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うさぎの装い
満腹になった京と右紗子は、服売り場を歩く。
いいのがあったら買うつもりで行く。
いつもいつも、似合うものは店頭にない。
大きなショッピングモールほど収穫のないままうろうろしてしまう。
ファッションに疎い者にはどこもかしこも、同じような服ばかり売っているように見える。
生地や形が似通っているなら、正直遠目に見たら全部同じではないか。
しかし、どんな服も似合う人が必ずしも自分ではないだけで、購入する人がいるのだ。
ハズレのない、あまりにもベーシックなものはコンサバティブと言われておしゃれではないらしい。
右紗子は細くもなく太くも大きくもない中肉中背で、適度な凹凸を持ち、ウサギのように目が丸く大きい。
特に細くはないため、わざと余裕を持たせたスウェットや、ゆったりしたセーターではどうも着ぶくれするのだった。