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こういう事情なんです!

 途中質問を受けたり、それに答えたりしながら、なんとかトーガ村に戻って生活し始めたところまで話し終えた。ここまで話したけど、もう隠し事はしたくはないけど…さすがにそこから元の世界に帰ったとか、また戻ってきたとかはまだ言えない。ディーンさん達に比べてジーンさんやミーナさんへの信頼度が低いとかいうことではない。2人には本当に良くしてもらっているし、信頼もしてる。でも、それとこれとは別問題で。そう簡単に切り出すことは出来ないのだ。


 ただジーンさん達もその先は深く聞いてこなかった。魔王討伐の旅がインパクトが強過ぎたのだろう。魔王討伐を終え、華やかな王城での滞在を終えた後のトーガ村への帰還だ。トーガ村での話はそれまでに比べたら落ち着いたものだし。

 というわけで、そこからは私がここへくることになった事情。『ある日、お世話になった人を訪ねて行く途中で何らかのトラブルにあい、気づけばこの町だった』というところに繋げてくれたようだ。まぁ、ちょっと…いや、かなり無理やりな感じなんだけどね。


 すべて話し終えた時にはかなり時間が経っていた。とりあえずは先に夕飯を取ることにし、夕飯後にこれからのことを話し合うする。今日は時間もないので、朝多めに作っておいたスープとサンドイッチで済ませる。そして、これからのことなのだけど。

 神級魔法が使えることは知られてしまったので、ごまかすことはできない。下手にごまかすよりも、真実を伝えた方が良いだろうということになった。ただし、細かいところまではいちいち説明できない。勇者一行であったことをいうのも、話し出したらキリがない。だから『ナハト国で神より重要な責務を与えられていた』ということは伝える。

 あとは……『重要な責務に関しては外部には漏らせない!』 で押し通す! 重要な責務=魔王討伐…うん、嘘は言ってない!



 一応今後のことを話し終え、即就寝。一度寝たとはいえ、疲れは完全に取れたわけじゃなかったから、また即熟睡。それでも、どれだけ疲れていても習慣とは恐ろしい。きちんと1の鐘が鳴ると同時に起きてしまう私。今日くらいもう少し寝てても大丈夫だったけど…まぁ、熟睡できたしいっか!



 お店を開た途端、常連さんから普段はあまり顔を見せない人達まで…次から次へとやってきて…。それに対して、こちらは決めてあったセリフの繰り返し。今日は私が店番をしてたら収まらないだろうと、ジーンさんとミーナさんが交代で店番をしてくれているから…同じセリフを繰り返しているのはジーンさんとミーナさん。お疲れさまです…。

『ユーカはナハト国で神より重要な責務を与えられていた。詳細は極秘』

 こんな説明では皆納得はしない。でも、いくら質問を重ねても同じセリフの繰り返しで…。さすがにずっとは粘れずに、渋々ではあるが引き上げていく皆さん。



(私のことなんか気にしなくていいよー! 自分の仕事ほっぽり投げないでくださいねー!)



 店の奥で薬液を作りながら、心の中でだけ皆さんへ声をかけておいた。

 話を聞きにくる人は絶えなかったけど、こちらもお店を開いているのだから、ずっと構ってはいられない。皆さんもそれぞれの仕事がある。数日はこんな調子が続くだろうが、次第に落ち着いていくだろうと思われた。そして、本当に落ち着いていったのだけど。


 引き抜きたかった人物が上級治癒魔法が使えるだけでなく、神級魔法も使え勇者の仲間だったということを知った貴族や大商人さん方。これらの方々も度々いらっしゃった。町の人達が押しかけてくるのがようやく落ち着いた頃にね。

 対応は丁寧に…だけどもお断りした。引き抜きに応えられないのは変わらないのだから。それに、【授けられた証】を持つ者に無理強いは出来ないのだって。そういう決まりがあるそうで、信仰心が厚い皆さんはきちんとそれを守っているそうだ。だから言葉巧みに引き抜こうとはしてくるけれど、無理矢理連れていくことはしない。できないのだ、私が頷かない限りね!


 貴族や大商人さん方の訪問も少しずつ落ち着いた頃…今度はなんと王宮からのお呼び出しがあった。引き抜きの話、ではない。【授けられた証】を持つ私と一度会ってみたいという、お茶会へのお誘いだ。使者の方にはお待ちいただき、奥でジーンさん達とヒソヒソ相談。

 …うん。直接的な引き抜きの話でもないし、断れないね。ということで、招待を受けることになった私は、後日のお茶会へ向けて…貯金を少し崩しお茶会へ来ていく為の服を買う羽目になった。流石に王宮に行くのだから、服装は問わないと言われていたとしても…普段着ではね。



(はぁ…。折角の貯金が…悲しい)

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