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箱庭の言の葉  作者: 粘土
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やっと書く気になりました。

「そりゃぁ、病気だよ」

 私の質問に対し、そう答えたのは、心理学を専門に教える香川かがわ先生だ。私が大学へ招かれて初めて色々と話をした間柄、詰まり此処での最初の友人であり、心理を専門としているのが理由だった。

 私には、その答えが存外だった。ハッキリ言って狼狽した。

「病気って? その、何なんでしょう?」

「ブロッケン現象ってのが有るだろう? グローリーと言ったり、ブロッケンの妖怪やら化け物って言うんだけれどね。詰まり、勘違いであるにも拘らず、心の中の自分を観て、或いはそうかも知れないと、そう思ってる訳だね」

 私には、どうにも得心の行かない答えだった。けれども、否定する事の出来る材料など無かった。そこで、「単なる思い煩いの類ですか?」と、訊いて見た。

「確かにそうとも言える。只、ゲシュタルトという観念も有る。簡単に言うと、思い込みなんだけれど、これがちと厄介でね。思い込みにも本物とそうでないのとが有るんだ。本当に思い込んでいるだけならチンケな傷を負うだけで済む。時が解決してくれる。でもね、後者はそうは行かないんだ。何時までも付いて来る。例を挙げると、ストーカーがそうさ。あくまでも例だけどね。君の場合、それが双方共にってところが問題なんだ。今更と割り切れない君と、君を追う様にしてここへ来た彼氏、詳しい経緯を訊いていないからそう言うんだけれど、だからこそ、今私が思うのは、君の想いが恋なのか、本物かどうかって事と、その彼氏の想いが憧憬でなく、等身大で向かうのかどうかって事さ。何しろ君と彼氏とはとお程違うだろう? その年数を埋めるだけの心が有るのかどうか、ハッキリ言って会って話して見ないと解らない。だから、何の足しにも成らないだろうけれど、一つだけ言える事が有る。その答えを出すのは彼氏ではなくって、君だ。年長者だからというだけでなく、君も少しくは育てた、いや、育ててしまったかな、その恋慕の情に従うか、或いは、錯覚と割り切るか。君の苦しみは好く解る。けれども、相手の居る事だから、そこは互いに大人なんだから、特に彼氏には君に届かない将来が有るのだから、君がしっかりと考えて決めて決着を付けなければいけない。ハッピーエンドというのは何も称賛の拍手を浴びるものではないよ。私は君をそれ程安く見積もっちゃいない。直ぐにと結論を出すのは難しいだろうから、相談には真剣にのるよ。私の専門分野で好いならね」

 私は何も考える事の出来ないまま、けれども、考えなければならないという結論だけを、持って彼女の書斎を後にした。



実は、Windowsに乗っ取られて、続きが読めない状態なのです。

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