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嘘だらけの恋  作者: 夢呂
【2】スポーツ大会
9/52

4、保健室


柳壮太郎が、左足を庇うようにして歩く。

肩を貸すからと申し出たのに、美結の身長では背が足りないからと断わられた。

壁伝いに歩く柳くんに、美結は申し訳なく思いながら声をかける。


「あの・・・柳くん、平気?」

「ああ、うん・・・」

彼はどうやら試合中に左足首を捻挫してしまったらしく、美結はとりあえずアイスパックで足首を冷やした。そして一緒に保健室に向かうことにしたのだが、肩を貸すこともできずしゅんとしてしまう。


「失礼しま────・・・ってあれ?」

肝心の保健室の先生は、他の競技で怪我をした生徒がいたらしく不在だった。


「先生が居ないとか、ここまで来た意味ねぇじゃん」

痛そうに顔をしかめて柳くんがそう呟く。


「柳くん、私上手くできるかわからないんだけどテーピングさせてもらってもいい?」

「え・・?」

「左足、ちょっと触るね・・・」

美結は丸椅子に座った壮太郎の前に跪くと、そっとその左足を自分の太ももの上に置いてテーピングを巻く。


「・・・ごめんな小宮山さん」

「ん?謝らないで、これは私の仕事なんだから」


顔を上げてふわりと笑顔を返すと、柳くんは口元を手で隠し気まずそうに目をそらした。


自分はスポーツ全般苦手で、参加すればクラスに迷惑がかかる。だからこんなカタチでしか、役に立てないのだ。

そういう意味を込めて美結はそう言ったのだが、なにか気にさわるようなことを言ってしまったのだろうか?


「やば・・・」

「柳くん?」


どうかした?と首をかしげる美結に、柳くんはなにやら言いづらそうに顔をしかめる。


「いや・・・・あのさ、」

「うん?」


顔を上げて彼の顔を見上げると、柳くんは口元を隠すようにしながらぎこちなく話し始めた。


「あの・・・・さ、小宮山さん、いつも一緒にいる5組の綾瀬と付き合っていないってマジ?」

「・・・・え?付き合っ・・・え?比呂くんと私・・・が?」


唐突な質問に頭がついていかない美結に、柳くんがさらに続ける。

「違うなら、俺のこと考えて貰えないかな・・・・その、前から小宮山さんかわいいなと思ってて────・・・ 」

「え───・・・・?」


それって・・・と美結の頭が答えを導きだそうとした時、

バンッ!と勢いよくドアが開いて、驚いた二人は言葉を切ってそちらを向く。そしてそこに立っていた人物に、美結は息を飲む。


「・・・・宇佐美」

───柳くんがそう溢したのを、耳に入れながら。

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