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最期の栞  作者: 武倉悠樹
11/26

:11 大仕事の予感

 午後、昼の休憩から戻り、一階の展示スペースに行くと、既に人だかりが出来ていた。多くは小学生低学年の子ども達。高学年や中学生位の子も少し見受けられる。そして、その半分程の数居る大人達は恐らく保護者たちだろう。

 詩織は人だかりの脇にエプロン姿の背中を見つけ、声を掛けた。

「前島“くん”」

 詩織はあえて、「くん」にアクセントを付け呼んでみた。

 しかし、悟の反応は鈍い。何か意図あってのことかと訝しむ表情を一瞬見せはしたものの、それだけだった。

「あぁ、青山さん」

「手伝いに来てくれたの?」

「そう、竹田さんに、YAが今週来週と忙しいからって」

 竹田は開架フロアの責任者だ。

「私も霧島さんに忙しくなるよって聞かされてたけど……」

 悟は、少し困り果てた様に人混みを見つめている。

「ここまでとはね」

「うん」

 詩織は、午後にここでこう言ったことがあるとしか聞いていない。

 他部署から応援で来た悟も同様だった。

 互いに、忙しそうであるなら、手伝った方が良いのではという思いはあるものの、はたして何を手伝えばいいのかわからず、困惑をしていた。

 そんな二人に声がかかる。

 声の主は、人だかりの向こう。姿は見えないが、その声は霧島のものだった。

「青山さん? 前島くん? そこに居るのですか? こちらへ」

「はいっ」

 霧島の声に導かれ、二人は人だかりを抜けた。

「あぁ、よかった。時間前なのに、利用者の方が集まってきてるのよ。急いで準備をするから手伝ってください」

 そういいながら、霧島は脇の段ボールを指差した。

「青山さんは、その箱の中のヘッドマウントデバイスをそれぞれの机に並べてくれる。全部で十台」

「わかりました」

「前島くんは、こちらを。最初に『RR』の紹介デモを行います。プロジェクターと、スクリーンセルの展開準備をしてください。操作はわかるかしら?」

「大丈夫です」

「助かるわ。じゃあ、スクリーンを展開したら、何度か立体映像の試写をお願いします」

 こうして、霧島の指示のもと、大急ぎで「RR体験会」の準備が進められていった。

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