1旅の始まり
お久しぶりです。
天雨 貴樹です。
前回に比べると少しキャラの特徴を書いているので、内容に入り込みやすいかと思います。
どうぞよろしくお願いします。
日差しの強い太陽に照らされながら、今日も無強の隣を歩く少年がいた。
「向こう側に新しい街がありますけど、ここが新しい赴任先ですか?」
そう問いかける、南方 尊。
「てか、お前本当についてきてたんだな…」
問いかけに応じはするが相変わらず冷たい返事をする、無強 ガイア。
「僕は、無強さんの武術を会得できるまでついていきますよ」
「お前本当に会得出来ると思ってんのか?無理だ。絶対にな」
「何故なんです?無強さんから見て、僕が受け継ぐ意味は皆無だというんですか?」
「そうだ」
「そこまできっぱり言わなくても良いじゃないですか…」
そんな話をしている間に謎の多い街と言われている、≪アンディリグィシャル≫についた。
この街が何故謎が多いと言われているかと言うと、最古からこの街には魔法という不思議な力を持つ民族が集まり出来た街と言われていて、その秘密を暴いたと言った人間は必ず行方が分からなくなり、結局魔法については謎のままということから、謎の街と言われているそうだ。
それはそうと、何故俺が≪アンディリグィシャル≫に赴任されたのかというと、新米潰しを倒して以来、他の奴らからの勝負の申し込みが増えたり、尊のように弟子入り志願者が増えてしまい仕事をこなせるような街では無くなってしまったため、国王から移動を命じられた。
「情報がまわっていない街に赴任させるって言われたけどよ…流石にこの距離はねぇわ…国王の心遣いありがたいけどよ」
前にいた≪サリナ≫からは、約540キロ程離れた街に移動を命じられた。しかも”歩き”で。
約15日ほどかけて到着した俺達は、今日は夕暮れも近いためまず宿を探し始めた。家は現在ない。適当に後から買うつもりだ。もちろん一人暮らし用で。
「無強さん!ここの宿はどうですか?」
明らかに高級な外装をした宿を輝いた目で見つめながら指をさす。
「いや、お前一人で泊まってろ。俺は、あのボロ屋で十分だ」
明らかに安そうなボロい宿を人生に疲れた人の目で見つめながら指をさした。するとボロ屋の中から身なりの良いいかにも金持ちそうなおっさんが出てきて、声をかけてきた。
「そこの若造。ボロ屋で悪かったな。仕方ねぇから綺麗にしてやるか。今年はまだあれをやってなかったし、これで今年も繁盛間違いないしだな」
そう言いながら、おもむろに両腕をボロ屋に向かいかざしてぼそぼそと何かを言い始めた。その瞬間ボロ屋が一瞬にして尊の指をさした外装から高級感の溢れる宿に変わらないほど高級そうな宿に変わっていた。
「ふぅ。よし、若造。これでボロ屋じゃないな。泊まってくか?お前の言うボロ屋とやらに」
「さっきは悪かったよ…値段次第で泊まらせて欲しい」
驚きのあまりつい本音が出てしまっていた。
「値段か?若造一人なら一泊500ルイダだが、どうだ?」
(ルイダというのはこの国の金銭に使われる単位のことだ。50ルイダ位が基本的な一日の食費位の料金だ)
「おっさんもう少し安くなんねぇか?」
「若造一人なら500ルイダだな。一人なら…な?」
「そういうことかよ…おい尊!こっちの宿に泊まんねぇか?」
「はい!無強さんがここに泊まるのなら僕もここで構いません!」
「これでどうだ、おっさん」
「1000ルイダだな」
「おいおい、どういうことだよ!さっき明らかに二人なら安くしてもらえる的な流れだったじゃねぇか!」
「あぁ、確かにな。だが、男とは言ってないだろ?男女二人でなら一人300ルイダなんだよ」
なんなんだよこのおっさん。
「男女が泊まると夜に楽しみが待ってるからな」
「ただの変態宿主かよっ!」
「無強さん、僕気持ちが悪いのでこっちの宿にしますね」
そう言いながら戻って行く尊についていき同じ宿の別の部屋を取ることにした。おっさんは、後ろで文句を言っていたが俺は客だし選ぶ権利はこっちにあるということで無視をし、受付を済ませようとしていた。
「お客様はお一人ですか?それともお二人ですか?」
「一人だ。一泊何ルイダだ?」
「後ろのお客様とは別でよろしいのですか?」
接客をしている女の受付嬢が顔を赤くしながら問いかけてきた。
「なんでそんな事聞くんだ?」
「も、申し訳ありません!ついそういう関係の方々なのかと…」
まともな宿ねぇのかここ…
「違うわ!んで、一泊何ルイダなんだ?」
「お一人様一泊450ルイダですね」
あのおっさんの宿より安いじゃねぇか!
「これで頼む」
「450ルイダお預かりしました。ごゆっくりどうぞ」
俺は受付を済ませ、すぐにベットに入り深い眠りへ着いた。
本作品を読んでいただきありがとうございます!
是非感想、評価お待ちしています。
また次回もどうぞよろしくお願いします。