最低な男には軽蔑を。
「サイッテーすね、田ノ中さんは最低のセクハラ野郎の称号を差し上げますよ。」
山賊に付き従い森の中の小さな集落に着いた俺らは、そのままアニキなる人物に謁見する為、2人の後に続いて歩いている。
俺の少し前をぷっくり膨れっ面で不機嫌さを隠す事のないアリマが進む。
「アレは仕方ないじゃん、それよりそんなブツブツ文句言ってると、また変な目で見られるぞ。」
「それよりってなんすか?仕方ないってなんすか?」
くわっとアリマが振り返り、
「あんなにガッツリ私に抱きついて、揉みしだいておいて、セクハラやり捨てクソ野郎らしい傲慢さっすね!」
「抱きついたのは認めるけど、揉みしだいてはないからね!捨ててないからね!馬の上があんなに揺れるなんて思わなかったんだよ!」
事実は認めつつもちゃんと誤解は訂正しないといけない。
あの時感じた柔らかな感触は忘れられず、手の中にある事は内緒だよ。
「…いだんすか?」
「え、何?聞こえない。」
「嗅いだんすか?私の…匂い…とか?」
顔を伏せ、粛々とした様子に先ほどのギャップを感じて少しドキッとした。心臓は止まってるはずなのに…。
「いや…、それは、その…、まぁ…うん。」
「うっわ、キッショ!年上のお姉さんの魅惑のボディを全身で浴びただけじゃ物足りず、その匂いまで堪能ってド変態じゃないっすか!こっわ、思春期男子の性欲こっわ!!」
「フッザけんなお前のどこが年上お姉さんだよ!魅惑のボディだよ!見た目だけ言ったら絶対年下にしか見えねぇからな!ちんちくりんがぁ!」
「はぁ、なんすかソレ?年上なのに見た目は年下、一粒で二度美味しいみたいな特殊な楽しみかたっすか?田ノ中さんみたい淫猥野郎を駆除した私は実は表彰モノなんじゃないっすかねぇ!」
「お、おい、嬢ちゃん?」
「なんすかぁ!?」
ヒートアップしていたアリマを痩身山賊が恐る恐る止めに入った。傍目に見れば一人で騒いでいるのだから、彼の反応は間違いじゃない。