3/10
rendez-vous
京はバイクを東京駅に程近い駐輪場に置いてきた。
丸の内南口で右紗子と待ち合わせである。
ドーム状の天井と床の模様が美しい。電車の駅なのに癒されてしまう。無料で入れるのはちょっとすごい、と思う。
京のお気に入りスポットであった。
荘厳なドーム状の天井に包まれていると、右紗子が改札を抜けて歩いてきた。軽く手を振って挨拶する。
「お待たせ〜」
「よう」
「広いけど、意外と近くてよかった。ここ、初めて来た」
「綺麗だろう?」
「うん、なんかさすが東京駅、って感じ。」
右紗子が京の腕を軽く持ち、外へ歩き出す。
つやつやのガラス張りのビルディングが並んでいる。
振り返れば時代がかったデザインの駅舎。
「はぁ...テレビで見るよりずっと綺麗。たしか東京駅って、泊まれるんだよね?」
いいなぁ、いつか、と呟く右紗子を連れ、京は横断歩道へ向かった。