7、あかす
「“ごめんなさい”は聞きたくないから、返事は要らない。ただ、俺の気持ちは知っておいて欲しかったんだ」
ただ、知っていて欲しい?
そんなの、・・・俺のエゴだ。
聞きたくないのは・・・・自分に自信がないから。
君の気持ちはもう、分かっているから。
ダサくて格好悪いと我ながら呆れて崇仁はすぐにでもその場から消えたかった。
背を向け立ち去ろうとしたその時、背中をクンッと引かれ足を止める。
「待って・・・っ」
「?」
振り返る余裕もない崇仁に、シャツの裾をそっと掴んだまま美結が言った。
「ごめんなさい・・・・私さっき嘘つきました」
「え?」
「・・・・ごめん、なさぃ」
謝らないで欲しいと、貴方は背を向けたけれど。
だけど、謝らずにいられなかった。
だって私の嘘が・・・・ずっと貴方を哀しませていたなんて。
「私、宇佐美くんに嫌われた理由がずっと分からなかったの・・・“関わりたくない”って、あの時たっくんはどんな気持ちで言ったのか────全然、分からなくて」
────私も同じだった。
たっくんへの想いを諦めたくて、何度も何度も目をそらしてきたのに。
だけど気付けば目で追っているし、想ってしまっている。
それが迷惑だと思って。
せめて“友達でいたい”と思い込むことで自分の気持ちに嘘をついた。
だって宇佐美くんとの距離を───少しでも戻したかったから。
だけど本当は。
「本当はね、もうずっと前から・・・」
美結の声は震えていた。
本心をさらけ出すのは、勇気がいる。
ずっと嘘で塗り固めてバレないようにと必死に偽ってきたからか、重度の臆病になってしまった。
(だけど、言わなくちゃ・・・私もたっくんに)
「────私、たっくんが好きだったの」
「うん、さっきも聞いた」
「違うの、そうじゃなくて────・・・・さっきは“友達として”って言っちゃったでしょ?でもそうじゃなくて本当は・・・」
自分の告白が崇仁にあっさり流されてしまい、美結は言葉が続かなくなって、俯いてしまう。
───どう言えば真実を伝えられるんだろう。
今更、“好き”だなんて。
泣きそうになったその時、ふわりと包み込まれるようにして崇仁に抱き締められた。
─────息が、止まるかと思った。
「ごめん、もしかして・・・・こういうこと?」
崇仁の小さな声が、耳元をくすぐる。
美結がその腕の中でただ頷くと、回されていた腕の力が少し強くなった。
それに応えるように美結もそっと、崇仁の背に腕を伸ばす。
(伝わった・・・・?)
「・・・ありがとう」
崇仁の言葉に、美結はつい堪えきれず涙を流した。




