妖艶な美女が現れましたね。
ベットに運ばれたアリマを手持ち無沙汰のまま脇で立って見ている。
第三者目線だと完全に不審者だが、幽霊の俺を確認出来るのはスヤスヤ眠ってるアリマだけなので、問題はなさそうだ。
それはそうと口を開かず、静かに寝入っている彼女はやはり美少女なのだと思う。
しばらくの間、ルックマンになっていると、アリマの長いまつ毛が揺れてゆっくりと目が開かれる はっきりしない意識のまま、右へ左へ視線を泳がし周囲を確認し、俺と目が合った。
「ぎゃっ!」
声と同時に飛び上がり、瞬時に部屋の隅へと身を潜ませるアリマさん。火事場の馬鹿力と呼ぶべきものかと思われる圧倒的な瞬発力。猫かな?
「えっと、おはよう…。」
声をかけた俺を一瞥して、自分の身体に異常がないか全力で確認している。
「…何もしてないっすよね?」
「してねぇよ…。」
「ダウト!」
疑惑を向けられたのではなく、決め打ちで来てらっしゃる模様。
「どこを触って、どこを揉んで、どこを舐めたんすか気持ち悪い。」
「だから、何もしてねぇって!」
「いやいやいや、思春期男子の性欲なんて無尽蔵のエネルギーでしょ!いや、待ってください。視姦ってパターンの特殊性壁の持ち主なんすか?そいつはヤベェや。田ノ中さんをぶち殺した私はむしろろナイス判断なのでは?六法全書で物理的に裁かれて…。」
怒りをぶちまけてるかと思えば、私は偉いと自画自賛に移り変わる。亜熱帯地域の天気のような感情の持ち主である。
「騒がしいわね、起きたのかしら?」
独りごちて、うんうん納得しているアリマの騒々しさに気づいたのか、部屋の外から落ち着いた声色の女性の声がして、申し訳程度のノックと同時に彼女は部屋に入って来る。
「あら、どうしたの?そんな部屋の隅で?」
部屋の隅っこのピンク頭を見やり声をかける女性は、スラリと身長が高く片目を隠した黒髪ロングの妖艶な美女であった。
民族衣装のような装いで、はだけた胸元からは女性らしい膨らみを覗かせている。そして何よりそいつがデカイんだ…。僅かな機微に連動してゆれ動く禁断の果実は、熟れに熟れて完全に熟しておりお預けを喰らった気持ちにさせます。思春期男子にはとてもシゲキックスである。
「…おや、どちら様っすか?」
「待って、自己紹介の前に少し気になる事があるわね。」
怪訝な表情のアリマを制止し、美女は鋭い眼光で部屋中をくまなく確認し始めた。何かしら?
「そこ…、なにか居るわね?」
美女が指さした先に居るのは…俺?
「感じる、感じるわぁ。え、これ悪霊かしら?悪霊かしら?」
情熱的と言うか情念が篭っているというか形容しがたい圧で僕の立っている方を睨み付けてくる。え、見えてんの?幽霊見えるタイプ?
止まってるはずの心臓がドキドキし始めた気がして、慌ててアリマの方を見る。口をぽっかり開けてビックリしている、こんなにわかりやすくビックリする人も珍しい。
「いやっ、いや…いやぁ!?居ませんよ!そこには誰も居ませんよ!視姦大好き変態幽霊とか居ませんから!」