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仕事始めました!

 翌朝目覚めた私の視界に飛び込んで来たのは、簡素ながら木の温もりに溢れた部屋で。昨日からお世話になることになったトーマさんの家の、私が使えるよう整えてくれた二階の部屋だった。


 やはり、目覚めてもー・・・でも、今日からはトーマさんの仕事を手助けして、少しでも助けてもらった恩返しをしなければ!


 起き上がり寝具を整える。天気が良いから窓を開けて、服を着替えると階下に降りる。するとそこにはすでにトーマさんの姿が。



「おはようございます!すみません…寝過ごしましたかね…」



「おはよう。そんなことはないさ。俺が無駄に早起きなだけだ。村の皆も、これからようやく起き出すって時間だぞ?」



「でも、トーマさんは仕事があるから早起きなんですよね?それなら私も…」



「いや、違うぞ?俺は仕事の前にひとっ走りするのが日課でな。身体を動かさないと逆に具合が悪くてなぁ。だから、これから朝飯を作って、仕事はそれからだ。安心しな!」



「そうなんですね。じゃあ、朝ご飯の準備手伝います!」



「じゃ、そこにある野菜を千切ってサラダを用意してくれ」



 そうして朝ご飯を済ませ、早速仕事を教えてもらうことになった。まずは家の裏庭にある、薬草を栽培している畑に連れて行かれる。ここでするのは、水遣りと雑草抜き。頃合いに成長した薬草を採取し、採取して空いたスペースをまた耕して肥料を入れる。そういった作業だ。


 畑の広さは…トーマさんの家が6軒分くらい?結構な広さだ。水遣りと雑草抜きをしただけで、お昼になってしまった。井戸から水を汲み上げる作業もあるし、トーマさんが慣れないうちは疲れる作業だと言っていたのも納得だ。




 薬草園の管理に慣れてきた頃、薬草の採取に同行した。最初にトーマさんと出会った森の泉だ。薬草園の管理でだいたいの薬草の名前と特徴は覚えた。この薬草を採取してくれと指示され、採取していく。


 薬草は採取した後、乾燥させる。乾燥させるのは、2階の一部屋が使われている。薬草によって乾燥させる度合いも違うので、それも習って覚えていく。




 トーマさんの仕事を手伝い始めてから数ヶ月。これらの作業を覚えていき、だいぶトーマさんの手助けもできているのではと思えるようになってきた。



「ユーカもだいぶ仕事を覚えてきたなぁ。故郷の手がかりが見つからないのは残念だが…な。焦っても仕方ないしな」



「そうですね。まずは、生活することが第一ですし!本当に助かってます!」



「せっかくここまで覚えたんだ。どうせなら調合も覚えてみるか?そうすれば、いつか故郷の手がかりが見つかって、旅に出ることになっても、役立つと思うぞ?薬は場所によっては貴重だからなぁ」



「覚えたいです!よろしくお願いします!」



 そうして、薬の調合も教えてもらえることになった。この村は薬草の自生地も近くにあるし、トーマさんという薬師もいるから、薬は日常でもよく使われる。でも、そうでない村や町では、薬が中々手に入らないこともあるようだ。そういったところでは、薬だけでなく薬師も歓迎されるんだって。



 薬の調合は決められた分量を守ることが第一に必要だ。そして、まずはすり潰す。その後で煎じるのだが…。煎じた薬液にトーマさんが、最後の仕上げをする。治癒魔法をかけるのだ。そうして出来上がった薬は、ただ煎じただけの薬よりも効果があるんだって。



「俺が使うことができるのは初級の治癒魔法だけだがな。魔法には適性があるみたいだから、ユーカにもできるかどうかはわからないが、やってみるか?」



「はい、やってみます。教えてもらえますか?」



 結果ー・・・私には治癒魔法の適性があったようだ。魔力を込めるというのが難しかったが、治癒魔法に関してはそう手こずることなく覚えることができた。



「ユーカは治癒魔法の適性が強いのかもしれないなぁ。もしかしたら、中級や上級の治癒魔法も使えるんじゃないか?俺は教えることができないが、今度この村を巡回してくる治癒術師に聞いてみよう」



 そう、この村には時折、治癒術師が巡回してくるのだ。治癒術師が常駐していない村や町を、定期的に巡回しているそうだ。



 そして、治癒術師の巡回日。あらかたの治癒が行われた後で、トーマさんに連れられて術師の元を訪れた。トーマさんに事情を説明してもらうと、快く私の適性と魔力量を測定してくれることになった。


 術師さんが出した水晶に手をかざすように言われる。言われたまま手をかざすと、水晶が最初は青く、その後で緑に光り輝いた。



「やはり、ユーカさんには治癒魔法の適性がありますね。それと、水魔法の適性も少しあるようです。主は治癒魔法でしょうねぇ、輝きが違う。この輝きであれば、魔力量も相当あるでしょう。きっと中級・上級の治癒魔法も使えますよ。今日は時間が遅い。明日の朝にでも、また来てもらえればお教えしますよ」



 術師さんの言葉にトーマさんも頷き、明日の朝また来ることになった。まだまだ覚えることは尽きないようだ。明日、また頑張ろう!

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