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嘘だらけの恋  作者: 夢呂
【3】動き出す気持ち
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1、新しい友達

「悔しい!悔しい悔しい悔しい!」


全ての種目が終わり帰りのホームルームが始まるまで、比呂は美結のクラスにいた。

感情を露にして騒ぐ比呂の姿に、まりと美結は苦笑する。


「比呂くん、そんなに悔しがらなくても」

「二人のクラスはサッカーもバスケもバレーも優勝だろ?俺のクラスは結局どれも勝てずだぞ?!あーあっ」


クスッと笑う美結を比呂が睨み付ける。


「なんで笑うんだよ」

「あ、ごめん。相変わらず負けず嫌いだなぁって。比呂くん小学生の頃から全然変わらなくて」

「なんだよガキだって言いてぇのか」

「ううん、なんかホッとするなぁって言いたかったの」


ふわりと柔らかく笑う美結に、比呂の頬が赤くなる。


「本当に・・・お前はっ!」

(そういうのが、ダメなんだって気付けよバカ!)


照れ隠しに頭をぐちゃぐちゃに撫で回すと、美結は「え、ちょっとやめてよー比呂くん」と戸惑いながら乱れた髪を直す。


中学時代から、美結の無垢な笑顔を直視すると破壊力がヤバい、とは聞いてはいた。実際比呂の周りの友達も、それで惚れてしまったことが多々ある。それを蹴散らすのに比呂がどれだけ苦労してたか美結は知らない。


(無自覚ってのが、また一番タチが悪(わり)ぃ・・・)


「帰り、ドーナツ食べ行くぞ」

ぶっきらぼうにそう提案する比呂に、美結は嬉しそうに微笑む。

「うん。まりちゃんも行こ」

「オッケー」

「じゃあ放課後迎えに来るからな」

「うん」


教室を出ていく比呂に手を振っていた美結は、同じクラスの柳くんと目があった。柳壮太郎は意を決したような表情で、美結の席まで近づいてきた。美結に周りの好奇な視線が集まってきて恥ずかしくなる。


「小宮山さんさっきはごめん。二人きりになれたのが嬉しくてつい・・・勢い余ってあんなこと言って。」

「え・・・あ、うん」

隣でキョトンとするまりの存在に、緊張した面持ちの壮太郎は気づく余裕もない。戸惑う美結だけを真っ直ぐ見つめて、壮太郎は続けた。

「俺、分かってるから。小宮山さんが俺のこと好きになることはないってだから」

「ちょ、ちょっといいかな・・・」

クラスがざわついて、いたたまれなくなった美結は慌てて壮太郎を連れて廊下に出た。



「えと・・・柳くんさっきはごめんね、話の途中だったのに」

「いや、」

「・・・柳くんは優しいし、クラスのムードメーカーとして人気者だし、ステキな男の子だけど・・・」

そこまで話して、美結は言葉を切った。

(そっか・・・)


想いに応えられないって、こんなに苦しいんだね。

たっくんも・・・こんな気持ちだったのかな?


「小宮山さん・・・?」

「ごめんなさい。私、好きな人がいるの・・・」


気持ちを伝えるって、すごく勇気がいる。

受け入れて貰えない辛さを、私は知ってる。

だから────余計に申し訳ないよ・・・・。


「・・・本当にごめんなさい」

「そんなに謝られると逆に惨めだからさ!もう忘れて!」

おどけるような口調でそう言うと、壮太郎は笑顔を美結に見せた。

「じゃあさ、友達になろうよ」

「・・・“友達”?」

「そっ。友達!それなら良いでしょ?」

壮太郎の明るさに、美結は救われた。だけど同時に、壮太郎の言葉にどこか違和感を感じた。


「・・・うん」




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