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優秀な治癒術師として知られる存在に

 少しずつ上級薬液が販売されていることが知られてきて、お客さんも増えてきた。忙しさは増したけど、充実した日々を過ごしていた。やり甲斐がある仕事って良いよね!


 パン屋さんでの早寝早起きの習慣が出来てしまっていたので、今でも起きるのは1の鐘と同時に。朝一で薬草園に水魔法で雨を降らせた後は、割り当てられた当番の仕事をこなして過ごす。食事当番の週は、開店の時間を見計らってマーシャさんのところにパンを買いに行くのが定番になっている。薬液の用意もこの時間に済ませておく。

 2の鐘がなる頃に揃って朝食を済ませた後は、開店までのんびりとお茶を飲みながらの読書時間。開店準備が終わっていれば、自由に使える時間なのだ。嬉しいことに、ここの町には貸本屋さんがあって、お手頃に借りることができるのだ。その中には勇者一行の物語もあって。物語だから誇張している部分も多いけど、事実もちゃんと描かれていて。魔王討伐後の物語はあまりなかったけど、それでも少しはその後の彼らのことを知ることができた。特にギルさんとショーンさんが王女様方と婚約した辺りは皆が求めるエピソードだからだろう。すごくしっかりと描かれていて、幸せそうな姿がはっきりと思い浮かんできたのだった。読書を楽しんだ後は、お仕事スタートだ!


 お客さんに多いのは船乗りさん。仕事柄、怪我をすることも多いようで。重たい荷物の積み下ろしとか、結構な重労働だもんね。長い船旅では体調を崩すことも多いようだし。


 薬液を飲むのと直接の治癒では、やっぱり直接の治癒の方が効果は強い。良薬口に苦しではないけれど、決して薬液は美味しい飲み物ではないわけで。直接の治癒が薬液とそんなに変わらない料金で受けられるということで、直接の治癒を求める人も徐々に増えてきていた。


 治癒の後には、特製のハーブティーを出すようにしている。何が特製かって? 薬草園の傍らにスペースを貰って、色々手間隙をかけて(魔法もかけて…)育てているハーブなのだ。それを、マーシャさんに習った特別ブレンドで配合。市販のものよりも、ずっと落ち着ける効果があると思っている。


 ただ船乗りさんは豪快に飲み干しちゃうから…。本当はもうちょっとゆっくりと味わって飲んで欲しいのだけど。船乗りさんとの会話は貴重だから、ゆっくりしていって欲しいのだ。気さくな人が多いから時間があれば、結構お喋りしてくれるしね。船で各地を巡っているから、情報も最新だ。ナハト国方面に行ってきた船乗りさんなんかには、特に大サービスだ。よりゆっくり喋って、情報を教えて貰いたいからね。


 そんな風にして入ってきた情報を総合すると、ディーンさんはどうやら王都と辺境の村を行き来しながら、古代魔法についての研究をしているらしい。辺境の村…トーガ村? トーガ村のことを気にかけてくれているのかな? ディーンさんも気に入ってくれてる? そうだとしたら嬉しいな。古代魔法の研究というのはわからないけど…。ディーンさんは勇者だけあって、魔力量も半端なかったし、魔法を極めようとしているのかな?



 話は変わって…。お客さんが増えるにつれて、どうやら私の名も売れてきてしまったようだ。最近では、結構な頻度で引き抜きの話がある。貴族や大商人の専属の治癒術師にならないか、というお誘いだ。確かに専属の治癒術師になれば、お給料は格段に上がる。でも…動きは取りにくくなる。旅費が貯まったところで、仕事を辞められなくて旅に出られなかったら意味がないのだ。だから引き抜きの話はすべて断っている。それに、ジーンさん、ミーナさんには本当によくしてもらっているから、その恩も返さなきゃだからね。

 直接治癒の分を歩合制のお給料にしてもらっているので、着実に貯金は出来てる! これからも無駄遣いは控えて、頑張って貯めよう!


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。まだ続く予定ですが、次話以降は数話書き溜めてから投稿します。

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