[一周目]ねぎま担当
とある町外れの小さな研究所に神がやってきた。
「ここは何の研究をしているのかな?」
「機械と魔法を掛け合わせた技術の開発だよ。」
「もし良ければその技術について教えてもらえないだろうか?」
「悪いが断らせてもらうよ。」
「よろしい、合格だ。」
そう言うと神は本来の姿に戻り、研究者に言った。
「今からお前はこの世界で最も優れ、最も有名な開発者となる。」
「ははは、面白い話だね。」
神が消えた。
「さて、息抜きになったしそろそろ部屋に戻るかな。」
研究者はいつものように研究室へと戻り、いつもと同じ研究を始めた。それだけなのだが。
「...出来た。ついに出来た...!」
科学者は世界で初めて、魔法の使えるロボットを作り出した。
それは魔動機と呼ばれ、瞬く間に世間に広まっていった。
「まさかここまで大きな事になるなんて...それもこんなに早く...もしかしたらあの人が言ってたような事が起きるかも知れないな。」
そして、有名になった無名の科学者に初めての注文が入る。
「魔動機の作者、というのは貴方かな?」
「ええ、そうですけど...」
「魔動機の注文は受け付けているのだろうか。」
「受付もなにも、貴方が初めてですからまだ何とも...」
「出来る限りのお礼はする、引き受けてもらえないだろうか?」
「そうですね...まあ、一人くらいは...」
「ありがとう。」
「それで、ご希望の能力はどのようなものですか?」
「これを。」
開発者は客が差し出した紙を受け取る。
「そんな...これは魔動機の範疇を超えています...!」
「やはりそうか。しかし、私にはこいつが必要なのだ。」
「そう言われても、私に技術が足りるとも思えませんし、何より最上位の魔法となるとまだ解読が終わっていないはず...!」
「私は今までどんな発明家の話を聞いても価値を見出だせなかったが、貴方の魔動機を見た時初めて成功を感じたのだ!それに、術書については心配いらない。」
客は再び紙を取り出す。
「まさか既に解読が終わっているなんて...。貴方は一体...」
「案外各国がこぞって魔法の詳しい内容について隠蔽しているだけなのかもしれないな。それで、念のためもう一度訊くが、この件を引き受けてもらえないだろうか?」
数秒の静寂の後、
「分かりました、やれるだけやってみます。」
「ありがとう。」
「ただし、成功する保証はありませんし、今後の私の活動にこれらの魔法も取り入れさせて頂きますが、それでもいいですか?」
「ああ、構わない。」
「それでは、これから作業に取りかかります。未知の技術なのでかなり時間がかかると思いますが、その間貴方はどうしますか?」
「そうだな...ここで待つとするよ。」
「ここにはお客様にお出し出来るような物は何もありませんよ?」
「そんな事に気を使うよりもそいつを頼むよ。」
「...ええ。そうですね。」