言いたいけど違うわ。この子はこの森の主で先代長老たちが仕留めたとされているわね。以降守り神としてシャーマンである私の家に供えているのよ。」


「供えるのは構いませんか、自分ちに置くことはなくないっすか。」


「こういった強大な力を発するモノを近くに置いておきたくなるのはシャーマンの性かしらね。貴方も霊を従える者なら、理解できると思うのだけど。何か呪われてしまいそうな気もしてくるし…。」



「えーあー、はぁ。」と心の無い空返事で答え、



「それより今日は少し疲れてしまったので、お風呂にでも入って休みたいのですが。」



 遠慮なくおねだりする。え、お風呂?



 「如実に反応しないでもらえますか?」後ろに目でも付いてるのか、アリマが俺に釘を刺す。

 いやいや、そんな如実になんて反応してないよ、ほんとだよ。



「準備するから少し待ってなさい。」



 言ってミミさんは奥へと消えていった。

 アリマは手近な椅子に颯爽と腰掛け、これまた遠慮なくくつろぎ始める。コイツのメンタルの図太さはなんなのだろう。


「しかし、田ノ中さんって図太い神経してますよね〜。」


「は?」



 予想だにしない言葉に面を喰らった。



「こんな女性2人の空間にノコノコ転がり込んで、今はお風呂を覗くことで頭いっぱい夢いっぱいって感じすか?」


「んな事ねぇし!それにお前が近くに居ろって言ったじゃんか!」


「いやいやいや、ご飯時ならともかく宿まで一緒はないっすよ〜。普通遠慮して外で寝ますとか言ってくるかと思って泳がせておいたのに。普通に付いてくるんで、引いてます。」


「ふざけんなよ、こんな訳わからん世界で野宿なんかしたら命の危機だろ!」


「バカですねぇ。田ノ中さんはもう死んでるんだから、命の危機にはならないんすよ。」



 呆れたように両手を広げる。誰のせいでこんな状況になってるかわかってないらしい…風呂ぐらい覗いたって罰が当たるくらいかお釣りすら貰える気がしてきた。


ドガァァンッ!



 中身の薄い議論をしていた俺たちの言葉を遮り、外から何かが破壊されるような轟音が駆け抜けて、弛緩した中に一気に緊張が走った。


 数秒の沈黙の後アリマが葡萄色の瞳を大きく見開き、無言で俺に問いかけてくる。


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