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打ち明けましょう!

 キラキラと周囲を包み込んだ銀色の光が、徐々に収束していく。しゃがみ込み、治癒具合を確認する。あれだけの重態だったのに…治っている。今は眠っている状態だけど、顔色も良くなっているし呼吸も落ち着いてるから大丈夫だろう。さすが神級魔法。


 さて…それは良かったんだけど。先ほどから辺りが静まり返っている。怪我人も落ち着いたし皆の動きが止まっても問題はないのだけど…少し前までは喧騒に包まれていたというのに。

 どう考えても神級魔法を使ったからだよね。あんなに短い呪文で治しちゃったからだよね。普通は高度になるほど呪文は長くなるのだもの。それなのに初級並みに短い呪文で治しちゃってさ。神級魔法を見たことなくても、なんとなく普通じゃないのはわかっちゃうよね…。

 すごく視線を感じる。皆からの視線が私に集まっている。これ以上は気づかないフリは無理…ね。諦めて顔を上げ、ジーンさんに話しかける。



「ジーンさん、この方もきちんと治癒されてます。他にはもうひどい怪我をされた方はいませんよね? 魔力も限界なので、一旦お店に戻ろうと思います。あとはよろしくお願いします」



 そう言って立ち上がる。そして…ジーンさんが返事を返す前に、ダッシュでその場を立ち去った。ごめんなさい、本当に魔力が残りわずかなの。結構、疲れ切っちゃてるの。だから、今はゆっくり説明していられないの! 言い訳だってわかってる! でも、あんな大勢の人達に囲まれた状態で、『実は神級魔法の使い手でした~』とかって言えないもの!

 私の突然の行動に呆気に取られたのだろう。すぐには周りの皆も動けなかったみたいで、私は無事に人混みを抜け、お店に辿り着いたのだった。



 出迎えてくれたミーナさんには、とりあえずの治癒が終わったこと、魔力が切れたから残りの軽症の人達の対応はジーンさんに任せて、一休みしに戻ってきたと報告。

 魔力が完全に切れると、気絶したりする。それは大変とミーナさんは、お店のことはいいから部屋で休んでてと言われ、その言葉に甘えさせてもらう。神級魔法のことは…あとでジーンさんも揃ってから説明させていただきます!


 神級の薬液があれば魔力も回復するのだけど、手持ちにはない。完全に魔力切れしたわけでもないし、少し横になれば自然回復できるのだから大丈夫だろう。…お昼寝? 二度寝? とにかく明るい時間帯に寝るのは久々だ。この世界では休日もお昼寝なんかはしていなかったから…そんなことを考えながら横になる。やはり疲れているのだろう、横になってすぐに眠りにつき、次に目を覚ましたのは夕方だった。



 熟睡したからか疲れは取れたし、魔力もだいぶ回復している。これなら大丈夫、さすがに今頃はミーナさんもジーンさんから話を聞いて驚いているだろうし…2人にきちんと説明しなければ。顔を洗い服を整えてから、2人が居るだろう居間に向かう。

 2人はやはり居間に揃っていた。起き出してきた私を見て、もう大丈夫なのかと心配してくれる。魔力もだいぶ回復したし大丈夫だと答え、とりあえず説明を始める前にお茶を淹れさせてもらう。寝起きで喉が乾いていたし、きっと話も長くなるから、飲み物は必要だからね。


 お茶を淹れ終えた後は、説明タイムだ。どこから切り出そうかと思っていると、まずはジーンさんが私がお店に戻った後の状況から説明してくれることになった。そうだよね、あの後大丈夫だったのかな?



「ユーカが走り去った後は、なかなか大変だったよ。あの神々しい光は、あの魔法は何だったのかってね。上級魔法でも難しそうな重態の怪我を一瞬で治すことができる魔法なんて、我々は誰も見たことがない。だが存在だけは知っている。上級魔法の上には、神に選ばれた者のみが扱えるという神級魔法があるということをね。だから、あの神々しい魔法は神級魔法だっのではないかと誰かが言い出すと、もうそれからは本当に大騒ぎだ。ユーカが神級魔法を使えることを知っていたのかと皆から問われるし。知らなかったと言っても、すぐには信じてくれないしなぁ。いや、そう簡単に言い出せることじゃないのは分かってる。ユーカを責めているわけではないからな。まぁ、まだ軽症の怪我人が残っていたから、そちらが先だ! と、話は切り上げてきたよ。わたしもユーカに聞いてみなければわからないのだしね」


「本当に…すみませんでした。神に選ばれた者とか…そんな大層な人間じゃないんです、私。だから神級魔法を使えることは言えませんでした」


「いや、本当に責めているわけではないから。謝る必要はないさ。だが知ってしまったからには、少し話を聞かせてもらってもいいかな? 今日のことで多くの人間に知られてしまったし、町中に広まるのも時間はかからないだろうからね。ある程度のことを聞かせてもらっておけば、より良い対応ができると思うからね」


「もちろんお話します。少し長くなると思うんですけど、聞いてもらえますか?」


「「もちろん!」」



 こうしてジーンさんとミーナさんに、前回の出来事…勇者一行の一員だったこと、魔王討伐の旅、その後トーガ村に移り住んだことなどを話したのだった。

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